BL異世界溺愛シリーズ『異世界ルーヴル』

Matcha45

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【第三章 王弟殿下は庭師である公爵令息を溺愛する】

匂い

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 クリスの手を掴み、引っ張り上げるとクリスの身体は冷たかった。私は自分の上着を脱ぐと、クリスの肩へそっと掛けた。


「ありがとうございます、殿下」


「部屋まで送るよ」


「じゃあ、俺は会場に戻るから……。他の人には、帰ったって言っておくよ」


「ありがとうございます、スミス様」


 クリスは彼に微笑むと、手を振っていた。私は仲がいい二人に再び嫌悪感を感じていた。


「ふふっ、なんで眉間にしわが寄っているんですか?」


「えっ?」


 額に手を当てると、確かに眉間に皺が寄っていた。


「なぜだろうな……」



※※※※※



 クリスを部屋の前まで送ると、上着が濡れてしまっている事が気になったのか、クリスは代わりになる服を探していた。


「クリス、このままで構わない。早く風呂へ入らないと風邪をひくぞ」


「待ってください。いくら殿下が健康でも、濡れた上着を着ていたら風邪をひきますよ。あれ、おかしいな。ここにしまったはずなのに……」


「クリス、入るぞ……」


 私が声を掛けて部屋の中へ入ると、クリスは何故か驚いた顔をしていた。


「すまない、中へ入ってしまって……」


「いえ。男同士ですし、大丈夫ですよ」


 クリスは視線を逸らすと、タンスの引き出しの一番奥をあさっていた。部屋の中は、タンスの他に机とベッドがあるだけだった。


「何だかいい匂いがするな。キンモクセイの香りみたいだな?」


「ポプリですよ」


「クリス、どうしたんだ?」


「……」


「具合が悪いのか?」


「……」


「どうした? こっちを向いてくれ」


 肩に手を置き、クリスを振り向かせるとクリスの顔は真っ赤だった。私の手を振り払うと、彼は一歩後ずさった。


「殿下、近づかないでくださいっ。危険です」


「どうしたんだ、クリス? おかしいぞ?」


「……たぶん、ヒートです」


「ヒートって、まさか──いや、でも……」


「そのまさかです」


「オメガ性か?」


 文献でしか読んだことがないが、1000年前まで存在していた性別で、子供が産める男性だと聞いている。発情期には良い匂いで相手を誘惑し、どんな男性でも虜にするという。


「はい……。昨年、20歳の誕生日に熱が出て、なかなか下がらなかったので、医者に診てもらったんです。たぶん、そうだろうって話になって──普段は抑制剤を使ってて、何てことはないのですが、殿下にお会いしてから、身体中の細胞が湧き立つような感じがして、何だかおかしいんです。殿下と一緒にいると、ドキドキが止まらなくて身体が熱くなるのです」


「……」


「お願いです。今のうちに部屋から出て行ってください。間違って子供が出来てからでは遅いんです。殿下の名前に傷がつきます」


 私は彼の手を掴むと引き寄せ、そっと抱きしめた。


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