ひだまりを求めて

空野セピ

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第零章 全ての始まり

封印すべき物

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 ルーゼア暦2430年。
 惑星フォルンが誕生した時に出来たと言われる一つの宝玉が突如暴走した。
 その宝玉はルビーよりも透き通った美しい水晶石で、その輝きは西の空に沈む太陽の如く、眩しい光を放っている。
 人々は遥か昔からそれを「ガーネ」と呼び、神聖なる証として代々崇めていた。

 しかし、そのガーネが突如原因不明の暴走を引き起こし、各地で異常気象、自然災害が起き、大地は裂かれ森は枯れ、やがてその天変地異に人々は巻き込まれ、沢山の人間、動物達が息絶えていった。

 人々は惑星フォルンが誕生した時から存在すると言われている、精霊達の怒りが地上に現れたのだと怯えていたが、そのような中、原因不明のガーネの暴走を食い止めようと立ち向かった二人組みがいた。

 地上ではない何処かの閉鎖的な空間に、二人の若い男性と女性が立っていた。
 辺りは白い壁で、床も白い大理石で出来ていて、全体的に白い空間が広がっている。
 そんな空間の影響で目に負荷が掛かり目を細めながら、二人の男女は真剣な表情であるものを真っ直ぐ見つめている。
 二人の目線は、眩い光を放つ水晶石「ガーネ」に向けられていた。

 男性が一歩前に進むと、女性は不安そうに男性の背中を見つめ、緊張故か、言葉が喉に引っかかりそうになりながらも声を出した。

「ルーゼ、これでガーネの暴走は止まるのでしょうか?」
「分からない。しかし心配は無用だマリア。高等封印陽術を使えば、少なからず暴走は食い止める事が出来るだろう」

 ルーゼと呼ばれた男性は、群青色の髪の奥に輝く翡翠の瞳を細め、マリアと呼ばれた女性の肩を優しく叩いた。
 マリアの深い青の髪が揺れ、銀色の瞳が不安げにルーゼの表情を捉える。

「でも、この術を使えば精霊達が更に傷付いてしまいます」
「大丈夫だ。そうならない為に精霊召喚士の者からコレを授かったのだから」

 そう言うと、ルーゼは首元から澄んだエメラルドの鉱石を取り出した。

「お前も精霊召喚士から聞いただろう。この鉱石は特殊な鉱石だ。この鉱石を用いれば、精霊達を傷付けずに、より強力な封印の術式を描けると」

ルーゼの言葉に、マリアは素直に頷けなかった。

「でも、その術を使うと貴方の体が……! この術は禁術にもなっているのですよ!?」

「それでもやるしかないだろ。この世界の生命体が全て生きる為だ。どの道、このままだとフォルン自体が危ない。精霊達も更に苦しむ。お前だって、これ以上犠牲者を増やしたくないだろう?」

 マリアの両肩を掴むルーゼの手に、力が込められた。

 数々の天変地異で大地は荒れ、各地で多数の犠牲者が出ているのは事実だ。
 人間だけでなく、動物や植物達も沢山傷付き、徐々に失われている。
ルーゼもマリアも、それらを数多く見てきた。
 失われていく大地、自然。助けを求める声、悲鳴。
 ここに来るまで沢山の涙を流し、どれだけの命を救えなかったか。

 ルーゼの言葉にマリアは頷くと、ルーゼが握るエメラルドの鉱石に手を添えた。

「私も、これ以上犠牲を出したくありません。やりましょう、ルーゼ」
「ああ。大丈夫だ、必ず成功させる」
「精霊達よ……どうか、私達を許して下さい。そして、私達に力を」

 マリアが小さく言葉を吐くと同時に、ルーゼはマリアに寄り添い、マリアはルーゼの右手に握られた鉱石に左手を添え、互いに鉱石を握り締めた手をガーネへと向けた。
 二人の掌に沢山の光が集まり、足元に金色の魔法陣が出現した。
 その魔法陣は複雑な形を作りながら空間全体に広がり、強い金色の光を放つ。
 ルーゼとマリアの掌に集まった光も、共鳴するかの様に更に強く輝いた。

 同時に、二人の体に雷撃を直接食らったような激痛が走り、あまりの苦しさに、ルーゼは膝を着きそうになるが、なんとかその痛みをこらえた。
 術の強さに、身体が耐えきれていないのだ。

「ルーゼ! 大丈夫ですか!?」
「大丈夫だ……これ程強い術とはな。精霊の鉱石が有るとは言え、これ以上耐え切れるかどうか……」

 額に汗を滲ませながら、ルーゼはガーネを睨み付けた。
 ガーネの周りに複数の魔法陣が終結し、無数の光の束が巻きつくようにガーネを包み込む。
 ガーネが更に強い光を発すると同時に、ルーゼは全身に宿る力を一気に放出した。

「古より存在せし禁忌の力、光と共に虚無の彼方に封印せよ!」
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