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第二章 王への道
episode 12 ふしぎ少女
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王都に着いたあたしはミーニャ達と別れ、控え室代わりの大広間へと入って行った。
「レディ、おはよう」
「おお、アテナ。
どうだい?
休めたかい?」
「まぁ悪くないわね。
んー、やっぱり婚約者の姿は見えないわね」
少なくなった参加者で広く感じるようになった広間の中で、見知った顔を探すのは容易だった。
「あぁ、そのようだね。
大事に至っていたなら既に発表されてるだろうから、まだ無事だってことなんだろ」
「そうね。
毒にやられてるならすぐ目覚めるとも限らないものね」
「ん?
やはりそうか」
驚くかとも思っていたが何か見当がついていたようだ。
「知ってたの?」
「いや、初耳だよ。
でも予想は出来たけどね。
この街に留まっているのに何も確かな話が聞こえてこなかったから、何かあるんじゃないかと思っていたのさ」
「流石はレディ。
それも経験ってやつなのね」
長らく傭兵や旅人としてやってきたらしく、人や状況の観察眼だけではなくお国の事情ってのにも精通しているようだった。
「ふふ。
まぁね。
にしても、まだ始まらないのかねぇ」
あたしより早くから入っていたのだ、待つことに飽きてきたのだろう。
「あ、あのぉぉぉ。
私も、お話に入れて欲しいのですぅ」
あたしとレディの傍らに立ち唐突に話しかけてきた女性へ向くと、なんとも可愛らしい姿でもじもじとしていた。
「いや、うん、いいけど。
あなたも勝ち上がったのね。
あたしはアテナ、こっちがレディよ」
「あ、ありがとうございます。
私はエリーザ。
この場に女性が少なかったので、寂しかったのです」
広がりの大きいフリルの付いたスカートを履いた見た目からは、とても剣技を嗜むとは思えなかった。
「エリーザね。
あなた大きいのね、む……じゃなく背が高いのね」
ピンクの髪を両側に束ねた可愛らしい姿はあたしと年齢はさほど変わらないように思えるが、背の高さといい胸の大きさといい、あたしより成長しているように見える。
「え?
そんなことないですよ?
普通だと思うですぅ。
もしかして、幼く見えたですか?」
「うん、あたしと変わらないくらい。
とてもお姉さんとは言えないわね」
「あっはっはっはっ!
あたいもアテナと同じくらいと思ったが、まさかだね。
こいつはアテナも見習わなきゃだ」
レディすら惑わされる容姿のエリーザは、幼く見えると言われたことに軽く衝撃を受けたのか体のあちこちを触っている。
そんなエリーザを見てレディに言い返した。
「一体どこを見習えって言うのよ。
あたしの目指すとこはね、あくまでもアリシアお姉様なんだからね!」
「アリシアねぇ。
確かにこの娘のような可愛らしいとこはなかったけど、こことかこことかは成長しなきゃだよな」
「レディ!!」
気にしている背丈と胸を指され、あたしは大声で一喝した。
「そんなん分かってるわよ!
背丈はともかく、心が愛情で満たされれば胸の大きさは後からついてくるの!
だから今はこのくらいでもエリーザより大きくなるわよ!!」
「私、愛情で満たされてるんですか?
それって、素晴らしいのです」
「あとは、夢と希望があれば理想に近づくはずよ!」
何故だか胸の成長に対して力説してしまい、これにはレディも額を抑え笑いを堪えていた。
「もう!
何笑ってんのよ。
レディが言い出したことでしょ」
「悪い悪い。
あー、可笑しいな。
あたいに足りなかったのは愛と夢と希望だったのか。
クックックッ」
「信じてないわね?
それならそれで別にいいのよ。
これからあたしが証明してあげるんだから」
未だに笑いを堪えるレディを余所にエリーザは自身の胸を揉んでいた。
「ここには夢と希望も詰まっているのですね。
なんとも素敵なお話です。
私、頑張ってみようと思うのです」
こっちはこっちで自分の世界に浸っているのかと頭を抱えそうになると、あたしの正面から空気が変わるのを感じた。
「それにしてもエリーザ。
あんた、どうやって勝ち上がった?
あんたの夢って一体なんだい?」
レディはあたし達だけに感じるように凄みを抑えつつも、威圧的に詰め寄った。
「夢、ですか?
それは――世界征服なのです」
………………。
満面の笑みから繰り出された突拍子のない応えにあたしとレディの思考が停止し、沈黙が流れた後に同時に口が開いた。
「はぁ?」
「はぁ?」
どうやら同じ感情を抱いたようで二人顔を見合わせるしかなかった。
「エリーザ、分かってる?
世界征服ってのはね――」
意味が分かって言ってるのか問おうとしたが、それ以前に悪いことでも言ったのかという様におろおろとし出している。
「はぁ。
ただの夢見る少女ってやつなのね」
「まったくだよ。
この娘どうやって勝ったのかね。
覚えてるか、アテナ」
「記憶にないわね。
昨日とは服装も違うだろうし、特徴的な試合じゃなかったと思うわ」
こんな身なりや特徴的な勝ち方をしていたら頭の片隅にでも残っていると思う。
「それでは皆様。
これより本日の剣闘技祭を始めたいと思います。
本日は昨日と違いまして…………」
ようやく兵士から始まりが告げられた。
予測ではあるが、闘技場では女王が挨拶をしていたのだろう、ミーニャの話しによると。
「やっと始まるわね。
見てなさいよぉ!」
「やる気だねぇ。
あたいもウズウズしてたから手は抜かないよ」
今回は負けてもここに戻り、騎士叙勲を受けるのかを問うらしい。
「私もこの胸に誓って、夢に近づけるように頑張るのです!」
「胸に誓って?
それってあたしに対してのイヤミ!?」
さっきの話の後だと、あからさまな挑発に聞こえるのはあたしだけではないと思う、多分。
「いえいえいえいえ。
そんなんじゃないのですぅ。
大きな夢が詰まっているので、頑張らなきゃと……」
「エリーザっ!!」
あたしが思うに、ミーニャと似た者同士だがエリーザの方が確実に質が悪い。
「はっ、はいっ!!」
何を手を挙げ返事をしたのかと思ったが、あたしの一喝と同時に名前を呼ばれたようだ。
「もう、何でいっつも大事な時にっ!!
……あぁ、いいわ。
いってらっしゃい」
「はい!
頑張って来るのです!」
まるで遊びに行くかのように軽やかな足取りで大広間を後にしたエリーザを見送ると、二人で大きな溜め息をした。
「なんだったのかしら、彼女」
「ホント、困った娘だね。
試合を見届けられないのが残念だよ。
アテナやレイヴ、グリフレットらと違う意味でね」
それには激しく同意する。
なんにしたって不思議でたまらない。
そんな事をレディと話していると、名前を呼び上げた兵士が何やら言い争いをしていた。
「どうしたのかしら?
行ってみましょうか」
「おい、待てってアテナ」
静止を聞くこともなく足早に二人の間に割って入った。
「どうしたの?」
「これはこれは、グランフォート卿のお連れの。
どうしたもこうしたも。
このレンという方が覆面を取って頂けなくてですね」
この人は確か……人間離れした素早い動きで相手の後ろを取り、小剣を振るうことなく勝負を決めていた。
「取らなきゃダメなの?」
「本日は、騎士候補と婚約者候補といった民へのお披露目の場でもありますから。
素顔を晒して頂けないのであれば、怪しい者として対処せざるを得ません」
分からない話ではない。
誰でも参加出来る故に、顔だけでも晒し他国からの侵略に最低限備えているのだろう。
「ねぇ、取っちゃいなよ。
別に見せれないこともないんでしょ?
あなたがこの国に害を及ぼす存在でないのであれば、だけどね」
さて、ちょっとした挑発にどう応えるのか。
「…………。
我は、闇に生きる者……。
生き恥を晒せというのか」
全身が黒一色で覆われた体は目元しか露出していなかったが、あたしには違和感でしかなかった。
「確かに真っ黒で闇に生きるって感じは分かるけどさ、今……真っ昼間だし。
それに、力試しで参加したかも知れないけど、名目上は騎士になりたい人と婚約者になりたい人が集まっているの。
それなのによ、顔も隠したままってのは誰が認めるってのよ!
分かる!?」
最後はまくし立て、反論の余地は最早ないと思われた。
が、反論ではなく瞳が濡れだし大粒の涙がこぼれだした。
「えっ!?
ちょっ、ちょっと!」
「……ぐす。
分かった。
我が悪かったのだな」
あれくらいで急に泣かれると絶対的罪悪感に苛まれる。
そして、言われた通りに取られた覆面の下から覗かせた素顔には、真横に走る大きな傷があった。
しかし、それよりも目を奪われたのが彼ではなく『彼女』だった。
「レディ、おはよう」
「おお、アテナ。
どうだい?
休めたかい?」
「まぁ悪くないわね。
んー、やっぱり婚約者の姿は見えないわね」
少なくなった参加者で広く感じるようになった広間の中で、見知った顔を探すのは容易だった。
「あぁ、そのようだね。
大事に至っていたなら既に発表されてるだろうから、まだ無事だってことなんだろ」
「そうね。
毒にやられてるならすぐ目覚めるとも限らないものね」
「ん?
やはりそうか」
驚くかとも思っていたが何か見当がついていたようだ。
「知ってたの?」
「いや、初耳だよ。
でも予想は出来たけどね。
この街に留まっているのに何も確かな話が聞こえてこなかったから、何かあるんじゃないかと思っていたのさ」
「流石はレディ。
それも経験ってやつなのね」
長らく傭兵や旅人としてやってきたらしく、人や状況の観察眼だけではなくお国の事情ってのにも精通しているようだった。
「ふふ。
まぁね。
にしても、まだ始まらないのかねぇ」
あたしより早くから入っていたのだ、待つことに飽きてきたのだろう。
「あ、あのぉぉぉ。
私も、お話に入れて欲しいのですぅ」
あたしとレディの傍らに立ち唐突に話しかけてきた女性へ向くと、なんとも可愛らしい姿でもじもじとしていた。
「いや、うん、いいけど。
あなたも勝ち上がったのね。
あたしはアテナ、こっちがレディよ」
「あ、ありがとうございます。
私はエリーザ。
この場に女性が少なかったので、寂しかったのです」
広がりの大きいフリルの付いたスカートを履いた見た目からは、とても剣技を嗜むとは思えなかった。
「エリーザね。
あなた大きいのね、む……じゃなく背が高いのね」
ピンクの髪を両側に束ねた可愛らしい姿はあたしと年齢はさほど変わらないように思えるが、背の高さといい胸の大きさといい、あたしより成長しているように見える。
「え?
そんなことないですよ?
普通だと思うですぅ。
もしかして、幼く見えたですか?」
「うん、あたしと変わらないくらい。
とてもお姉さんとは言えないわね」
「あっはっはっはっ!
あたいもアテナと同じくらいと思ったが、まさかだね。
こいつはアテナも見習わなきゃだ」
レディすら惑わされる容姿のエリーザは、幼く見えると言われたことに軽く衝撃を受けたのか体のあちこちを触っている。
そんなエリーザを見てレディに言い返した。
「一体どこを見習えって言うのよ。
あたしの目指すとこはね、あくまでもアリシアお姉様なんだからね!」
「アリシアねぇ。
確かにこの娘のような可愛らしいとこはなかったけど、こことかこことかは成長しなきゃだよな」
「レディ!!」
気にしている背丈と胸を指され、あたしは大声で一喝した。
「そんなん分かってるわよ!
背丈はともかく、心が愛情で満たされれば胸の大きさは後からついてくるの!
だから今はこのくらいでもエリーザより大きくなるわよ!!」
「私、愛情で満たされてるんですか?
それって、素晴らしいのです」
「あとは、夢と希望があれば理想に近づくはずよ!」
何故だか胸の成長に対して力説してしまい、これにはレディも額を抑え笑いを堪えていた。
「もう!
何笑ってんのよ。
レディが言い出したことでしょ」
「悪い悪い。
あー、可笑しいな。
あたいに足りなかったのは愛と夢と希望だったのか。
クックックッ」
「信じてないわね?
それならそれで別にいいのよ。
これからあたしが証明してあげるんだから」
未だに笑いを堪えるレディを余所にエリーザは自身の胸を揉んでいた。
「ここには夢と希望も詰まっているのですね。
なんとも素敵なお話です。
私、頑張ってみようと思うのです」
こっちはこっちで自分の世界に浸っているのかと頭を抱えそうになると、あたしの正面から空気が変わるのを感じた。
「それにしてもエリーザ。
あんた、どうやって勝ち上がった?
あんたの夢って一体なんだい?」
レディはあたし達だけに感じるように凄みを抑えつつも、威圧的に詰め寄った。
「夢、ですか?
それは――世界征服なのです」
………………。
満面の笑みから繰り出された突拍子のない応えにあたしとレディの思考が停止し、沈黙が流れた後に同時に口が開いた。
「はぁ?」
「はぁ?」
どうやら同じ感情を抱いたようで二人顔を見合わせるしかなかった。
「エリーザ、分かってる?
世界征服ってのはね――」
意味が分かって言ってるのか問おうとしたが、それ以前に悪いことでも言ったのかという様におろおろとし出している。
「はぁ。
ただの夢見る少女ってやつなのね」
「まったくだよ。
この娘どうやって勝ったのかね。
覚えてるか、アテナ」
「記憶にないわね。
昨日とは服装も違うだろうし、特徴的な試合じゃなかったと思うわ」
こんな身なりや特徴的な勝ち方をしていたら頭の片隅にでも残っていると思う。
「それでは皆様。
これより本日の剣闘技祭を始めたいと思います。
本日は昨日と違いまして…………」
ようやく兵士から始まりが告げられた。
予測ではあるが、闘技場では女王が挨拶をしていたのだろう、ミーニャの話しによると。
「やっと始まるわね。
見てなさいよぉ!」
「やる気だねぇ。
あたいもウズウズしてたから手は抜かないよ」
今回は負けてもここに戻り、騎士叙勲を受けるのかを問うらしい。
「私もこの胸に誓って、夢に近づけるように頑張るのです!」
「胸に誓って?
それってあたしに対してのイヤミ!?」
さっきの話の後だと、あからさまな挑発に聞こえるのはあたしだけではないと思う、多分。
「いえいえいえいえ。
そんなんじゃないのですぅ。
大きな夢が詰まっているので、頑張らなきゃと……」
「エリーザっ!!」
あたしが思うに、ミーニャと似た者同士だがエリーザの方が確実に質が悪い。
「はっ、はいっ!!」
何を手を挙げ返事をしたのかと思ったが、あたしの一喝と同時に名前を呼ばれたようだ。
「もう、何でいっつも大事な時にっ!!
……あぁ、いいわ。
いってらっしゃい」
「はい!
頑張って来るのです!」
まるで遊びに行くかのように軽やかな足取りで大広間を後にしたエリーザを見送ると、二人で大きな溜め息をした。
「なんだったのかしら、彼女」
「ホント、困った娘だね。
試合を見届けられないのが残念だよ。
アテナやレイヴ、グリフレットらと違う意味でね」
それには激しく同意する。
なんにしたって不思議でたまらない。
そんな事をレディと話していると、名前を呼び上げた兵士が何やら言い争いをしていた。
「どうしたのかしら?
行ってみましょうか」
「おい、待てってアテナ」
静止を聞くこともなく足早に二人の間に割って入った。
「どうしたの?」
「これはこれは、グランフォート卿のお連れの。
どうしたもこうしたも。
このレンという方が覆面を取って頂けなくてですね」
この人は確か……人間離れした素早い動きで相手の後ろを取り、小剣を振るうことなく勝負を決めていた。
「取らなきゃダメなの?」
「本日は、騎士候補と婚約者候補といった民へのお披露目の場でもありますから。
素顔を晒して頂けないのであれば、怪しい者として対処せざるを得ません」
分からない話ではない。
誰でも参加出来る故に、顔だけでも晒し他国からの侵略に最低限備えているのだろう。
「ねぇ、取っちゃいなよ。
別に見せれないこともないんでしょ?
あなたがこの国に害を及ぼす存在でないのであれば、だけどね」
さて、ちょっとした挑発にどう応えるのか。
「…………。
我は、闇に生きる者……。
生き恥を晒せというのか」
全身が黒一色で覆われた体は目元しか露出していなかったが、あたしには違和感でしかなかった。
「確かに真っ黒で闇に生きるって感じは分かるけどさ、今……真っ昼間だし。
それに、力試しで参加したかも知れないけど、名目上は騎士になりたい人と婚約者になりたい人が集まっているの。
それなのによ、顔も隠したままってのは誰が認めるってのよ!
分かる!?」
最後はまくし立て、反論の余地は最早ないと思われた。
が、反論ではなく瞳が濡れだし大粒の涙がこぼれだした。
「えっ!?
ちょっ、ちょっと!」
「……ぐす。
分かった。
我が悪かったのだな」
あれくらいで急に泣かれると絶対的罪悪感に苛まれる。
そして、言われた通りに取られた覆面の下から覗かせた素顔には、真横に走る大きな傷があった。
しかし、それよりも目を奪われたのが彼ではなく『彼女』だった。
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