42 / 369
保養地での出来事2
しおりを挟む
ダンジョンを中心に発展した都市ドメル。
多くの冒険者が各地から集まってくる活気ある都市だ。貧しい小国のレダの中で、この都市は異彩を放っている。冒険者達の衣食住をサポートする多くの店舗が立ち並び、その周りには武器や防具、魔道具やポーション類等の専門店が軒を連ねる。そこに住むのは獣人だけではない。人族やドワーフやエルフも住み、それぞれの得意分野で商売を営んでいる。
そうなると当然周辺の都市や国との交易も盛んになり、商人達が慌ただしく荷馬車を行き来させているので、物資が滞る事も一切無い。
常に食材や商材が溢れていて、都市全体に行き渡っている。
その根幹にあるのは大きなダンジョンだ。
すでに50階層まで攻略されているが更に深層部分が続いている。そのダンジョンから運び出される魔物の換金対象部位や薬草、鉱物や宝玉、更にドロップアイテムや宝物で、都市全体が潤っているのだ。
それ故に街中で人々の喧騒が途絶える事が無い。街を歩く冒険者達の会話、武器や防具のガチャガチャと鳴り響く音、飲食店や雑貨店の呼び込みの声、時たま響き渡る喧嘩の罵声、その雰囲気を楽しむように歩く観光客達の歓声、街中を歩く人々の間を走り回る子供達の嬌声。
それらすべてがこの都市の姿を物語っている。
乾燥した気候の故に石畳の街路は埃っぽい。風は若干熱気を帯びていて街中の様々な匂いを運んでくる。飲食店の使っている様々なスパイスの混在した匂いが昼夜を問わず漂ってくるのもこの都市の特徴だ。
その埃っぽい石畳の街路をフィリップ王子とリリスは並んで歩いていた。
魔道具で偽装したその姿は狼の特徴を持つ獣人と白猫のような可愛らしい獣人のカップルである。獣人の冒険者が良く使うレザーアーマーとガントレットを着用し、頑丈そうなブーツを履いて歩く姿は、どこまでもこのダンジョンの街にふさわしい。
「リリス。ここでは僕の事を兄さんと呼ぶんだよ。」
「兄さんって・・・。狼と猫が兄妹になるんですか? 種類が別だと思うんですけど・・・」
「そんな細かい事を気に掛ける人などこの都市には居ないよ。」
そう言いながらアハハと笑う王子に呆れた眼差しを向けるリリスである。勿論完全に二人っきりではない。王子の周りをロイヤルガードが警護している気配は感じられる。
街路を行き交う人の数も多い。
歩きながらすれ違う人と肩がぶつかりそうになるリリスを案じて、フィリップ王子がおもむろにリリスの手を握った。
あっ!
手を握られちゃった。
思わず恥じらうリリスに王子は優しく微笑みかけた。
「迷子になりそうだから、このまま歩こうね。」
他意は無さそうだけど、指まで絡めて握るのはどうなのかしら?
まるで恋人繋ぎだわ。
それでも感謝しつつリリスは歩いた。
実際に迷子になりそうなほどに混雑しているからだ。
「それにしても人が多いね。いつもより5割増しだと思うよ。街主催のイベントでもあったのかな?」
そう言うと王子はリリスの手を引き、街路に面した一軒の飲食店に案内した。それほどに大きな店ではないが店内のテーブルはほとんどが客で埋まっている。その端の方でたまたま空いていたテーブルに辿り着き、リリスを座らせると王子はそのままカウンターに出向き、オーダーを店員に告げた。
本来は王族のする事じゃないわよね。
お忍びの偽装姿とは言いながら、フィリップ王子の配慮を申し訳なく思うリリスである。
「・・・兄さん、ありがとう。」
少し躊躇いながら発したリリスの言葉に王子はニヤッと笑った。
「この店には良く来るんだよ。サンドイッチが評判の店なんだ。」
王子の言葉が終わると同時のタイミングで、獣人の店員がトレーに乗せて王子のオーダーした物を運んできた。
「動きが素早いわねえ。身体強化でもしているのかしら?」
「それは無いと思うぞ。」
王子に突っ込まれててへっと舌を出したリリスだが、テーブルに置かれたサンドイッチとドリンクのセットに目が釘付けになった。
サンドイッチと言いながら、何処からどう見てもハンバーガーだ。
バンズ状のパンにたれを絡めた肉が葉物野菜と共に挟まれている。肉の上にはチーズらしきものが乗せられ、更にピクルスのような木の実の加工品まで入っている。
ドリンクはリリスも良く知っているラモの果汁を薄めたレモン風味の物だが、コップの内部には炭酸の泡が見えているのが驚きだ。
この世界に炭酸ドリンクってあったの?
驚くリリスの表情を王子は楽しんでいる様子だ。
「そのドリンクは見た事が無いと思うよ。このドメルの都市の外れで地下から湧き出ている水には泡が入っているんだ。少し喉に刺激があるけどすっきりするから飲んでごらん。」
要するに天然の炭酸泉の事なのね。
コップを掴み一口飲むと、口の中に炭酸の泡が広がる。ラモの果汁が少なめになっていて甘みを加えてあるので飲み口が良い。
これってレモン風味のサイダーじゃないの。
その世界に来てサイダーを飲むなんて思ってもみなかったわ。
そのままハンバーガー風のサンドイッチにかじり付くと、口の中に複雑な味と香りが広がった。甘めにたれが絡んだ肉はダンジョンの魔物の肉なのだろう。癖が無く旨味が凝縮されていて味わいがある。野菜やチーズと絡み合って、実に懐かしくなる味だ。
リリスの満足げな食べっぷりを見て、王子も満足げに自分のサンドイッチを食べ始めた。
時間的には遅い朝食と言ったところだが、店内にはひっきりなしに客が訪れる。街路を歩く人の数も増々増えてきている様子だ。
「それにしても人が多いね。」
そう言いながら王子は隣のテーブルに座っていた初老の夫婦に話し掛けた。
「何時になく人が多いようですが、何かイベントでもあるのですか?」
話し掛けられた温厚そうな獣人の男性がチラッと街路を眺めて口を開いた。
「最近は毎日こんな様子だよ。ギースの街から冒険者や観光客や商人達が流れてきているのだろうね。」
ギースは獣人の国レダの南の端にある都市で、このドメルと同じようにダンジョンを中心に発展した街だ。20階層ほどのダンジョンではあるが、その難易度は高く、ドロップアイテムも秀逸で、練度の高い上級の冒険者からの評価も高い。だがその難易度の故に強烈な魔物の犠牲になる者も後を絶たない。
それこそがギースの知名度を上げている要因である。
「ギースからですか? どうして・・・」
首を傾げる王子に獣人の男性が狼の耳をぴくっと動かした。
「おやっ? その様子だと知らないようだね。ギースのダンジョンがなくなっちゃったんだよ。」
ええっと驚いて王子は手にしていたドリンクを置き、おもむろに聞き返した。
「なくなったってどう言う事ですか?」
「半月ほど前、ギースのダンジョンが突然、単なる洞窟になったんだ。魔物が一切出てこなくなったんだよ。」
獣人の男性の言葉を補足するように、その夫人が話に加わってきた。
「一部の冒険者が言っていたわ。まるでダンジョンコアが何処かに行っちゃったみたいだって・・・」
その言葉を聞いてリリスは飲んでいたドリンクを吹き出しそうになってしまった。慌てて口に手をあて惨事を免れたが、その脳裏には獣人の夫人の言葉が強く響いていた。
ダンジョンコアが何処かへ行った・・・。
まさかあの亜神のかけらの仕業じゃないでしょうね。
水を司る亜神のかけら、ユリア。
リースの地下神殿をダンジョンにすると言っていたわね。
ダンジョンコアはどうするのかと聞いた時に、そんなものはどこかから持ってくるわよと言っていたユリアの言葉が、リリスの鮮明に脳裏に蘇ってきた。
まさか・・・。
慌てふためき、更に考え込むリリスの様子を見て、フィリップ王子も眉をひそめた。
「リリス。まさかと思うがこの件で何か知っている事があるのか?」
「あっ! いえ、別に何も・・・」
誤魔化したものの明らかに怪しまれている。フィリップ王子からの懐疑の眼差しが痛い。
何か言い訳をしようと考えていると、突然街路から大声が響き渡ってきた。
人を押しのけて担架に乗せられた血まみれの冒険者が幾人も運ばれていく。苦しそうな呻き声がその緊急度を実感させている。
その喧騒が過ぎ去ったと思っているうちに、再び大声で人を押しのけ担架が幾つも運ばれていく。
一体どれだけの怪我人が出ているのだろうか。
勿論ダンジョンでの怪我など自己責任だ。だがそれにしても重篤な怪我人が多すぎる。すでに10人以上が運ばれたようだ。
突然の出来事に王子もリリスも椅子から立ち上がり、不安な表情で街路の様子を見つめていた。
多くの冒険者が各地から集まってくる活気ある都市だ。貧しい小国のレダの中で、この都市は異彩を放っている。冒険者達の衣食住をサポートする多くの店舗が立ち並び、その周りには武器や防具、魔道具やポーション類等の専門店が軒を連ねる。そこに住むのは獣人だけではない。人族やドワーフやエルフも住み、それぞれの得意分野で商売を営んでいる。
そうなると当然周辺の都市や国との交易も盛んになり、商人達が慌ただしく荷馬車を行き来させているので、物資が滞る事も一切無い。
常に食材や商材が溢れていて、都市全体に行き渡っている。
その根幹にあるのは大きなダンジョンだ。
すでに50階層まで攻略されているが更に深層部分が続いている。そのダンジョンから運び出される魔物の換金対象部位や薬草、鉱物や宝玉、更にドロップアイテムや宝物で、都市全体が潤っているのだ。
それ故に街中で人々の喧騒が途絶える事が無い。街を歩く冒険者達の会話、武器や防具のガチャガチャと鳴り響く音、飲食店や雑貨店の呼び込みの声、時たま響き渡る喧嘩の罵声、その雰囲気を楽しむように歩く観光客達の歓声、街中を歩く人々の間を走り回る子供達の嬌声。
それらすべてがこの都市の姿を物語っている。
乾燥した気候の故に石畳の街路は埃っぽい。風は若干熱気を帯びていて街中の様々な匂いを運んでくる。飲食店の使っている様々なスパイスの混在した匂いが昼夜を問わず漂ってくるのもこの都市の特徴だ。
その埃っぽい石畳の街路をフィリップ王子とリリスは並んで歩いていた。
魔道具で偽装したその姿は狼の特徴を持つ獣人と白猫のような可愛らしい獣人のカップルである。獣人の冒険者が良く使うレザーアーマーとガントレットを着用し、頑丈そうなブーツを履いて歩く姿は、どこまでもこのダンジョンの街にふさわしい。
「リリス。ここでは僕の事を兄さんと呼ぶんだよ。」
「兄さんって・・・。狼と猫が兄妹になるんですか? 種類が別だと思うんですけど・・・」
「そんな細かい事を気に掛ける人などこの都市には居ないよ。」
そう言いながらアハハと笑う王子に呆れた眼差しを向けるリリスである。勿論完全に二人っきりではない。王子の周りをロイヤルガードが警護している気配は感じられる。
街路を行き交う人の数も多い。
歩きながらすれ違う人と肩がぶつかりそうになるリリスを案じて、フィリップ王子がおもむろにリリスの手を握った。
あっ!
手を握られちゃった。
思わず恥じらうリリスに王子は優しく微笑みかけた。
「迷子になりそうだから、このまま歩こうね。」
他意は無さそうだけど、指まで絡めて握るのはどうなのかしら?
まるで恋人繋ぎだわ。
それでも感謝しつつリリスは歩いた。
実際に迷子になりそうなほどに混雑しているからだ。
「それにしても人が多いね。いつもより5割増しだと思うよ。街主催のイベントでもあったのかな?」
そう言うと王子はリリスの手を引き、街路に面した一軒の飲食店に案内した。それほどに大きな店ではないが店内のテーブルはほとんどが客で埋まっている。その端の方でたまたま空いていたテーブルに辿り着き、リリスを座らせると王子はそのままカウンターに出向き、オーダーを店員に告げた。
本来は王族のする事じゃないわよね。
お忍びの偽装姿とは言いながら、フィリップ王子の配慮を申し訳なく思うリリスである。
「・・・兄さん、ありがとう。」
少し躊躇いながら発したリリスの言葉に王子はニヤッと笑った。
「この店には良く来るんだよ。サンドイッチが評判の店なんだ。」
王子の言葉が終わると同時のタイミングで、獣人の店員がトレーに乗せて王子のオーダーした物を運んできた。
「動きが素早いわねえ。身体強化でもしているのかしら?」
「それは無いと思うぞ。」
王子に突っ込まれててへっと舌を出したリリスだが、テーブルに置かれたサンドイッチとドリンクのセットに目が釘付けになった。
サンドイッチと言いながら、何処からどう見てもハンバーガーだ。
バンズ状のパンにたれを絡めた肉が葉物野菜と共に挟まれている。肉の上にはチーズらしきものが乗せられ、更にピクルスのような木の実の加工品まで入っている。
ドリンクはリリスも良く知っているラモの果汁を薄めたレモン風味の物だが、コップの内部には炭酸の泡が見えているのが驚きだ。
この世界に炭酸ドリンクってあったの?
驚くリリスの表情を王子は楽しんでいる様子だ。
「そのドリンクは見た事が無いと思うよ。このドメルの都市の外れで地下から湧き出ている水には泡が入っているんだ。少し喉に刺激があるけどすっきりするから飲んでごらん。」
要するに天然の炭酸泉の事なのね。
コップを掴み一口飲むと、口の中に炭酸の泡が広がる。ラモの果汁が少なめになっていて甘みを加えてあるので飲み口が良い。
これってレモン風味のサイダーじゃないの。
その世界に来てサイダーを飲むなんて思ってもみなかったわ。
そのままハンバーガー風のサンドイッチにかじり付くと、口の中に複雑な味と香りが広がった。甘めにたれが絡んだ肉はダンジョンの魔物の肉なのだろう。癖が無く旨味が凝縮されていて味わいがある。野菜やチーズと絡み合って、実に懐かしくなる味だ。
リリスの満足げな食べっぷりを見て、王子も満足げに自分のサンドイッチを食べ始めた。
時間的には遅い朝食と言ったところだが、店内にはひっきりなしに客が訪れる。街路を歩く人の数も増々増えてきている様子だ。
「それにしても人が多いね。」
そう言いながら王子は隣のテーブルに座っていた初老の夫婦に話し掛けた。
「何時になく人が多いようですが、何かイベントでもあるのですか?」
話し掛けられた温厚そうな獣人の男性がチラッと街路を眺めて口を開いた。
「最近は毎日こんな様子だよ。ギースの街から冒険者や観光客や商人達が流れてきているのだろうね。」
ギースは獣人の国レダの南の端にある都市で、このドメルと同じようにダンジョンを中心に発展した街だ。20階層ほどのダンジョンではあるが、その難易度は高く、ドロップアイテムも秀逸で、練度の高い上級の冒険者からの評価も高い。だがその難易度の故に強烈な魔物の犠牲になる者も後を絶たない。
それこそがギースの知名度を上げている要因である。
「ギースからですか? どうして・・・」
首を傾げる王子に獣人の男性が狼の耳をぴくっと動かした。
「おやっ? その様子だと知らないようだね。ギースのダンジョンがなくなっちゃったんだよ。」
ええっと驚いて王子は手にしていたドリンクを置き、おもむろに聞き返した。
「なくなったってどう言う事ですか?」
「半月ほど前、ギースのダンジョンが突然、単なる洞窟になったんだ。魔物が一切出てこなくなったんだよ。」
獣人の男性の言葉を補足するように、その夫人が話に加わってきた。
「一部の冒険者が言っていたわ。まるでダンジョンコアが何処かに行っちゃったみたいだって・・・」
その言葉を聞いてリリスは飲んでいたドリンクを吹き出しそうになってしまった。慌てて口に手をあて惨事を免れたが、その脳裏には獣人の夫人の言葉が強く響いていた。
ダンジョンコアが何処かへ行った・・・。
まさかあの亜神のかけらの仕業じゃないでしょうね。
水を司る亜神のかけら、ユリア。
リースの地下神殿をダンジョンにすると言っていたわね。
ダンジョンコアはどうするのかと聞いた時に、そんなものはどこかから持ってくるわよと言っていたユリアの言葉が、リリスの鮮明に脳裏に蘇ってきた。
まさか・・・。
慌てふためき、更に考え込むリリスの様子を見て、フィリップ王子も眉をひそめた。
「リリス。まさかと思うがこの件で何か知っている事があるのか?」
「あっ! いえ、別に何も・・・」
誤魔化したものの明らかに怪しまれている。フィリップ王子からの懐疑の眼差しが痛い。
何か言い訳をしようと考えていると、突然街路から大声が響き渡ってきた。
人を押しのけて担架に乗せられた血まみれの冒険者が幾人も運ばれていく。苦しそうな呻き声がその緊急度を実感させている。
その喧騒が過ぎ去ったと思っているうちに、再び大声で人を押しのけ担架が幾つも運ばれていく。
一体どれだけの怪我人が出ているのだろうか。
勿論ダンジョンでの怪我など自己責任だ。だがそれにしても重篤な怪我人が多すぎる。すでに10人以上が運ばれたようだ。
突然の出来事に王子もリリスも椅子から立ち上がり、不安な表情で街路の様子を見つめていた。
40
あなたにおすすめの小説
異世界転生した女子高校生は辺境伯令嬢になりましたが
初
ファンタジー
車に轢かれそうだった少女を庇って死んだ女性主人公、優華は異世界の辺境伯の三女、ミュカナとして転生する。ミュカナはこのスキルや魔法、剣のありふれた異世界で多くの仲間と出会う。そんなミュカナの異世界生活はどうなるのか。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
天才魔導医の弟子~転生ナースの戦場カルテ~
けろ
ファンタジー
【完結済み】
仕事に生きたベテランナース、異世界で10歳の少女に!?
過労で倒れた先に待っていたのは、魔法と剣、そして規格外の医療が交差する世界だった――。
救急救命の現場で十数年。ベテラン看護師の天木弓束(あまき ゆづか)は、人手不足と激務に心身をすり減らす毎日を送っていた。仕事に全てを捧げるあまり、プライベートは二の次。周囲からの期待もプレッシャーに感じながら、それでも人の命を救うことだけを使命としていた。
しかし、ある日、謎の少女を救えなかったショックで意識を失い、目覚めた場所は……中世ヨーロッパのような異世界の路地裏!? しかも、姿は10歳の少女に若返っていた。
記憶も曖昧なまま、絶望の淵に立たされた弓束。しかし、彼女が唯一失っていなかったもの――それは、現代日本で培った高度な医療知識と技術だった。
偶然出会った獣人冒険者の重度の骨折を、その知識で的確に応急処置したことで、弓束の運命は大きく動き出す。
彼女の異質な才能を見抜いたのは、誰もがその実力を認めながらも距離を置く、孤高の天才魔導医ギルベルトだった。
「お前、弟子になれ。俺の研究の、良い材料になりそうだ」
強引な天才に拾われた弓束は、魔法が存在するこの世界の「医療」が、自分の知るものとは全く違うことに驚愕する。
「菌?感染症?何の話だ?」
滅菌の概念すらない遅れた世界で、弓束の現代知識はまさにチート級!
しかし、そんな彼女の常識をさらに覆すのが、師ギルベルトの存在だった。彼が操る、生命の根幹『魔力回路』に干渉する神業のような治療魔法。その理論は、弓束が知る医学の歴史を遥かに超越していた。
規格外の弟子と、人外の師匠。
二人の出会いは、やがて異世界の医療を根底から覆し、多くの命を救う奇跡の始まりとなる。
これは、神のいない手術室で命と向き合い続けた一人の看護師が、新たな世界で自らの知識と魔法を武器に、再び「救う」ことの意味を見つけていく物語。
転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。
無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す
紅月シン
ファンタジー
七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。
才能限界0。
それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。
レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。
つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。
だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。
その結果として実家の公爵家を追放されたことも。
同日に前世の記憶を思い出したことも。
一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。
その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。
スキル。
そして、自らのスキルである限界突破。
やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。
※小説家になろう様にも投稿しています
みそっかす銀狐(シルバーフォックス)、家族を探す旅に出る
伽羅
ファンタジー
三つ子で生まれた銀狐の獣人シリル。一人だけ体が小さく人型に変化しても赤ん坊のままだった。
それでも親子で仲良く暮らしていた獣人の里が人間に襲撃される。
兄達を助ける為に囮になったシリルは逃げる途中で崖から川に転落して流されてしまう。
何とか一命を取り留めたシリルは家族を探す旅に出るのだった…。
異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~
存在証明
ファンタジー
不慮の事故によって異世界に転生したカイ。異世界でも家族に疎まれる日々を送るがある日赤い瞳の少年と出会ったことによって世界が一変する。突然街を襲ったスタンピードから2人で隣国まで逃れ、そこで冒険者となったカイ達は仲間を探して冒険者ライフ!のはずが…?!
はたしてカイは運命をぶち壊して幸せを掴むことができるのか?!
火・金・日、投稿予定
投稿先『小説家になろう様』『アルファポリス様』
生活魔法は万能です
浜柔
ファンタジー
生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。
それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。
――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる