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第二章 旅立ちの決意
黒い影を追って
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フィルの言葉に、マッドとティミーは顔色を変える。
「魔物って、一体何匹入ったんだ」
「村の人達は? 急いで避難させないと」
「落ち着け! まだ、村に被害は出てない」
焦りと不安を隠せないマッドとティミーに、フィルは落ち着くように促した。
しかし、その表情は硬く、顔色も悪い。
「被害は出ていないんだが、森の奥にいるような魔物じゃ無かった。いや、アレは魔物と言えるのか……」
「落ち着けフィル。お前が一番落ち着いてねぇだろ」
マッドはフィルの両方を掴み、深呼吸する様に促す。
マッドの言葉通りにフィルは深呼吸をすると、落ち着いたのかマッドとティミーを交互に見た。
「黒い影……黒い影が突然村の外から入り込んで来たんだ。でも誰かを傷付けているわけでも無い。念の為、牧場の奴等と協力して皆、家の中に入る様に言って周っているんだが……」
「それで人が疎らだったのか……」
「フィル、村長さん知らない? 家にいなかったんだけど」
ティミーは不安そうにフィルを見上げる。
しかし、フィルは首を横に振った。
「すまないが、俺は見ていない。だが、黒い影に気付いて自衛団と一緒に黒い影の所に行っているのかもしれない」
「その黒い影ってのは、どこにいるんだ?」
マッドの言葉に、フィルは北の方角を指す。
「デカイ風車小屋があるほうに向かった。だが、今もそこにいるかどうか」
「俺、行ってみる。村長も異変に気付いて黒い影の所に行ってるのかもしれねぇ」
「わ、私も行く!」
ティミーはマッドの袖を掴んだ。村長夫妻を心配しているのだろう。
マッドはフィルに木の実を預け、ティミーの方へと振り返る。
「何があるか分からねぇ。危ないと感じたら直ぐ逃げろよ」
「うん! フィルはそのまま他の皆に家へ入るように促して!」
マッドとティミーは、黒い影の所に行く気満々だ。
そんな二人に、フィルは小さく笑い、フッと息を吐く。
「頼もしいな。こっちは任せろ。それはそうとマッド」
「何だよ」
フィルは真剣な眼差しでマッドを見た。
「お前のほうこそ、無理はするなよ」
「解ってる。行くぞティミー!」
「うん!」
マッドとティミーは、北の方へと走って行った。
姿が見えなくなり、フィルは更に不安な表情となる。
「……マッドは、命懸けでティミーを護ろうとするだろうからな。たとえ、結界が張れなくても」
フィルの呟いた言葉は、誰にも聞こえる事は無かった。
北の方角を目指し、マッドとティミーは走って行った。
村人達は、フィルが呼び掛けてくれたお陰か、殆どの人が家の中に入っている様子だ。
今の所村が荒らされた形跡は無く、マッドは少しホッとしている。
「この辺は大丈夫みたいだな」
「黒い影って、何なんだろう。そんな魔物、見た事無いよね」
走りながらマッドとティミーは当たりの様子を伺うも、特に変わった様子は無いが、黒い影を見つける事は出来なかった。
程なくして、風車小屋へと辿り着いた。
「はぁ、だいぶ北の方に来たが」
「何も、いないよね……」
足を止め辺りを見回すも、村人達は家の中へ避難している為誰もいない。
不気味な程の静寂さに包まれ、マッドとティミーは小さく息を飲む。
――すると、突如。
バンッ!!
「なっ、何だ!?」
「見てっ、風車小屋がっ!」
突如、大きな音を立て風車小屋から煙が上がる。
慌ててマッドとティミーは風車小屋へ駆け寄ると、そこには村長夫妻が、血を流して倒れていた。
「レミーおばさん! 村長さん!」
ティミーは顔色を変えて、村長夫妻へと駆け寄り、二人の近くに座り込んだ。
傷の様子を見ると、レミーは左腕から血を流していて、村長は頭と胸から血を流していた。
ティミーは慌てて村長夫妻の傷口にハンカチとガーゼを強く当てるも、直ぐに血を吸い上げ赤く染まってしまう。
「くっ……ティミー、逃げなさい」
「レミーおばさん! 喋っちゃ駄目!」
「私は大丈夫だから……それより、ロダンを」
レミーは苦しそうに声を上げ、ティミーは更に焦りを隠せなくなっていた。
「マッド、どうしよう! このままだと二人共っ……」
「ティミー落ち着け! レミーおばさんは大丈夫だ。そこまで血も出てねぇ。村長の止血を優先した方が良い。頭からの出血が一番やべぇぞ」
「魔物って、一体何匹入ったんだ」
「村の人達は? 急いで避難させないと」
「落ち着け! まだ、村に被害は出てない」
焦りと不安を隠せないマッドとティミーに、フィルは落ち着くように促した。
しかし、その表情は硬く、顔色も悪い。
「被害は出ていないんだが、森の奥にいるような魔物じゃ無かった。いや、アレは魔物と言えるのか……」
「落ち着けフィル。お前が一番落ち着いてねぇだろ」
マッドはフィルの両方を掴み、深呼吸する様に促す。
マッドの言葉通りにフィルは深呼吸をすると、落ち着いたのかマッドとティミーを交互に見た。
「黒い影……黒い影が突然村の外から入り込んで来たんだ。でも誰かを傷付けているわけでも無い。念の為、牧場の奴等と協力して皆、家の中に入る様に言って周っているんだが……」
「それで人が疎らだったのか……」
「フィル、村長さん知らない? 家にいなかったんだけど」
ティミーは不安そうにフィルを見上げる。
しかし、フィルは首を横に振った。
「すまないが、俺は見ていない。だが、黒い影に気付いて自衛団と一緒に黒い影の所に行っているのかもしれない」
「その黒い影ってのは、どこにいるんだ?」
マッドの言葉に、フィルは北の方角を指す。
「デカイ風車小屋があるほうに向かった。だが、今もそこにいるかどうか」
「俺、行ってみる。村長も異変に気付いて黒い影の所に行ってるのかもしれねぇ」
「わ、私も行く!」
ティミーはマッドの袖を掴んだ。村長夫妻を心配しているのだろう。
マッドはフィルに木の実を預け、ティミーの方へと振り返る。
「何があるか分からねぇ。危ないと感じたら直ぐ逃げろよ」
「うん! フィルはそのまま他の皆に家へ入るように促して!」
マッドとティミーは、黒い影の所に行く気満々だ。
そんな二人に、フィルは小さく笑い、フッと息を吐く。
「頼もしいな。こっちは任せろ。それはそうとマッド」
「何だよ」
フィルは真剣な眼差しでマッドを見た。
「お前のほうこそ、無理はするなよ」
「解ってる。行くぞティミー!」
「うん!」
マッドとティミーは、北の方へと走って行った。
姿が見えなくなり、フィルは更に不安な表情となる。
「……マッドは、命懸けでティミーを護ろうとするだろうからな。たとえ、結界が張れなくても」
フィルの呟いた言葉は、誰にも聞こえる事は無かった。
北の方角を目指し、マッドとティミーは走って行った。
村人達は、フィルが呼び掛けてくれたお陰か、殆どの人が家の中に入っている様子だ。
今の所村が荒らされた形跡は無く、マッドは少しホッとしている。
「この辺は大丈夫みたいだな」
「黒い影って、何なんだろう。そんな魔物、見た事無いよね」
走りながらマッドとティミーは当たりの様子を伺うも、特に変わった様子は無いが、黒い影を見つける事は出来なかった。
程なくして、風車小屋へと辿り着いた。
「はぁ、だいぶ北の方に来たが」
「何も、いないよね……」
足を止め辺りを見回すも、村人達は家の中へ避難している為誰もいない。
不気味な程の静寂さに包まれ、マッドとティミーは小さく息を飲む。
――すると、突如。
バンッ!!
「なっ、何だ!?」
「見てっ、風車小屋がっ!」
突如、大きな音を立て風車小屋から煙が上がる。
慌ててマッドとティミーは風車小屋へ駆け寄ると、そこには村長夫妻が、血を流して倒れていた。
「レミーおばさん! 村長さん!」
ティミーは顔色を変えて、村長夫妻へと駆け寄り、二人の近くに座り込んだ。
傷の様子を見ると、レミーは左腕から血を流していて、村長は頭と胸から血を流していた。
ティミーは慌てて村長夫妻の傷口にハンカチとガーゼを強く当てるも、直ぐに血を吸い上げ赤く染まってしまう。
「くっ……ティミー、逃げなさい」
「レミーおばさん! 喋っちゃ駄目!」
「私は大丈夫だから……それより、ロダンを」
レミーは苦しそうに声を上げ、ティミーは更に焦りを隠せなくなっていた。
「マッド、どうしよう! このままだと二人共っ……」
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