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ラグエリア大陸編~生動の章~
第8話『飛行呪文で王都に行く』
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恩恵について分かったこと。
まずステータス管理。
これはステータスが見られるだけでなく、能力値振り分けポイントを振り分けることで能力の向上ができる。
この能力値を上げるという行為は単なる能力向上と言うだけでなく『人間性』を『変化』させるのだ。
その大きな要因は『好感度』や『絆力』である。別に見た目に変化が出るわけじゃない。
滲み出る魅力や性格に影響が出るようなのだ。
なんとなくだがここに来た頃より性格が温和になった気がしたが、能力値を上げた影響だったようである。
武装戦技。
武器や盾を装備することでその特性を引き出すのが武装戦技の基本的能力である。
しかし、武装戦技にはまだ隠された能力があった。
例えば武道家のように武器を持たない職業の場合は通常は能力を発揮できないということである。
たが、名のある武道家が身に着けていた『装備品』を身につけることで武装戦技の能力を引き出せるのである。
全知全能。
『世界』のあらゆることを蓄積した英知の塊。神々が創った知識の全てであるため、『疑問』を口にしたり、思っただけでそのことに関する『知識』を得ることができる。
この『世界』と言うのが俺が考えていたものと違っていた。
つまり神々の創った世界全ての知識を持っているという意味だったのだ。
しかも、繋がらないはずの『世界の垣根』を超えて共有できるので、この『世界』にはない物でも俺が実現できる可能性があるわけだ。
イメージ魔法。
通常の魔法と違い、イメージを明確にすることであらゆる魔法を作り出すことができる。
通常の『属性魔法』に『精霊魔法』や『召喚魔法』などあらゆる魔法を自分なりの『魔法』として創りだせる。
魔法の持つ本質を理解することでその威力を高めることができるため、全知全能の能力を応用することで無限の可能性を持ち合わせている。
また、魔法を元にした『魔道具』なども創ることができる。
◆◆◇◆◆◇◆◆
神々がくれた恩恵の能力を再確認できたことで、俺はスマホに組み込まれているAiアシスタントの『Siri』に『全知全能』の知識をアップロードし、声をアカリと同一の物とする。
結局のところ、『Siri』は俺が利きたいことに対して答えてくれるだけの文字通り『アシスタント』的役割で、アカリは俺の身の回りのサポートをしてくれる『相棒』と言う感じだ。
「それにしても『Siri』じゃあ味気ないな……」
相棒が『アカリ』だからな。こっちは陰で支えてくれるって感じで……。
「よし。お前は今日から『トモエ』だ」
『「Siri」改め「トモエ」を拝命します。今後ともよろしくお願いいたします』
今後のことを考えながら食事を済ませ早めに寝る。
明日は朝から忙しくなりそうだ。
次の日、早めの朝食後にリュナに「出かける」と伝えて森に入る。
「この辺りなら良いか……『浮遊呪文』」
体が浮き始め、魔力を込めると空高く舞い上がる。
上空1000メートルの高さまで上がったところでトモエに問う。
「トモエ。エクセリオン公国の王都までの最短距離を地図に示してくれ」
『王都までの最短距離を表示しました』
「よし。アカリ、しっかり掴まってろ。このまま飛行呪文で良い気に飛んでいくからな」
「では、マスターの左肩に捕まりますね」
「じゃあ、行くぞ。『飛行呪文』!」
魔力を身体にまとわせて飛行呪文を使う。
いうなれば、某マンガの『舞空術』と言うのを参考にしている。
スピードとしては時速120キロほどだろうか。
軽く飛ばしてこのスピードだ。
グロアの町まで普通なら1週間と言うところだが、直線距離と言うだけでなく空を飛んでいくわけで…半日ほどで着できた。
「今のスピードで王都までどのくらいかかる?」
『2週間はかかります』
「全速力で飛んだら1日くらいかな」
「では、試しにここからアリオンの村まで戻ってみては?」
「それが手っ取り早いか」
魔力を全開に上げて飛行呪文を使う。
ズドン!という空気を突き抜ける音とともに飛ぶ。
数分でアリオンの村の上空に到着した。
「このスピードなら1日とかからずに着きそうだな」
「そうですね」
「今日のところはこのまま獲物を獲って帰るとするか」
「そうしましょう。私も手伝います」
◆◆◇◆◆◇◆◆
次の日の朝も同じように早々朝食を済ませてリュナに3日ほど出かけると伝えて王都に向けて出発した。
『ピピ…魔獣の気配を探知しました』
「おっと。どこだ?」
『左に30度、距離にして1キロほどの地点。バウの森の中腹辺りになります。冒険者と交戦中です』
「トモエ、誘導を頼む」
『了解しました』
スピードを抑えて飛ぶ。
近づくにつれ気配が濃くなる。
「あそこか……」
「どうやら冒険者たちの方が劣勢のようですね」
「救助すべきか?」
「その方がよろしいかと」
俺は少し距離を取って森に降りる。
後は試しとばかりに低空飛行で近づくことにした。
「アレは……・?」
「エレファントプスです」
「3つ角の巨象か」
長鼻の脇から生えた2本の角、額の真ん中から生えた1本の角……まるでヘラクレスオオカブトのようなゾウが今にも冒険者を踏みつけようとしていた。
「――『風圧呪文』」
身体を支える足に風圧が当たり、上げていた足のせいもあってバランスを崩し倒れるエレファントプス。
「ついでだ。『防御減少呪文』」
エレファントプスの物理防御を下げる。
「今だ。一斉に攻撃しろ!」
「うおおおおおっ!」
「てりゃぁぁぁぁぁっ!」
「ダッシャ―――ッ!」
俺の掛け声とともに戦士系の男たちが突っ込んでエレファントプスを突き刺していく。
よし。どうやら倒せたようだな。
俺はそれ見届けると浮遊呪文でその場を離れる。
「良いのですか?」
「アレは彼らの獲物だ。俺はちょっと手を貸しただけだし」
俺は再び飛行呪文で王都を目指すのだった。
それからも何度か魔獣や魔物の群生を見つけては討伐していく。
冒険者たちとの遭遇は無かったので討伐した魔獣や魔物はアイテムボックスに入れていく。
俺が魔獣や魔物の討伐中はアカリは採取可能な素材を集めてくれた。
これらはすべて王都で売って資金にするための物だ。
「トモエ。あとどのくらいで王都に着く?」
『時間にして2間ほどです』
「じゃあ、夜になる前に着くか」
何の障害も無ければ午後3時ごろには着く予定であったが、獲物討伐は予定に入っていたので到着時間に遅れがあるのは必然であった。
ここからは全速力で飛行する。
いや語弊があるな。
ここからは飛行にだけ集中して飛ぶことにした。
「完全に陽が落ちたな」
王都に到着した時、青と紺色の混じった空が広がり始めていた。
「まずは宿の手配だな」
「時間も時間ですしね」
「それにしてもこの時間でこの賑わい。さすがは王都ってとこか」
「冒険者だけじゃないですね。観光客でしょうか?」
「そうだと思うけど……」
時間帯も時間帯なわけで、俺のいた世界ならともかくこの世界では娯楽や観光地のような施設は無い。
しかも、暗くなると魔法の明かり以外の街頭的物が無いのでさして明るくないので危険なのだ。
だとすると単なる観光客と言うよりは別国の商人関係と思う方が正しいのかもしれない。
「とりあえず、グランドギルドに行こう」
「そうですね」
グランドギルドで宿屋を紹介してもらい2泊で宿を取る。
獣王亭は子の王都でも5本の指に入る高級宿。
1泊金貨1枚。その分セキュリティや安全面は保証している。
朝・夕の食事付きなので割り切ってしまえば悪くない。
しかも、ベッドはフカフカだ。
「食事に行くか」
「どんな料理が出るか楽しみです」
食堂は広く、人もたくさんいるが騒がしいと言うほどではない。
酒場のような下品さがないのでゆっくり食事がとれそうだ。
ただし、身なりが良い人ばかりなので自分の方が浮いている感じだった。
きっと、周りからは田舎者が精いっぱい背伸びしているように見えているんだろうな。
まあ、確かに上品とは言えないのだけど……。
気にしていても仕方がないので食事を始めることにした。
まずステータス管理。
これはステータスが見られるだけでなく、能力値振り分けポイントを振り分けることで能力の向上ができる。
この能力値を上げるという行為は単なる能力向上と言うだけでなく『人間性』を『変化』させるのだ。
その大きな要因は『好感度』や『絆力』である。別に見た目に変化が出るわけじゃない。
滲み出る魅力や性格に影響が出るようなのだ。
なんとなくだがここに来た頃より性格が温和になった気がしたが、能力値を上げた影響だったようである。
武装戦技。
武器や盾を装備することでその特性を引き出すのが武装戦技の基本的能力である。
しかし、武装戦技にはまだ隠された能力があった。
例えば武道家のように武器を持たない職業の場合は通常は能力を発揮できないということである。
たが、名のある武道家が身に着けていた『装備品』を身につけることで武装戦技の能力を引き出せるのである。
全知全能。
『世界』のあらゆることを蓄積した英知の塊。神々が創った知識の全てであるため、『疑問』を口にしたり、思っただけでそのことに関する『知識』を得ることができる。
この『世界』と言うのが俺が考えていたものと違っていた。
つまり神々の創った世界全ての知識を持っているという意味だったのだ。
しかも、繋がらないはずの『世界の垣根』を超えて共有できるので、この『世界』にはない物でも俺が実現できる可能性があるわけだ。
イメージ魔法。
通常の魔法と違い、イメージを明確にすることであらゆる魔法を作り出すことができる。
通常の『属性魔法』に『精霊魔法』や『召喚魔法』などあらゆる魔法を自分なりの『魔法』として創りだせる。
魔法の持つ本質を理解することでその威力を高めることができるため、全知全能の能力を応用することで無限の可能性を持ち合わせている。
また、魔法を元にした『魔道具』なども創ることができる。
◆◆◇◆◆◇◆◆
神々がくれた恩恵の能力を再確認できたことで、俺はスマホに組み込まれているAiアシスタントの『Siri』に『全知全能』の知識をアップロードし、声をアカリと同一の物とする。
結局のところ、『Siri』は俺が利きたいことに対して答えてくれるだけの文字通り『アシスタント』的役割で、アカリは俺の身の回りのサポートをしてくれる『相棒』と言う感じだ。
「それにしても『Siri』じゃあ味気ないな……」
相棒が『アカリ』だからな。こっちは陰で支えてくれるって感じで……。
「よし。お前は今日から『トモエ』だ」
『「Siri」改め「トモエ」を拝命します。今後ともよろしくお願いいたします』
今後のことを考えながら食事を済ませ早めに寝る。
明日は朝から忙しくなりそうだ。
次の日、早めの朝食後にリュナに「出かける」と伝えて森に入る。
「この辺りなら良いか……『浮遊呪文』」
体が浮き始め、魔力を込めると空高く舞い上がる。
上空1000メートルの高さまで上がったところでトモエに問う。
「トモエ。エクセリオン公国の王都までの最短距離を地図に示してくれ」
『王都までの最短距離を表示しました』
「よし。アカリ、しっかり掴まってろ。このまま飛行呪文で良い気に飛んでいくからな」
「では、マスターの左肩に捕まりますね」
「じゃあ、行くぞ。『飛行呪文』!」
魔力を身体にまとわせて飛行呪文を使う。
いうなれば、某マンガの『舞空術』と言うのを参考にしている。
スピードとしては時速120キロほどだろうか。
軽く飛ばしてこのスピードだ。
グロアの町まで普通なら1週間と言うところだが、直線距離と言うだけでなく空を飛んでいくわけで…半日ほどで着できた。
「今のスピードで王都までどのくらいかかる?」
『2週間はかかります』
「全速力で飛んだら1日くらいかな」
「では、試しにここからアリオンの村まで戻ってみては?」
「それが手っ取り早いか」
魔力を全開に上げて飛行呪文を使う。
ズドン!という空気を突き抜ける音とともに飛ぶ。
数分でアリオンの村の上空に到着した。
「このスピードなら1日とかからずに着きそうだな」
「そうですね」
「今日のところはこのまま獲物を獲って帰るとするか」
「そうしましょう。私も手伝います」
◆◆◇◆◆◇◆◆
次の日の朝も同じように早々朝食を済ませてリュナに3日ほど出かけると伝えて王都に向けて出発した。
『ピピ…魔獣の気配を探知しました』
「おっと。どこだ?」
『左に30度、距離にして1キロほどの地点。バウの森の中腹辺りになります。冒険者と交戦中です』
「トモエ、誘導を頼む」
『了解しました』
スピードを抑えて飛ぶ。
近づくにつれ気配が濃くなる。
「あそこか……」
「どうやら冒険者たちの方が劣勢のようですね」
「救助すべきか?」
「その方がよろしいかと」
俺は少し距離を取って森に降りる。
後は試しとばかりに低空飛行で近づくことにした。
「アレは……・?」
「エレファントプスです」
「3つ角の巨象か」
長鼻の脇から生えた2本の角、額の真ん中から生えた1本の角……まるでヘラクレスオオカブトのようなゾウが今にも冒険者を踏みつけようとしていた。
「――『風圧呪文』」
身体を支える足に風圧が当たり、上げていた足のせいもあってバランスを崩し倒れるエレファントプス。
「ついでだ。『防御減少呪文』」
エレファントプスの物理防御を下げる。
「今だ。一斉に攻撃しろ!」
「うおおおおおっ!」
「てりゃぁぁぁぁぁっ!」
「ダッシャ―――ッ!」
俺の掛け声とともに戦士系の男たちが突っ込んでエレファントプスを突き刺していく。
よし。どうやら倒せたようだな。
俺はそれ見届けると浮遊呪文でその場を離れる。
「良いのですか?」
「アレは彼らの獲物だ。俺はちょっと手を貸しただけだし」
俺は再び飛行呪文で王都を目指すのだった。
それからも何度か魔獣や魔物の群生を見つけては討伐していく。
冒険者たちとの遭遇は無かったので討伐した魔獣や魔物はアイテムボックスに入れていく。
俺が魔獣や魔物の討伐中はアカリは採取可能な素材を集めてくれた。
これらはすべて王都で売って資金にするための物だ。
「トモエ。あとどのくらいで王都に着く?」
『時間にして2間ほどです』
「じゃあ、夜になる前に着くか」
何の障害も無ければ午後3時ごろには着く予定であったが、獲物討伐は予定に入っていたので到着時間に遅れがあるのは必然であった。
ここからは全速力で飛行する。
いや語弊があるな。
ここからは飛行にだけ集中して飛ぶことにした。
「完全に陽が落ちたな」
王都に到着した時、青と紺色の混じった空が広がり始めていた。
「まずは宿の手配だな」
「時間も時間ですしね」
「それにしてもこの時間でこの賑わい。さすがは王都ってとこか」
「冒険者だけじゃないですね。観光客でしょうか?」
「そうだと思うけど……」
時間帯も時間帯なわけで、俺のいた世界ならともかくこの世界では娯楽や観光地のような施設は無い。
しかも、暗くなると魔法の明かり以外の街頭的物が無いのでさして明るくないので危険なのだ。
だとすると単なる観光客と言うよりは別国の商人関係と思う方が正しいのかもしれない。
「とりあえず、グランドギルドに行こう」
「そうですね」
グランドギルドで宿屋を紹介してもらい2泊で宿を取る。
獣王亭は子の王都でも5本の指に入る高級宿。
1泊金貨1枚。その分セキュリティや安全面は保証している。
朝・夕の食事付きなので割り切ってしまえば悪くない。
しかも、ベッドはフカフカだ。
「食事に行くか」
「どんな料理が出るか楽しみです」
食堂は広く、人もたくさんいるが騒がしいと言うほどではない。
酒場のような下品さがないのでゆっくり食事がとれそうだ。
ただし、身なりが良い人ばかりなので自分の方が浮いている感じだった。
きっと、周りからは田舎者が精いっぱい背伸びしているように見えているんだろうな。
まあ、確かに上品とは言えないのだけど……。
気にしていても仕方がないので食事を始めることにした。
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