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第ニ章 もう一人のヒーロー。
35 堕ちる。 ※微
しおりを挟む「……何でもありません。言い過ぎました」
「は?」
「何でもないです……!!」
「味がするのか」
「ち、ちがっ! この話はもう止めにしましょう!」
顔を上げると、ジンが目の前に現れる。
「っひ……!?」
いつの間にこんな至近距離に居たの……?
まさか、彼もルーツのように興味を持ち始めて、私に色んな事をし始めるんじゃ。軽率な私も悪かった……けど! そんなに惹かれるものなのかな?
ジンはベッドに跨いで、まるで犬のように私の耳や首筋を嗅ぎ始める。鼻先が首に触れるだけで心が落ち着かなくなってくる……。
「ほんとに、駄目だから……お願い」
そう答えて二つ返事で了解する人なんて、ルーツと関係ある人の中で存在するでしょうか。
「そ、そうだ! そういえばジンさんって、元々は人魚だったんですよね? ルーツから聞きましたっ……! す、凄い、なぁ~」
何とかして話を逸らしてみるけど……、上手くいくかどうか。
「ええ。ルーツ様のおかげです」
そう言いながらもジンは無意味なはずの赤い眼鏡を外した。
「ちょっ、と……」
「……気になります。ルーツ様が知っていて、俺は知らないなんて」
駄目だ……。折角話を逸したのに全く効果が無い。
すん、と嗅がれて、首筋にジンの唇が当たる。
「そ、それなら! ちゃんと教えればやめてくれる……?」
「俺は自分で確かめないと気が済まないんで、そういう問題では無いですね。そもそもアンタが本当の事を吐き出すかどうかも定かじゃない」
「や……!!」
抵抗しようとジンの肩を押すと、私の両手首を片手で掴まれる。
私の腕は壁へ、残るは脚だけとなった。
右足を使ってジンを思い切り蹴り上げようとした。――けれど、うまいこと避けられてしまい、脹脛を掴まれてしまう。
「うっ……!!」
「ところでキラさん、ご存知ですか? 人魚がもし人間になって海に帰ろうとした時、罰が与えられます。それは何か」
「っえ……? 何か謎の焼印がされるとか、ぐらいしか」
「そうです。その焼印がされると、石化してしまいます。そして俺はその焼印と似たような魔力を持っています」
堂々と、脹脛を掴んでいた左手を放し、その手のひらを私の顔面を掴むように近づけられる。手のひらには、人魚の尾びれのような鱗の模様が有り、その模様を表すために皮膚が赤く膨れ上がっているのが分かる。
「これを例えば、キラさんの手首に当てると」
「ちょっ……怖いことしないで! あっ……!」
両手で押さえられる。そして見る見るうちに私の手首だけが石のように固まり出して、壁と同化してしまう。
「この通り、一部だけ石化させる事ができます」
「っこれ……治せるんですよね!?」
「勿論です。俺が満足した後に治してあげますよ」
これでも抵抗するようであれば、この脚も石化させましょうか? と、弄ぶように煽ってくる。
「うっ……」
「ルーツ様には、内緒にしてくださいね? 大丈夫ですよ。挿れたりはしませんから」
ジンは口角を上げて見下すような笑みを浮かべると、尖った八重歯が垣間見えた。
私の両手首を掴んでいたジンの手が離れると、その手も同様に石化していた。けれど、みるみる内に彼の手だけ石化が解かれて、しゅるりと自分のネクタイを解いていく。
「そういう問題じゃなくて――」
「ルーツ様は俺のものであり、ルーツ様の知ってることも全て把握したいんです。協力しますよね? 受刑者なら受刑者らしく、騎士の俺に従ってもらわなきゃ困ります」
「嫌っ、んっ……!!」
ネクタイが解けると、白いシャツのボタンがが三つ、四つと外されていたので胸元がちらりと見える。どこまでされちゃうの、私……!?
私の首筋にジンは舌を這わす。ゆっくり、ねっとりと這わされ、首筋から頬、耳へと徐々に舐め上げていく。
「んん……?」
「っ……んっ……うっ……!」
私は声を我慢する為に自分の下唇をぎゅっと噛んだ。
まだ、終わらないの……? 早く終わって。
耳たぶから、ツー……っと上に、そして中まで舌が入ってくる。
「ひゃっ……ちょっと! そこ、は、意味ないでしょ……?」
そう言うと、はぁ……と耳穴に直接溜め息が吹きかかった。
「そんなの分からないじゃないですか」
「分かるものっ!」
「なら、どこがいいんですか? 血、汗、涙、唾液、全て体液ですけど」
……一番分かるのは多分、唾液と、下から出てくる液だと思う。でもそんな事、言えるわけない。
「っ……汗、とか?」
「汗ですか……」
生温い感触が離れて、次第に私の脇下へと移っていく。
「ひっ……そこはぁっ!」
舌先から、全体まで溶けるように這われる。
嘘、嘘、嘘……!!
全身が震え上がった。なんだかくすぐったくて、ピリピリする感じ。
「ばかぁ……!! やり過ぎですっ!」
「やり過ぎかどうかは俺が決めることなので」
「な、なんで全部あなた基準なのですかぁ……!」
丹念に、隅から隅まで支配されている感覚。こんなの、ベルにもルーツにもされたことない。
ベルにこんなところ見られたら、ジンさん、殺されちゃうかもしれないんだから!! ……多分。そこまで大袈裟にはしたくないけれど……。ルーツは、助けてくれるかな。でも、私の事なんてどうでもよかったりして。
「んん……確かに、甘い味がします。ただ、狂わせる事はなさそうな気が」
ジンはうんと悩むように、自分の唇に指を添える。
「っえ……、そう、なの?」
我慢するだけで精一杯な私は、返答するだけでも声に力が入らない。
「はい。特に何も感じないので」
「……何でだろう。そんなわけ無いのに。ベルさんも、ルーツも直ぐにおかしくなったような気がするのに」
「汗だと意味がないのかもしれません」
「そうかも……。って!! そんな虱潰しするように探さないで――」
ジンに、顎を強引に上げられる。
「あのっ……」
まさか、キス……。
「優先順位的には、次はこれかと」
「ぃや……っ! あっ……やめっ……」
ジンの唇が、近づいていく――
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