【R18】蜜を求める牢獄

ロマネスコ葵

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第ニ章 もう一人のヒーロー。

33 危なっかしい少女。

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***


「じゃあ、ちょっと用事があるから行ってくるね。大人しくしてて、くれぐれも抜け出そうだなんて馬鹿な真似はしないように」
「…………はい」

 ルーツの隙を盗んだところで、必ず追って出て来るだろう。ここは大人しくしておくのが懸命な判断。そもそも用を済ませられれば結果的には私の願いが叶うのだから! もう少しの辛抱。頑張れ、私……!
 
 扉が閉まると、ガチャリと鍵をしめたような音もした。

 ん……あれ……??
 
 まさか、外側にしか鍵がついてないんじゃ。
 ……思った通りだ!!

 そんな……そこまでするなんて。窓があるわけでもないし……よくよく考えると客室とは思えない空間。本来はここは倉庫だったんじゃないかというくらいに。

「うぅ……監禁されてる気分……」




 こつん、こつん。
 数分ほど経ってたからか、扉の方から何かノックしたような音が聞こえてくる。
 こんなところにまさか、人が……? それか私の聞き間違いかもしれない。
 ルーツが戻ってきた? でもそしたらノックするかな。うーん、黙っておく……? 
 なんだか危険な気がして、自然と手が心臓を守るように胸に触れる。

「「あ……あのーー」」

「っえ!?」

 少女のような高い声。あれ、この声は……まさか。

「リリア……さん!」

 兵士に取り囲まれていたはずのリリアが何故ここへ……??

「あのあの、お、お邪魔してもよろしいでしょうか……?」
「も、勿論です!! あ、でも鍵かかってて、あの、私、内側からじゃ開けられなくて」

 あまりにも急なことで片言のようになってしまう私。

「は、はわわ、なるほどなのです! ここはリリアにお任せください!! くふふ、こう見えてリリアは盗賊の知識もあるのです~」
「あ……確かに。ルーツが元盗賊だったから、そこで習ったのですね」
「んえっ!? よ、よくご存知で……どこまで知ってるのか心配になってきたリリアです……」

 可愛い雰囲気だけど話し方がなんだか独特な人……。 
 でも盗賊の経験があって、ルーツから習ったのなら腕も良さそう。
 ――あれ、もしかして彼女とタッグを組めばこんなところもおさらば出来るのでは。

 ガチャ、ガチャと慎重にゆっくりと鍵をいじってるのが分かる。焦って素早くやられても心配になるだけだからこっちの方が安心できる。

 凄い……流石プロ――

「ひあっ……!」

 パキッ。

「……パキ?」

 リリアの悲鳴と何か鈍い音が。それからリリアの声はなかった。

「リリアさん。リリアさん~……?」
「えっと、えっと……ドアノブを捻ったら折れてしまい困ってるリリアなのですが……」
「え?」

 うっ、うっ……と涙が混ざってるような声まで。
 な、泣いてる。どうしよう。
 
「あわわ……な、泣いてる? 泣かないで! リリアさん……!」
「えう……また失敗した気がするリリアなのです~~!!」
「いやいや! さ、さっきまで上手くいってたじゃないですか! 大丈夫ですよ!」

 フォローになってるかどうかも定かではない。どうしようどうしようと悩んだ挙句、ダメ元で扉を押してみると、

「え……あ、開いた……」
「ほわっ!」

 扉が開いたのと同時に、瞳に大粒をぶら下げたリリアの姿がちょこんと現れる。

「大丈夫でした!!」
「えっ……と確かに。破損――――否、半壊しましたがとりあえず一件落着ですね!」

 何故だか誇らしげな顔を見せつけてくるので(未だ涙がふらついてるけど)、私は子供をあやすように盛大に拍手してみせた。
 えっへん! と鼻から息をふすんと振り絞るリリア。ドアノブを手に持ったままだけど良いんだか悪いんだか、後にルーツに怒られるのは確かだと思った。

「では! あっ……名前、存じ上げてなかったです。あの……! 今すぐここから抜け出しましょう! お姉さん!」

 リリアは自分の涙を拭うように両手でゴシゴシと擦りながらそう言った。

「えっと、名前はキラ・ステラです……その、えっと……抜け出すって?」
「キラお姉さん! ルーツ様に振り回されてるのでしょう? ルーツ様はいつでもロクでもない事ばかり考えてるのです! リリア達はそんなのに協力しなくていいのですよ!」
「でも……今回はある意味、取引なんです。私がルーツの願いを叶えてあげれば、私の願いも叶うのです」
「そんなの! このリリアが叶えさせてあげます!! ルーツ様よりも~っとノーリスクな方法で、です!!」

 ハッ! となったリリアは一旦扉をそっと閉めて中へ入ってきた。見張り人でも居たのかな。
 とはいえ……、リリアは私みたいに危なっかしくて、心配になってきた……!

「ノーリスク……ですか」
「そうです! これでルーツ様ともおさらば! これ以上もうエッチな事はされずに済みますよ!」
「えっち……って、事情を知ってるという事はリリアさんもルーツとエッチしたことがあるんですね?」
「え、え!? えーとそれはあのあの、かくかくしかじか。あうあう……」

 かくかくしかじかを直に言う人、初めて見た……。
 まんまるのお顔に真っ赤なリンゴが二つ、頬に実ったように赤く染めあげてしまうリリア。
 なんだかリリアの言う方法も気になるけれど……リリアの事情も気になる。何かベルと繋がりが見えてきそうで、むしろそっちのほうが気になってしまっている。

「……リリアはしたこと無いですよ? そんな気持ちいいこと……」

 むず、むず、とリリアは布地の上から股を押さえ込むように両手を添えている。

「でも、気持ちいいって事を知ってる」
「うっ……!! し、知りませんリリアは何も知りません! 心はいつだってリベラ姉様一筋なのです」

 小さな子犬がキャンキャン騒ぎ立てるように、リリアは主張を止めなった。

「話が逸れてしまいましたが、どうか……リリアからのお願いです。リリアはリベラ姉様を牢獄から救いたいのです。キラお姉さんは実は受刑者であると噂を耳にしております。もしそれが本当であるならば、リリアを牢獄まで連れて行ってほしいのです。それを叶えて頂ければ、リリアもキラお姉さんの願い事についてお手伝い致します!」

 ルーツ様よりもリリアのほうがリスクは低いはずです!! と、念押しをするリリア。むむ……色々と聞き出そうと思ったけれど話を戻されてしまったので今回は収穫が厳しそう。

「でも、もうそろそろ飛空船が動き出しそうですし。脱出は厳しいような……それとも、早速抜け出すと……?」
「動き出しても飛び降りればいいのです!」
「強引……!!」

「「さぁ……! どうします!? リリアと抜け出すか、ルーツ様に仕えるか!」」
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