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しおりを挟むこの声は紛れもなくルーツリアのお声でした。リリアの右耳にぶっ刺さります。
「ぷはっ!! リリアはリリアと言います! リリア・シル」
リリア・シルキーと名を言い終える手前で、柔らかい感触が唇に押し付けられます……。
「んっ……?!」
リリアは最初、挨拶のキスだと思ってそこまで驚きませんでした。
海の中では挨拶にキスを交わすのが普通だからです。
けれど驚きはここからでした。
まさかの舌を入れてきたのです。これは挨拶に含まれません!! ただの変態です!!
「んぷっ……ふぁ……あっ……」
柔らかな弾力のあるネトネトがリリアの口の中を貪ります。
ちゅ……と唇が離れると、そこから透明な糸が伝ってきます。
「な、なんで」
「あれ? これが人魚界での挨拶なんじゃないの?」
「ちちち違いますよ!! 大間違いです!! お・お・ま・ち・が・い!!」
キーキー騒いだせいで、ルーツリアさんは自分の左耳を塞ぎます。けれども何ら動じていない表情のままなのです。
「そっか。頑張って人魚について勉強したつもりだったんだけどなぁ。ごめんね?」
ついつい。と軽~い雰囲気でニコッと目を細めながら謝るルーツリアさん。
絶対に嘘!! リリアは騙されません。
「もう、もう! ルーツリアさんなんて嫌い。えっちな事しないでと思うリリアです……」
「でも、人とえっちな事しなきゃ、リリアは人間になれないじゃない」
ルーツリアさんは馴れ馴れしくもリリアの横に座って脚をのばしました。しかも、リリアにぴったりと二の腕をくっつけてくるのです。
これはこれは、なんつー至近距離でしょうか!
先程お伝えした通り、ルーツリアさんは悪魔のように危険なニオイが漂う方でも、見た目は美しくも王子様のような人なのです!
だから……リリアは小さい頃に読んだお姫様と王子様の絵本を思い出して、もう既にドッキドキのバックバクなのです……。満更でもないリリアがここに居ました。
どうしようどうしよう。頭がぐるぐる、心もぐるぐる。混乱していく一方です。
「そ、そそそ、そーですよ。人魚は人間とえっちな事しなきゃ、人間になれないのです」
「でしょ? 手伝うって」
「ひいいいい!! いーえ! いいえ! 結構です!」
「なんで?」
「だ、だって、ルーツリアさんみたいな陽な人とえっちなんてしちゃったら、リリア、リリアはおかしくなっちゃいそうです! 暗~い海の中で過ごしてきた陰のリリアにはレベルが高すぎるのです」
リリアは一生懸命に言い訳を並べました。この時のリリアは恐らく、これ以上ルーツリアさんに踏み込めば呑まれると勘が疼いていたのだと思います。
今まで海の中では異性に言い寄られるなんて事は一切なかったのです。だってリリアにはリベラ姉様がいたから。リベラ姉様にしか興味がないリリアを察したのか、誰も近付こうなんてしませんでした。(おっぱいが小さ過ぎたからっていう理由もあったかもしれませんが……)
だから、この瞬間はあまりにも新鮮かつ夢のような事だったのです。
「陰、陽……?」
純粋な目で、うーんと悩み始めるルーツリアさんは頭にハテナを並べてるようでした。
「もう、どうして? どうしてルーツリアさんは悪魔のような人なのに、そんな純粋な目ができるのでしょうか……不思議で不思議で堪らないリリアなのです」
おまけにルーツリアさんはまつ毛も長く、本当に文句なしの顔立ち。羨ましいやら何やら、もううっとり。頭がおかしくなりそうでした。
そんな彼に今、リリアは迫られている。謎の優越感に浸ってしまいそうでした。
けれどリリアはそこで、自分の頬を両手でパンッッ!! と音を立てるくらいの強さで叩きます。
「ひ、ひい、痛い……!!」
我に返れリリア! この人はリリアの王子様なんかじゃない! リリアはリベラ姉様のもの! リリアはそう一筋縄ではいかな――
「っえ? 痛そう……」
ルーツリアさんは心配そうな目を向けて、リリアの両手を解き、代わりに自分の両手で優しくリリアの頬を押さえてきました。そして一度だけ右頬を撫でると、そっと唇を奪ってきたのです。
「んむっ……!?」
その唇に、リリアは全身が溶けてしまいそうでした。
こ、この人、本気で狩りに来てる……!! リリアは目を見開きながらそう思いました。
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