3 / 10
婚約
しおりを挟む
「私の婚約についてなのだが‥‥‥」
「どうかされたのですか?」
「もともと兄が2人いて、今まで放って置かれてたんだ。上が片付かないと仕方がないと言って‥‥‥。だが昨年、2人とも結婚してね。私に、その矛先が向かうようになってしまって‥‥‥」
「それで、私なのですか?」
「いや、何というか‥‥‥。噂で聞いているかもしれないが、私は女性が好きになれなくてね。君に出会ったとき──言うのが恥ずかしいんだけれど、一目で気に入ったんだ。父には昔、読んでもらった絵本に出てくる『竜騎士』みたいな人が理想だと言ったんだけど──そしたら怒られてしまってね。実際に気になるやつはいないのかと聞かれて、君の顔が思い浮かんだんだ。君は『竜騎士』に似てるから」
確かに私は、絵本に出てくる竜騎士様と同じ黒髪だ。でも何でも倒せる訳じゃない。
「あの、『竜騎士様』ですよね? 私はそんなに格好よくないと思いますが‥‥‥」
「いや、私の中のイメージとピッタリだったんだ。こんな人がこの世にいたのかと思ったよ‥‥‥」
「そんな‥‥‥」
殿下の真剣な、熱い眼差しに私はどうすることも出来なくなっていた。いつの間にか隣に来ていた殿下は僕の手を握ると言った。
「今日から1ヶ月間、共に過ごし、問題なければ結婚になる──そういう慣例でね。隣の部屋が、君が今日から使う部屋になる。後で案内するよ」
「もしかして‥‥‥。待ってる間、聞こえきたガタガタした音って‥‥‥」
「うん。君の宿舎から家具や荷物は全て運ばせたよ」
(まさかとは思っていたが、既に外堀を埋められてるとか?)
「ここへ来てくれたってことは、私のこと嫌いでは無いんだよね?」
「はい。ただ恋愛となると‥‥‥。あまり考えたことがなくて‥‥‥」
私のいる国では、同性婚が認められている。国民の2割が同性婚だと何処かで聞いたことがあったが、貴族同士ではあまり聞いたことが無かった。
「それならそれで、考えてみてほしい。もし、駄目なら駄目で断ってくれても構わないから」
「えっ?!」
「大丈夫だ。私が何とかするから、自分の気持ちと一度、真剣に向き合ってみて欲しい」
殿下は私を抱き寄せると頭を撫でていた。
「ちょっと──ドサクサに紛れて抱きつかないでくださいよ」
「すまない」
ちっとも、すまないと思っている感じは無かったが、殿下があまりにも嬉しそうに笑っていたので、『まあ、いいか』と思ってしまった。
殿下は18才なのに対して私は23才。少しは寛容に捉えるべきなのかもしれないが、いきなり婚約は‥‥‥。正直どうかと思う。
「どうかされたのですか?」
「もともと兄が2人いて、今まで放って置かれてたんだ。上が片付かないと仕方がないと言って‥‥‥。だが昨年、2人とも結婚してね。私に、その矛先が向かうようになってしまって‥‥‥」
「それで、私なのですか?」
「いや、何というか‥‥‥。噂で聞いているかもしれないが、私は女性が好きになれなくてね。君に出会ったとき──言うのが恥ずかしいんだけれど、一目で気に入ったんだ。父には昔、読んでもらった絵本に出てくる『竜騎士』みたいな人が理想だと言ったんだけど──そしたら怒られてしまってね。実際に気になるやつはいないのかと聞かれて、君の顔が思い浮かんだんだ。君は『竜騎士』に似てるから」
確かに私は、絵本に出てくる竜騎士様と同じ黒髪だ。でも何でも倒せる訳じゃない。
「あの、『竜騎士様』ですよね? 私はそんなに格好よくないと思いますが‥‥‥」
「いや、私の中のイメージとピッタリだったんだ。こんな人がこの世にいたのかと思ったよ‥‥‥」
「そんな‥‥‥」
殿下の真剣な、熱い眼差しに私はどうすることも出来なくなっていた。いつの間にか隣に来ていた殿下は僕の手を握ると言った。
「今日から1ヶ月間、共に過ごし、問題なければ結婚になる──そういう慣例でね。隣の部屋が、君が今日から使う部屋になる。後で案内するよ」
「もしかして‥‥‥。待ってる間、聞こえきたガタガタした音って‥‥‥」
「うん。君の宿舎から家具や荷物は全て運ばせたよ」
(まさかとは思っていたが、既に外堀を埋められてるとか?)
「ここへ来てくれたってことは、私のこと嫌いでは無いんだよね?」
「はい。ただ恋愛となると‥‥‥。あまり考えたことがなくて‥‥‥」
私のいる国では、同性婚が認められている。国民の2割が同性婚だと何処かで聞いたことがあったが、貴族同士ではあまり聞いたことが無かった。
「それならそれで、考えてみてほしい。もし、駄目なら駄目で断ってくれても構わないから」
「えっ?!」
「大丈夫だ。私が何とかするから、自分の気持ちと一度、真剣に向き合ってみて欲しい」
殿下は私を抱き寄せると頭を撫でていた。
「ちょっと──ドサクサに紛れて抱きつかないでくださいよ」
「すまない」
ちっとも、すまないと思っている感じは無かったが、殿下があまりにも嬉しそうに笑っていたので、『まあ、いいか』と思ってしまった。
殿下は18才なのに対して私は23才。少しは寛容に捉えるべきなのかもしれないが、いきなり婚約は‥‥‥。正直どうかと思う。
2
あなたにおすすめの小説
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。抱かれたら身代わりがばれてしまうので初夜は断固拒否します!
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
隣国の国王キリアン(アルファ)に嫁がされたオメガの王子リュカ。
しかし実は、結婚から逃げ出した双子の弟セラの身代わりなのです…
本当の花嫁じゃないとばれたら大変!
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだんキリアンに惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜
レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」
魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。
彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。
【本編完結】最強魔導騎士は、騎士団長に頭を撫でて欲しい【番外編あり】
ゆらり
BL
帝国の侵略から国境を守る、レゲムアーク皇国第一魔導騎士団の駐屯地に派遣された、新人の魔導騎士ネウクレア。
着任当日に勃発した砲撃防衛戦で、彼は敵の砲撃部隊を単独で壊滅に追いやった。
凄まじい能力を持つ彼を部下として迎え入れた騎士団長セディウスは、研究機関育ちであるネウクレアの独特な言動に戸惑いながらも、全身鎧の下に隠された……どこか歪ではあるが、純粋無垢であどけない姿に触れたことで、彼に対して強い庇護欲を抱いてしまう。
撫でて、抱きしめて、甘やかしたい。
帝国との全面戦争が迫るなか、ネウクレアへの深い想いと、皇国の守護者たる騎士としての責務の間で、セディウスは葛藤する。
独身なのに父性強めな騎士団長×不憫な生い立ちで情緒薄めな甘えたがり魔導騎士+仲が良すぎる副官コンビ。
甘いだけじゃない、骨太文体でお送りする軍記物BL小説です。番外は日常エピソード中心。ややダーク・ファンタジー寄り。
※ぼかしなし、本当の意味で全年齢向け。
★お気に入りやいいね、エールをありがとうございます! お気に召しましたらぜひポチリとお願いします。凄く励みになります!
魔王になんてぜったいなりません!!
135
BL
僕の名前はニール。王宮魔術師の一人だ。
第三騎士団長のケルヴィン様に一途な愛を捧げる十六歳。
僕の住むラント国に異世界からの渡り人がやってきて、僕の世界は変わった。
予知夢のようなものを見た時、僕はこの世界を亡ぼす魔王として君臨していた。
魔王になんてぜったいなりません!!
僕は、ラント国から逃げ出した。
渡り人はスパイス程度で物語には絡んできません。
攻め(→→→→→)←←受けみたいな勘違い話です。
完成しているので、確認でき次第上げていきます。二万五千字程です。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~
水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。
死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!?
「こんなところで寝られるか!」
極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く!
ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。
すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……?
「……貴様、私を堕落させる気か」
(※いいえ、ただ快適に寝たいだけです)
殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。
捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!
『偽物の番』だと捨てられた不憫な第三王子、隣国の冷徹皇帝に拾われて真実の愛を教え込まれる
レイ
BL
「出来損ない」と捨てられた場所は、私の居場所ではありませんでした。
ラングリス王国の第三王子・フィオーレは、王族の証である『聖種の紋様』が現れなかったことで「偽物の番」と罵られ、雪降る国境へと追放される。
死を覚悟した彼の前に現れたのは、隣国アイゼン帝国の「冷徹皇帝」ヴォルフラムだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる