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第二章 旅立ちの決意
自責するティミー
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「マッド! 無事じゃったか!」
「良かった……! 怪我は無い? 大丈夫?」
「大丈夫だ。フィルが治してくれた」
服に血は滲んでいたが、フィルの治癒陽術のお陰でだいぶ楽になったマッドは小さく笑った。
そして、直ぐにベッドの縁に座っているティミーに視線を送る。
ティミーは身体を丸くし、ガタガタと震えていた。
その様子に、マッドは近付きティミーと目線を合わせ、ティミーの顔を覗き込む。
「ティミー、大丈夫か? 怪我は……フィルに治してもらったんだな」
マッドが優しく話しかけると、ティミーは何かが切れたようにポロポロと涙を流し始めた。
「おっ、おい、ティミー!?」
「マッド……ごめん……ごめんね……私のせいで、大怪我、しちゃって……」
「た、大した事ねぇよ。それに、フィルが治してくれたし」
震えるティミーの肩に触れ、マッドは安心させようと微笑む。
しかし、ティミーの瞳からは次々と涙が溢れ出していた。
「あの男が、水を呼び寄せたんでしょう……? あの男が、マッドを傷付けたんでしょう……?」
「……そうだな。アイツ、自分の事をレンと名乗ってた。アイツが消えてから直ぐに、水が押し寄せたんだ。それに、アイツ……」
次の言葉を言おうとして、マッドは口を閉じた。
その様子に、フィルは不思議そうな表情をする。
「何が有ったんだ?」
「……いや」
言葉を詰まらせるマッドに、ティミーは小さく口を開いた。
「私の、せいなの……かな……あのレン、って人、何かを奪おうとしてた……でも、私、身に覚えが無くて……」
「ティミー、それは……」
違う。と言えなかった。
レンは言っていた。ティミーを殺してでも、必ず〈あるモノ〉を奪うと。
(このままじゃ、あのレンとかいう男は、またこの村を襲ってくる可能性がある。それに、ティミーだって……)
マッドは無意識にティミーを抱き寄せた。
その腕に力が入り、ティミーは思わずマッドの顔を見上げる。
「マッド……私、やっぱり狙われてるんだね」
「ティミー……」
その言葉はとても小さく、震えていた。
事情を飲み込めていない村長夫妻とフィルは戸惑いを隠せず、そのままマッドとティミーを見ている。
マッドは小さく息を吐き、三人に視線を向けた。
「悪りぃ三人共。ちょっとティミーと二人きりにさせてくれないか」
マッドの言葉に、フィルは小さく頷く。
「分かった。村長様。レミー様も、一度部屋から出ましょう」
「……そうじゃな。ワシらはフィルの治癒陽術で歩けるまで回復したから村の様子を見てくる。夕方前には戻るようにするよ」
「悪りぃな、フィル」
フィルは村長夫妻を部屋から出し、自分も部屋を出ようとした時に、マッドとティミーの方を振り返った。
「マッド、ティミー。俺はお前達の決断を全て受け入れるからな。俺は何があってもお前達の味方だ。それだけは忘れるなよ」
そう言い残し、フィルは扉を静かに閉めた。
部屋にはマッドとティミーの二人だけになり、静けさが再び辺りを支配する。
(フィルの奴、察しがいいな)
小さく笑うと、マッドは優しくティミーの背中を摩り、口を開いた。
「ティミー。お前まさか、自分のせいで村がこうなったとか考えてるんじゃねぇだろうな?」
マッドの言葉に、ティミーは小さく頷き、肩を震わせた。
「そうだよ……私のせいだよ。だって、レンって人、私の何かを奪いに来たって言ってたじゃない! 私のせいで、マッドも大怪我しちゃったし、村長さん達だって……村だってこんなぐちゃぐちゃになっちゃったんだよっ!」
ティミーは溜め込んでいた事を一気に爆発させた。
震える声で、声を出して泣き上げる。
マッドはそんなティミーを優しく抱きしめ、ずっと背中を摩り続けた。
「みんな、私のせいで傷付けた……! 私、何も分からないのにっ……でも、レンは確実に私を狙っていた! 私が全部悪いんだよっ……」
「……違うだろ。だって、ティミーは何もしてないじゃないか」
「でもっ……もしかしたらまたレンは私を襲って来るかもしれない! そしたら、またマッド達を傷付けるかもしれないし、今度こそ村だって壊滅しちゃうかもしれないっ……」
「良かった……! 怪我は無い? 大丈夫?」
「大丈夫だ。フィルが治してくれた」
服に血は滲んでいたが、フィルの治癒陽術のお陰でだいぶ楽になったマッドは小さく笑った。
そして、直ぐにベッドの縁に座っているティミーに視線を送る。
ティミーは身体を丸くし、ガタガタと震えていた。
その様子に、マッドは近付きティミーと目線を合わせ、ティミーの顔を覗き込む。
「ティミー、大丈夫か? 怪我は……フィルに治してもらったんだな」
マッドが優しく話しかけると、ティミーは何かが切れたようにポロポロと涙を流し始めた。
「おっ、おい、ティミー!?」
「マッド……ごめん……ごめんね……私のせいで、大怪我、しちゃって……」
「た、大した事ねぇよ。それに、フィルが治してくれたし」
震えるティミーの肩に触れ、マッドは安心させようと微笑む。
しかし、ティミーの瞳からは次々と涙が溢れ出していた。
「あの男が、水を呼び寄せたんでしょう……? あの男が、マッドを傷付けたんでしょう……?」
「……そうだな。アイツ、自分の事をレンと名乗ってた。アイツが消えてから直ぐに、水が押し寄せたんだ。それに、アイツ……」
次の言葉を言おうとして、マッドは口を閉じた。
その様子に、フィルは不思議そうな表情をする。
「何が有ったんだ?」
「……いや」
言葉を詰まらせるマッドに、ティミーは小さく口を開いた。
「私の、せいなの……かな……あのレン、って人、何かを奪おうとしてた……でも、私、身に覚えが無くて……」
「ティミー、それは……」
違う。と言えなかった。
レンは言っていた。ティミーを殺してでも、必ず〈あるモノ〉を奪うと。
(このままじゃ、あのレンとかいう男は、またこの村を襲ってくる可能性がある。それに、ティミーだって……)
マッドは無意識にティミーを抱き寄せた。
その腕に力が入り、ティミーは思わずマッドの顔を見上げる。
「マッド……私、やっぱり狙われてるんだね」
「ティミー……」
その言葉はとても小さく、震えていた。
事情を飲み込めていない村長夫妻とフィルは戸惑いを隠せず、そのままマッドとティミーを見ている。
マッドは小さく息を吐き、三人に視線を向けた。
「悪りぃ三人共。ちょっとティミーと二人きりにさせてくれないか」
マッドの言葉に、フィルは小さく頷く。
「分かった。村長様。レミー様も、一度部屋から出ましょう」
「……そうじゃな。ワシらはフィルの治癒陽術で歩けるまで回復したから村の様子を見てくる。夕方前には戻るようにするよ」
「悪りぃな、フィル」
フィルは村長夫妻を部屋から出し、自分も部屋を出ようとした時に、マッドとティミーの方を振り返った。
「マッド、ティミー。俺はお前達の決断を全て受け入れるからな。俺は何があってもお前達の味方だ。それだけは忘れるなよ」
そう言い残し、フィルは扉を静かに閉めた。
部屋にはマッドとティミーの二人だけになり、静けさが再び辺りを支配する。
(フィルの奴、察しがいいな)
小さく笑うと、マッドは優しくティミーの背中を摩り、口を開いた。
「ティミー。お前まさか、自分のせいで村がこうなったとか考えてるんじゃねぇだろうな?」
マッドの言葉に、ティミーは小さく頷き、肩を震わせた。
「そうだよ……私のせいだよ。だって、レンって人、私の何かを奪いに来たって言ってたじゃない! 私のせいで、マッドも大怪我しちゃったし、村長さん達だって……村だってこんなぐちゃぐちゃになっちゃったんだよっ!」
ティミーは溜め込んでいた事を一気に爆発させた。
震える声で、声を出して泣き上げる。
マッドはそんなティミーを優しく抱きしめ、ずっと背中を摩り続けた。
「みんな、私のせいで傷付けた……! 私、何も分からないのにっ……でも、レンは確実に私を狙っていた! 私が全部悪いんだよっ……」
「……違うだろ。だって、ティミーは何もしてないじゃないか」
「でもっ……もしかしたらまたレンは私を襲って来るかもしれない! そしたら、またマッド達を傷付けるかもしれないし、今度こそ村だって壊滅しちゃうかもしれないっ……」
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