ひだまりを求めて

空野セピ

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第二章 旅立ちの決意

交戦

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 苦しさで意識を手放しかけた瞬間、男の身体がぐらつき、ティミーは目を見開く。

「てめぇ! 俺が相手だ! ティミーから離れろ!」

 マッドの叫び声と同時に、男の手が緩まった。
 マッドが剣圧を放ったのだ。
 男はゆっくりとマッドの方へ振り返り、冷ややかに見下ろす。
 マッドは一気に距離を詰め、斬りつけるも男は大剣で受け流していく。
 剣と大剣が交わる男を聞きながら、ティミーは咳き込みつつ村長夫妻の元へと這いずった。

「村長さんっ……怪我、は」

「ティミーの方が酷い怪我じゃろうっ……」

「私は、大丈夫です……それより、避難しないと……」

 ふらつきながらも村長を起こそうとするティミーだが、力が入らず中々起こす事が出来ない。
 一人ではどうする事も出来ずに悩んでいると、ふいに近づいてくる人影が見えた。

「村長! 大丈夫ですか!?」

「これは一体……」

 駆けつけてくれたのはフィルと自衛団の人間数人だった。
 村の住人に呼びかけが終わったのだろう。
 村長夫妻とティミーの怪我を見て、フィルは村長をゆっくりと抱き抱え、他の自衛団の人達はレミーとティミーに肩を貸し、ゆっくりと身体を起こさせた。
 その様子を一瞬見ていたマッドは、フィルに視線を送る。

「フィル! ティミー達を頼む! 俺はコイツをなんとかする!」

「でも、お前一人じゃ!」

「何とかするしかねぇだろ! 出来るだけティミー達をコイツから遠ざけろ!」

「……分かった。無理はするなよ!」

 マッドの気迫にフィルは押され、村長を抱えて走り出す。
 自衛団の人達もレミーとティミーに肩を貸し、急いでその場から離れた。

「マッド! 闘っちゃ駄目! 逃げてっ!」

 自衛団の人達に連れて行かれながらティミーは叫ぶも、マッドはその言葉を無視し、男に剣先を向ける。
 ティミーの言葉は、マッドに届いていなかった。

「これで一対一だぜ」

「……貴様に用はない」

「お前の目的は何だ! ティミーを狙っていたよな? アイツが何したってんだ!」

 マッドは男を睨みつけ問い掛ける。
 男は無表情のまま、大剣をマッドに突き付けた。

「俺は、あの女が持つ〈あるモノ〉を奪いに来た。あれは人間の手に渡ってはいけない」

「〈あるモノ〉って、何なんだよ!」

 男は冷ややかに目付きを鋭くさせる。

「世界の理を崩すものだ。汚れた人間が持つべきものではない」

「あぁ!? 何だよそりゃ! 世界の理だが何だか知らねぇが、ティミーはそんなもの持ってねぇ! 良いからこの村から出て行け! じゃねぇと、俺がお前を倒すぞ!」

マッドの言葉に、男は嘲笑うかのように口角を上げた。

「お前が俺を倒す? 倒せる訳が無いだろう。お前は……」

 男はそう呟くと、黒い稲妻を発生させマッドに放った。
 マッドは直ぐに剣を盾変わりにするも、防ぎきれずに吹っ飛ばされてしまう。

「ぐっ……」

「やはりな。貴様は結界を張ることが出来ない。陽術を防ぐ結界すら張れず、俺を倒せると思うか? 馬鹿馬鹿しい」

 冷ややかに言われ、マッドは剣を地面に突き刺し状態を起こした。
 男に言われた言葉が引っかかり、マッドは男を睨み付ける。

「確かに俺は結界も張れねぇし、陽術だって使えねぇ! だがな、剣だけは自身あるんだ! 今まで鍛錬してきた剣の腕を舐めるなよ!」 

 マッドは再び剣を握り、男に向かって振り下ろす。
 その力は、先程よりも強く、男は大剣で受け止めたが、剣から衝撃が伝わり、微かに腕に痺れを感じた。
 男はフッと笑い、軽々と押し返す。
 刃同士が再び重なり、火花が散った。

「どれだけ努力した所で無駄だ。弱い者は、弱いままだ」

「うるせぇな……!」

「人間は弱くて愚かで傲慢だ。強くなんてなれない」

「うるせぇって言ってんだろうがぁ!!」

 ガキンッ! と剣が弾かれる音が響き渡る。
 体重を一気にかけ、大剣を薙ぎ払う。
 一瞬だった。マッドが男の大剣を弾き飛ばしたのだ。

「はぁ、はぁ……」

「……」

 マッドは息を上げ、剣を男の首元に突き付ける。
 しかし男は息を切らしておらず、不適に笑みを浮かべていた。

「……俺を倒した所で、お前の力だけでは、どうにもならないだろうな」

「はぁ? 何言ってんだてめぇ」

 このまま剣を引けば、男の首を斬ることが出来る。
 しかし、男は笑ったままだった。

「何れ何もかも滅ぶ。この村も、この世界も」
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