水曜日の彼女

揣 仁希

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夏の予定と月曜日

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「皐月!久しぶりじゃないか!実家に帰ってたんだろ?親父さん大丈夫だったのか?」
「さつきく~ん、大丈夫?お父さんが大変って聞いたけど?」

久しぶりに教室に入るとクラスのみんなから声をかけられる。

「うん。心配かけてごめん。全然大丈夫だったから」
俺はみんなにそう言って自分の席につく。
あと2日で終業式でその後は夏休みだ。といっても高校3年であれば受験があるので遊んでばかりはいられないのだが・・・

僕はというと、結構できるほうだと思う。学年順位も10番前後を常にキープしているので、気を抜かなければ問題ないと思っている。

「皐月~!」
「やあ、リョータ。久しぶり」
「やあ、久しぶり。じゃねーよ!心配するだろ?一言くらい言ってから行けよな!」
「悪い、急だったからさ、ありがとな」
リョータはリョータで心配してくれてたんだな。

「ほんとだぜ。まだ女の子紹介してもらってないし、皐月の彼女にも会ったことないし!」
・・・前言撤回だな。

「あ~、リョータそのことで話があるんだけど、あとでちょっといいか?」
「おう!じゃまた後でな」

終業式前で今日は授業が午前中で終わるので、終わってから僕はリョータと近くのマ○クに寄っていた。

「・・て訳で、リョータなんか予定ある?」
「大丈夫だ!あってもなかったことにする!補習や補習か補習くらいだからな」
リョータはポテトを食べながら豪快に笑っているが、それって駄目なやつだろ。

「でもさ、皐月の彼女の同僚ってことは年上だよな?いいのか?俺で」
「別にいいんじゃないかな。僕も鈴羽と付き合ってるわけだし、同僚と言ってもたしか20歳くらいだったと思うよ」
「・・・お前の彼女は鈴羽さんて言うのな?さらっと言ったから聞き逃しそうになったじゃねーか」
「あれ?言わなかったっけ?あははは」
言った覚えもないけど笑ってごまかすことにした。

「でも、結構乗り気で楽しみにしてるって言ってたからそんなに気にしなくていいと思うよ」
鈴羽から聞いたが、2人とも楽しみにしてるらしい。あとの1人紗奈ちゃんは最近営業の人といい感じらしいので不参加だ。

「そうか!そうか!ついに俺にも青春がやってくるんだな!」
「・・・どうだろうね」
「で、夏休みは素敵な彼女と海に行ったり、花火見たりするわけだ!」
「・・・さあ?」
「ひと夏のアバンチュール的なやつだな!」
「・・・終わってるじゃん、それ」

リョータは1人で盛り上がって完結している。
でも、確かにいいやつだからな、こいつ。

そんなリョータを見ていると窓の向こうに見知った顔を見つけた。

「あれ?鈴羽?」
仕事モードの鈴羽が通路を歩いていく。

う~ん、仕事中に声かけていいのかな?
ちょっとなら大丈夫かな?
僕は電話してみることにした。

「おい、皐月?俺をほっといてどこに電話だよ?」
「ちょっとリョータ待ってて」

『もしもし、皐月君?どうしたのこんな時間に?』
『あっごめんね、ちょうどマッ○で食べてたら鈴羽が歩いていったから、つい』
『えっ?えっと、そこの角の?』
『うん。そうだけど仕事ちゅ・・・』
あれ?切れた?

「皐月君~おまたせ~」
電話が切れたのを見ていると、やはり鈴羽が僕たちのところにやってきて僕の隣に座る。

「びっくりしちゃった。えっとお友達くん?」
僕の隣でぴったりと寄り添って座る鈴羽を見てリョータが固まっている。

「うん、こないだ話した西尾凌太。お~い?リョータ?大丈夫か?」

「・・・はっ!夢か?」
「夢じゃないから」
「うふふ、面白いお友達くんね」
鈴羽が楽しげに笑う。

「えっと?皐月の彼女?この人が?」
そう、と僕。
「いやいやいやいや、ちょ、おま、お前?え~~っ!」
そんなに驚くことか?

椅子から落ちそうになり派手に驚くリョータを鈴羽はクスクスと笑いながら見てた。
 
復活するにはちょっと時間がかかりそうだな。





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