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・番外編・お兄ちゃんは過保護【その後のお話】
29.幼馴染の先輩
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何とか無事ラーメンを完食するとその頃合いを見計らったように、バラバラと皆立ち上がり会計を次々と済ませて店を出て行く。1年生っぽい細い子もいるけど、大抵は私より体の大きいしっかりとした体格の男子ばかりだ。その群れの迫力に気圧されて、立ち上がったは良いものの勇気の後ろに隠れるようにして、壁際の方に私は後退ってしまう。
部員のほとんどが出て行った後、勇気の背中に付いて暖簾を潜った。
本当にラーメンを一緒に食べる事が目的だったらしく、バラバラと部員達は帰り始めていて、そこに残っているのは数人だった。
私を誘った先輩が他の部員達と立ち話をしていて、勇気が「お疲れっす」とペコリと頭を下げて通り過ぎようとした。私も慌てて勇気に倣い、頭を下げる。下級生達が皆頭を下げて帰って行くのを薄い笑顔で見守っていたその先輩は、勇気を見ると大股で近づいて来た。
「勇気、この子なんて言うんだ?」
私を見ながら、体格の良い先輩が聞いた。
勇気は硬い表情で「……高坂です」と応える。すると先輩は、私の顔を覗き込んで言った。
「高坂さん、なんか部活とか入ってる?」
「いえ……」
「マネージャーやらない?」
「門倉先輩、あの……」
勇気が戸惑ったように、先輩の名を呼んだ。門倉、と呼ばれた先輩は勇気の戸惑いを意に介さないまま、私を見つめて後を続けた。
「夏の大会の後3年の女子マネも引退だから、女子マネ2年生と1年生の2人だけになっちゃうんだ。もし良かったら手伝ってくれないかな」
「……えっと……」
思いも寄らない提案に、何と捉えて良いか分からなかった。咄嗟に立ち止まっているあの女子マネを見る。ああっまた睨んでる……!
2年生は1人って……あの子の事?そしたら3年生が引退したら、2人切りになっちゃうんだよね?あ、1年生はいるのか……でも、無理無理無理!部活なんて大勢の人と接しなきゃならないし、私の事嫌っている相手と毎日一緒に過ごすなんて無理だよ~!
「無理ですよ」
パニックに陥っている私の気持ちを代弁するように、勇気が言った。
「コイツにマネージャーなんて。他人と話す事も出来ないのに」
「……」
カチーン。
私の中で何かが固まった。
自分でも同じことを考えていたのに、何故人に言われると腹が立つのか。
「おい、その言いぐさは無いだろ」
先輩が戸惑ったように返した。きっと軽い気持ちで私に声を掛けたのだろう。もしかして目に付いた女子、全員に声を掛けているのかもしれない。なのに、本人では無い、それこそ一番マネージャー不足で困る当人の筈の勇気に言われたら、驚くのも無理はない。
というかそれほど私が駄目って事なんだろうか。
少なくとも勇気はそう思っているって事だよね。
「やってみないと分からないじゃないか、なぁ?」
コクン。
え?
思わず先輩の問いかけに頷いてしまった自分に戸惑う。
出来ないって分かり切っているのに。
勇気があんまりな言い方するから―――つい。
隣を見上げると、勇気が目を見開いて私を見下ろしている。
そして眉根を寄せて、酷く嫌そうな表情でこう言ったのだ。
「凛―――正気か?」
部員のほとんどが出て行った後、勇気の背中に付いて暖簾を潜った。
本当にラーメンを一緒に食べる事が目的だったらしく、バラバラと部員達は帰り始めていて、そこに残っているのは数人だった。
私を誘った先輩が他の部員達と立ち話をしていて、勇気が「お疲れっす」とペコリと頭を下げて通り過ぎようとした。私も慌てて勇気に倣い、頭を下げる。下級生達が皆頭を下げて帰って行くのを薄い笑顔で見守っていたその先輩は、勇気を見ると大股で近づいて来た。
「勇気、この子なんて言うんだ?」
私を見ながら、体格の良い先輩が聞いた。
勇気は硬い表情で「……高坂です」と応える。すると先輩は、私の顔を覗き込んで言った。
「高坂さん、なんか部活とか入ってる?」
「いえ……」
「マネージャーやらない?」
「門倉先輩、あの……」
勇気が戸惑ったように、先輩の名を呼んだ。門倉、と呼ばれた先輩は勇気の戸惑いを意に介さないまま、私を見つめて後を続けた。
「夏の大会の後3年の女子マネも引退だから、女子マネ2年生と1年生の2人だけになっちゃうんだ。もし良かったら手伝ってくれないかな」
「……えっと……」
思いも寄らない提案に、何と捉えて良いか分からなかった。咄嗟に立ち止まっているあの女子マネを見る。ああっまた睨んでる……!
2年生は1人って……あの子の事?そしたら3年生が引退したら、2人切りになっちゃうんだよね?あ、1年生はいるのか……でも、無理無理無理!部活なんて大勢の人と接しなきゃならないし、私の事嫌っている相手と毎日一緒に過ごすなんて無理だよ~!
「無理ですよ」
パニックに陥っている私の気持ちを代弁するように、勇気が言った。
「コイツにマネージャーなんて。他人と話す事も出来ないのに」
「……」
カチーン。
私の中で何かが固まった。
自分でも同じことを考えていたのに、何故人に言われると腹が立つのか。
「おい、その言いぐさは無いだろ」
先輩が戸惑ったように返した。きっと軽い気持ちで私に声を掛けたのだろう。もしかして目に付いた女子、全員に声を掛けているのかもしれない。なのに、本人では無い、それこそ一番マネージャー不足で困る当人の筈の勇気に言われたら、驚くのも無理はない。
というかそれほど私が駄目って事なんだろうか。
少なくとも勇気はそう思っているって事だよね。
「やってみないと分からないじゃないか、なぁ?」
コクン。
え?
思わず先輩の問いかけに頷いてしまった自分に戸惑う。
出来ないって分かり切っているのに。
勇気があんまりな言い方するから―――つい。
隣を見上げると、勇気が目を見開いて私を見下ろしている。
そして眉根を寄せて、酷く嫌そうな表情でこう言ったのだ。
「凛―――正気か?」
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