ひだまりを求めて

空野セピ

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第二章 旅立ちの決意

村の異変

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 マッドは剣を鞘に収めると、ニアの実が入っている籠を持ち、再び歩き出すとティミーも慌てて後を追い、二人は辺りを警戒しながら先へと進んでいった。
 暫く進んでいくと、小さな橋が見え、橋の手前でマッドはふと足を止める。
 急に立ち止まったマッドを、ティミーは不思議そうに見た。

「どうしたの? マッド」

「いや、川の流れ可笑しくね?」

「流れ?」

 マッドの言葉に、ティミーは少し前に出て橋の下を覗いた。
 この川の水は、ルグート村の北西に位置する山の雪が雪解け水となり、流れている。
 その為、純度がとても高く、村人達の水源にもなっている。
 純度も、いつも通り綺麗だ。 ただ、いつもと違う所がある。
 いつも穏やかに流れている川の流れが、明らかに速かった。
 ティミーは心配そうに、その川の流れを見詰める。

「なにこれ、川の流れが速いよ?」

「だろ? 大規模な雪解けでもあったのか? そこまで暖かくなったとは思えないが」

「どうだろう、村長さんに聞いてみる?」

「そうだな、とにかく村に戻ろうぜ」

 自分達で原因を探るのは難しいと判断したのか、マッドとティミーは足早に村に向けて歩き出した。


 魔物も出ること無く村に着いたマッドとティミーは、直ぐに村長の家に向かった。
 日の光が暖かく村を包み、村人たちも外に出始めていて、畑仕事や農作業に取り掛かっている。
 しかし、どこと無くいつもより人が少ないが、騒がしい感じがした。

「何だか騒がしいね」

「そうだな、何かあったのか?」

 マッドとティミーも村人の騒がしさに疑問を抱いたが、あまり深くは考えず、村長の家を目指した。
 数分歩き、家の前に着くとティミーがゆっくりと扉を開ける。

「村長さん、レミーおばさん、ただいま」

「よう、邪魔するぜ」

 中に入り挨拶をするが、返事が返って来ない。  
 中を見渡すとガラリとしていて、人のいる気配が無かった。

「あれ? 可笑しいなあ。何時もならもう起きてるのに」

「寝坊じゃねえのか? 二階にいねえのか」

「寝坊はありえないよ。もしかしてスーおばあちゃんの所かな。私が森に行っていたから、代わりに特注取りに行ったのかも……」

「でも、村長も居ないとか可笑しいだろ。ああ、もしかしたら村長は散歩かもな」

 ニアの実が入った籠を玄関の隣に置くと、マッドは階段の方へ向かった。

「おーい、村長?」

「レミーおばさん、村長さーん!」

 マッドとティミーが叫ぶも、家の中は直ぐに静寂に包まれた。

「居ないみたい……どうしよう、村長さん達探しに行く?」

「そのうち帰って来るんじゃねえのか? まあ、探しに行っても良いけどよ」

「じゃあ、探しにいこ! 二人共居ないのって、今まで無かったから」

 若干不安そうな表情のティミーを見て、マッドも何処か不安になる。
 家を出て、二人はスーの所へ向かった。
 レミーが石鹸を特注している為、スーの所へ取りに行ってる可能性が高いと予想を立てたのだ。
 歩いていると、村人たちの話し声が再び二人の耳に入ってきた。
 何事だろうと、マッドは辺りを見回す。
 見る限りは、いつも通りの光景だが、先程より人が少なくなっていた。
 農作業をしている村人も、いつの間にかいなくなっている。
 その光景に、マッドは微かに眉を潜めた。

「なんだか、人が少ねえな」

「どうしたんだろうね? あれ、あそこにいるの、フィルじゃない?」

「本当だ」

 別れ道の真ん中に、水色の髪の青年が立っていた。
 フィルもこちらに気付いたのか、二人を見ると小さく手を動かし、「此方に来い」と合図をする。
 マッドとティミーは不思議そうにフィルを見て、早歩きでフィルの所に向かった。

「フィル、なにやってるのこんな所で?」

「まーたルグート牛が脱走したのか?」

 茶化すようにマッドが言うと、フィルは険しい表情を浮かべながら二人を見た。
 その表情に、マッドとティミーは思わず息を呑む。
 額に汗を浮かべ、フィルは震えながら口を開いた。

「魔物が、村の中に侵入した」
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