水曜日の彼女

揣 仁希

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お祭りに出掛けた日曜日

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翌々日、日曜日。
僕と緋莉、鈴羽は河祭りにやってきた。

「うわぁ~すごいね!お兄ちゃん!お姉ちゃん!」
緋莉が言う通り、河の河川敷には沢山の屋台が並び、多くの家族連れやカップルで賑わっていた。

「緋莉、はぐれないようにちゃんと手を繋いでいてよ」
「うん!」
僕と鈴羽の間に緋莉を挟んで、手を繋いで歩く。
今日の鈴羽と緋莉は浴衣を着てきている。
鈴羽は淡い青色の(どうやら鈴羽は青が好きらしい)、緋莉は白地に金魚が描かれた可愛らしさ浴衣だ。
母さんが、出掛けるときのために用意してくれたらしい。
「お姉ちゃん!あっちあっち!」
「はいはい、ふふふ」
鈴羽は緋莉に引かれて、屋台に連れていかれている。これじゃ僕が迷子になりそうだ。

鈴羽も緋莉も人目をひく美人と美少女なので行き交う人達が振り向いてみて行く。主に男性が。

「お兄ちゃん!早く早く!迷子になるよ!」
「わかった、わかった。そんなに急がなくても大丈夫だって」
「お兄ちゃん!お祭りに来たら、焼きそばにフランクフルトにイカ焼きにポップコーンでしょ!それにりんご飴に・・・」
「食べものばかりだな?」
「うふふ」

緋莉はイカ焼きを食べつつ、焼きそばの屋台に鈴羽と並ぶ。

「皐月君も食べるでしょ?」
「うん、そうだね。しかし初めて来たんだけどすごい人だね」
「そうね、私は去年は杏奈ちゃん達と来たんだけど人混みが大変だったわよ」
「今年はあの3人は?」
「紗奈ちゃんは営業の人と来てると思うわよ。あと2人は、きっと連絡が来ると思うわ」
鈴羽は何となく意味深な笑いをして焼きそばの列に戻る。

「連絡?何かあったかな?リョータかな?」
一緒にここに来るとしたら多分リョータを誘ってくるんだろうけど。

「お兄ちゃ~ん!はい、焼きそば!」
「おぅ、緋莉ありがとうな。」

やっぱりこういう屋台で食べる焼きそばとかって美味しいよなぁ。雰囲気込みの値段だね。

「お兄ちゃ~ん!次はりんご飴~」
緋莉と鈴羽は、りんご飴の屋台を探して歩いていく。
「お~い、ちょっと待ってよ~」

りんご飴とポップコーンを買って、3人で土手にある階段で一休みする。

「この後8時から花火が上がるのよね」
「ああ、なるほどね、だから土手沿いはいっぱいなのか」
見渡すと土手沿いの階段や上の通路には沢山の人が座っている。
「花火~~!」
「ここのお祭りの花火は結構大きいから、私の会社の屋上からも見えるのよ。多分今頃仕事中断して屋上に集まってるんじゃないかしら」
「へ~知らなかったよ。僕の部屋からじゃさすがに見えないからね」

「あら、杏奈ちゃんと梓ちゃんもこっちに来るみたいよ」
鈴羽がスマホを見ながら、くすくすと笑っている。
「お姉ちゃんのお友達?」
「ええ、同じ会社のお友達よ」
正確には部下だけどプライベートでは友達だよな。

「そっか、2人で来てたの?」
「ううん、3人よ」
「3人?」
「ええ、うふふ、来てみたら分かるわよ」

そして、しばらくして杏奈ちゃんたちが来たのだが。

「え~っと、なにこれ?」

来たのは、リョータを挟んで左右の腕に抱きつく杏奈ちゃんと梓ちゃんだった。






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