Game of the KILLER QUEEN

南蛮 義卿

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紳士淑女の皆様へ

実験

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白衣姿の女性と男女1人ずつの子供が歩いている。彼女らは隠し扉から地下への階段を降りていく。
子供らは彼女に懐いているように見え、彼女もまた母親のような顔持ちであった。
彼女と子供達はとある部屋に入っていく。
そこは何かの実験場のようだった。周りには何に使うのか分からない機械がゴウンゴウンと音を立て、大きなパソコンには絶えずデータが送信されている。
「実験記録No.2088」「精神喪失の回避について3」「精神性の結合による合成実験」そのような題名が多くを占めている。
子供は無邪気な目で

「お母さん、これなあに?」

などと彼女に聞いている。彼女は曖昧にそれらの疑問に応えながら壁際まで歩いていく。
「お母さん、どこに行くの?」

「とっても素敵な場所よ、お母さんの職場なの。」

そう言いながら彼女は壁際のボタンを押す。
ガコンと何かが外れる音がして部屋全体が下に降りていく。
やがてプシューと空気の抜けるような音と共にゆっくりと止まった。
子供らは素敵な場所に心躍らせ、一目散にエレベーターから出る。
そこには幾つものガラスケースがあった。

「何これ?」

少年はガラスの1つに顔をくっつけ、中を見た。無数の刺。人の全身からハリネズミのように生えている。恐怖のあまり少年はその場にへたり込む。
強化ガラスの奥には、顔から百足が生えている人間や体から昆虫の足が突き出ている人間、昆虫と同じ身体構造を持った人間、中には昆虫ですらない奇妙な肉の塊もあった。おおよそ子らが想像した夢の場所にいる存在とは最もかけ離れた者で溢れている。

「お母さん!?これ!これぇ!?」

「ああ、この子は失敗しちゃったの。」

そう言うと彼女は肉塊を格納しているガラスケースに付いている赤のボタンを押した。底が抜け、塊は地下へと落ちていく。

「ママ、ここ何?」

恐怖を顔に貼り付け少女が聞く。

「ここは夢の実験場よ。」

彼女は優しい笑顔で教える。彼女の白い肌はこの血と淀みの場所では一層映えるようだ。子供らの表情は固まり、今までの信用は急速に減って行く。

「大丈夫よ、そんな怖い顔しなくても。
貴方達は未来を背負う子供達の1員になるの。人よりも長く生きて、人よりも早く動いて、人よりも強靭な命を得るの。」

「こんな化け物になりたくない!!私は嫌っ!!」

そう叫ぶと少女は逃げ出す。
何度も倒れ、這いずりながらも女性が押した壁際のボタンに向かってはっていった。
周りの化け物共がガラスの向こうから
「ヘアァァああ!$€#3%%♪☆〆〆!!」
などと意味の分からない奇声を上げる。
その異形を強化ガラスにベッタリと張り付け逃げる子供に視線を向けている。
少女はスイッチのあった壁まで走ってきた。そして今更ながら気付いた、届かない、と。

「あ、ああああ!!」

少女は崩れ落ちた。そして失禁した。
コツコツとハイヒールの音が近づいてくる。

「貴方は逃げられないわ、ユナ。」

彼女は子が失禁し、作った水溜りに膝をつくと動けない子をギュッと抱きしめた。慈愛、彼女は子供達を愛している。彼女にとって子は自らの理解者であると同時に被験者でもあるのだ。
自分が狂っているとは知らぬ。
人と違う事が分からない。それを知るにはあまりに彼女は人と関わりを持たなかった。

「心配しなくても貴方はこの研究の素晴らしさを直ぐに理解できるわ。その身を持ってね。さっ、行きましょうか。」

少女は既に声すら上げず、抵抗もせずに彼女に抱きかかえられる。
3人は研究施設の奥に入った。大きなタンスのような形の機械が置いてある。彼女はその近くのベッドに2人を寝かせた。

「アレン、カブトムシは好き?そう、じゃあカブトムシを繋げてあげる。」

「ユナは、、、そうね希望がないみたいだし私が見繕うわ。」

タッチパネルのようなものを操作すると大きな機械から無数の腕が出てくる。
注射器、メス、謎のチューブ。多種多様な道具がその手には握られている。

これから痛みすら感じず、子らが気付いた時にはもう人では無くなっているのだ。漠然とした恐怖に苛まれながらも目蓋をゆっくりと閉じた。
もう人の夢は見ない。見るのは終わらない地獄だけだろう。
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