水曜日の彼女

揣 仁希

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緋莉がやってきた金曜日

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「お兄ちゃ~ん!お姉ちゃ~ん!」
「おっと、緋莉あかりよくきたなぁ。是蔵さんもわざわざありがとうございます」

お盆明けの夜、緋莉が是蔵さんに送られてやってきた。鈴羽も僕のうちに来ていたので一緒に出迎えたわけだが。
今ナチュラルにお姉ちゃん扱いになってたな、鈴羽。

「いえいえ、奥様からしっかりと送り届けるようにと申しつかっておりますので」
「お兄ちゃん、お姉ちゃん!こんばんは!約束通り遊びに来たの!」
「こんばんは、緋莉ちゃん。元気だったみたいね」
緋莉は、鈴羽に抱きついて喜んでる。以前は僕に、だったんだけどね。

「皐月様、九条様、お嬢様を宜しくお願い致します。後日迎えに上がります前にご連絡致しますので・・それでは」
「ありがとう、是蔵さん」

是蔵さんは、緋莉を僕達に預けると一礼して帰っていった。


僕のうちに来るのは初めての緋莉は大はしゃぎで大変だった。確かに僕が実家に全く帰らなかったから寂しい思いをさせていたのかもしれない。
今は鈴羽と並んでテレビを見ている。
ふふっ、こうして見ると仲の良い姉妹みたいだ。

「どうしたの?皐月君。ニヤケちゃって」
「ああ、こうして並んでると姉妹みたいだなって」
「あはは、ありがとう。私も妹が欲しかったなぁ」
「緋莉がお姉ちゃんの妹になってあげるの!」
ソファーに緋莉を挟んで座り、頭を撫でているとこれって姉妹というか家族みたいだなと思い直してちょっと照れくさくなった。
幸い鈴羽も緋莉も気づかなかったが。

「ねぇ、緋莉ちゃんはどこに行きたい?行きたいとこある?」
「う~んとね~」
「そんな変わったところってないもんなぁ、この辺りも。こないだのショッピングモールくらい?」
「テーマパークは多分一杯だと思うわよ、夏休みだし」
「う~ん」
そこまで悩むほどではないと思うが緋莉は眉間に皺を寄せて悩んでる。

「緋莉、お祭りに行きたい!」
「お祭りかぁ、鈴羽どっかあったかな?」
「明後日に確か河祭りがあったんじゃなかったかしら」
僕はネットで調べてみる。
「うん。明後日だね。よし、明後日3人でお祭りに行こうか。鈴羽も仕事大丈夫?」
「ええ、早目に終わらせてくるから」
「わ~い!」
僕と鈴羽に抱きついて大喜びの緋莉を見ていると自然と笑みがこぼれる。
鈴羽を見ると彼女も同じような顔をしていた。

「ふふふ、可愛いわね」
「うんまったくだ」


「ねぇお兄ちゃん」
鈴羽が帰り、僕と一緒に寝てた緋莉が聞いてくる。

「ん?なんだ?」
「お兄ちゃんは鈴羽お姉ちゃんとけっこんするの?」
「ぶふわぉ!ゲホゲホ・・き、急に何言い出すんだ」
びっくりしたぁ、気管に入った。

ひとしきりむせてから落ち着くのを待っていたのか緋莉が続ける。
「緋莉は鈴羽お姉ちゃんがいいかなぁ~」
「お兄ちゃんはまだ学生だからな、そういうことになるにしてもまだちょっと先になるかな」
「そっかぁ、 まだまだかぁ」

鈴羽と結婚か・・・考えなくもなかったけどまだ先の話だよな。卒業して進学して就職して。
将来のことはまだはっきりしないけど、隣には鈴羽にずっといてほしいと思っている。

寝てしまった緋莉に布団をかけてやりながら僕はそんなことを考えていた。






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