婚約破棄したくない王子様は護衛騎士を溺愛する

Matcha45

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婚約

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「私の婚約についてなのだが‥‥‥」

「どうかされたのですか?」

「もともと兄が2人いて、今まで放って置かれてたんだ。上が片付かないと仕方がないと言って‥‥‥。だが昨年、2人とも結婚してね。私に、その矛先が向かうようになってしまって‥‥‥」

「それで、私なのですか?」

「いや、何というか‥‥‥。噂で聞いているかもしれないが、私は女性が好きになれなくてね。君に出会ったとき──言うのが恥ずかしいんだけれど、一目で気に入ったんだ。父には昔、読んでもらった絵本に出てくる『竜騎士』みたいな人が理想だと言ったんだけど──そしたら怒られてしまってね。実際に気になるやつはいないのかと聞かれて、君の顔が思い浮かんだんだ。君は『竜騎士』に似てるから」

 確かに私は、絵本に出てくる竜騎士様と同じ黒髪だ。でも何でも倒せる訳じゃない。

「あの、『竜騎士様』ですよね? 私はそんなに格好よくないと思いますが‥‥‥」

「いや、私の中のイメージとピッタリだったんだ。こんな人がこの世にいたのかと思ったよ‥‥‥」

「そんな‥‥‥」

 殿下の真剣な、熱い眼差しに私はどうすることも出来なくなっていた。いつの間にか隣に来ていた殿下は僕の手を握ると言った。

「今日から1ヶ月間、共に過ごし、問題なければ結婚になる──そういう慣例でね。隣の部屋が、君が今日から使う部屋になる。後で案内するよ」

「もしかして‥‥‥。待ってる間、聞こえきたガタガタした音って‥‥‥」

「うん。君の宿舎から家具や荷物は全て運ばせたよ」

 (まさかとは思っていたが、既に外堀を埋められてるとか?)

「ここへ来てくれたってことは、私のこと嫌いでは無いんだよね?」

「はい。ただ恋愛となると‥‥‥。あまり考えたことがなくて‥‥‥」

 私のいる国では、同性婚が認められている。国民の2割が同性婚だと何処かで聞いたことがあったが、貴族同士ではあまり聞いたことが無かった。

「それならそれで、考えてみてほしい。もし、駄目なら駄目で断ってくれても構わないから」

「えっ?!」

「大丈夫だ。私が何とかするから、自分の気持ちと一度、真剣に向き合ってみて欲しい」

 殿下は私を抱き寄せると頭を撫でていた。

「ちょっと──ドサクサに紛れて抱きつかないでくださいよ」

「すまない」

 ちっとも、すまないと思っている感じは無かったが、殿下があまりにも嬉しそうに笑っていたので、『まあ、いいか』と思ってしまった。

 殿下は18才なのに対して私は23才。少しは寛容に捉えるべきなのかもしれないが、いきなり婚約は‥‥‥。正直どうかと思う。


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