【完結】弱虫だったはずの兄と、負けず嫌いな僕。『if』

ロマネスコ葵

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「っ……」
 
 なんで、兄にイジられて、情けなくも立ってんだろ……。ここ数日、シてなかったから? 

「う……僕の事が好きって、いつからなのさ?」
「いつだったかな。物心ついた時からだったりして」
「信じられない」
「んん……? ルーツは、俺にないものばっかり持ってて、魅力的だったんだぞ?」

 僕は、兄にはない白肌で中性的な姿が美しく、まるで絵に描いたようだったと言う。

「今も可愛いよ? 俺に負けて狂おしく悔しがってるところ、見ててゾクゾクする。でも何もできねえな? もう俺に勝てねえんだもん。呪いを解くことさえ敵わない。俺にされるがまま」

 なぞるように、兄の舌が耳から首筋まで伝っていく。

「んっ……」
「父さんが言ってたんだ。兄は弟より強くあるべきだって」

 今度は僕の局部に手を出し、僕の頭を撫でながら、そして僕の口に舌を差し込んできた。
 じゅる、じゅる……れろ、れろ……。

「……っ」

 このまま舌を噛んでしまえばいいのに。何故か恐怖で何も出来なかった。なんでこんなに抵抗できないんだろう。僕らしくない。  
 ジッパーを外され、パンツの中を弄られて上下に擦られる。そして先端を指の腹で円を書くように撫でられる。

「声、我慢しなくていいけど?」
「…………」

 意地でも反応しないと決めた。兄の調子づく姿をこれ以上見たくなかった。その立ち位置は、僕が愛人にする事だ。雑魚兄貴にそんな座を譲ってやるものか――――

「っあ……!!」

 ビクンと反応してしまったのは、兄が指で僕の穴に触れた時だった。

「へへ……やっぱ、期待してくれてる?」

 舌が離れ糸が引いたところで、頬を赤く染めた兄が映った。
 ……悔しい。
 悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい。
 弄びやがって……!!

「苦しそうな顔。ゾクゾクするけど、ちょっと可哀想だから、もう少し魔力をかけてあげようか」

 仕方ねえなと、子を甘やかすような雰囲気で言い放つ。
 やめろ、もう……これ以上は。
 力が沸かない。そしてまた視界が揺れて、感覚がズレていく――。

「っ……ひ!?」

 局部を、下から上に擦られる度に、上にくる度にビクンビクンと腰が浮く。もしかして魔力の所為? もうこんなに効いちゃうの?

「っひぃ……! いっ……やぁっ……!!」
「どうだ? こっちのほうが快く気持ちよくなれるだろ? ね?」 
「あっ……! あ゛っ!! あっ!!」

 ぐちゅ、ぐちゅ。もうイッたんじゃないかってくらい、先端から汁が溢れ出てくる。

「兄さっ……! もう、やだっ、あっ……!!」
「気持ちいいなら、ちゃんと言ってみろよ。なぁ?」
「あ゛っ!! き、きもちいっ……んっ……いいっ……!!」

 この言葉は僕本心の言葉じゃない――はず。僕は操られている。

「ちゃんと言えんじゃん。あーあ、最初から素直な子にさせてれば良かった」

 トロトロになった先端を指先で撫でて、今度は穴を重点的にイジられる。

「んんっ……!!」
「ま……あんまり魔力使うと、お前のホントの気持ちが分からなくなるのが嫌なんだよな。でもいっか! これからはもう、俺無しじゃ生きられない体になるんだから! 気持ちも自然に向いてくるだろ。な? 時間の問題!」
「もう……!! やめ、て……!!」
「やだ。やめない。お前は俺がどんだけ苦労してきたか分かってねえもん」

 穴ん中、気持ちいいんだか悪いんだか分からない……。
 でも、一つだけ分かるのは、兄に触れるだけで快感を得ていること。さっきまでは目まぐるしくなるくらい、高鳴る鼓動が気持ち悪かったけど、今は気持ちいい感覚に変わってる気がする。これが呪いの力か……。

 そして稀に感じる、兄の輝きが無い恐怖の眼差し。

「ね、俺が今まで頑張ってきたご褒美に、可愛く啼きながら強請ってみろよ。ちゃんと欲しいって言って?」
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