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・番外編・お兄ちゃんは過保護【その後のお話】
42.私の家で
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勇気が来ると聞いて、お母さんは勇気のお母さんとメールの遣り取りをしたらしい。一緒に夕飯を食べる事になった。
実はこういう事は結構ある。
勇気の家は共働きで、お父さんもお母さんも学校の先生なのだ。2人とも部活の顧問も担当しているので帰宅する時間が遅くなることが多い。ちなみに部活手当って平日は無料なんだって!必要な物―――例えばユニフォームなんかを買っても、それは持ち出しで、休日出勤しても4時間で4000円弱だから遠征なんかしちゃったら赤字だそう……。ブラック企業も真っ青だねーってお母さんが言っていた。教師って大変なお仕事だな~って本当に思う。
そんな訳で勇気のご両親は通常業務以外に色々と忙しい毎日を送っているのだけれども、小学校の頃はなるべくお父さん、お母さん、それから8歳年上のお兄ちゃんが交代で早く帰るようにして誰か彼か家にいるように心掛けていてくれていた。それでも誰の都合も付かない日や体調不良でご飯の用意が出来ない時があって、そういう時は高坂家で夕飯を食べていた。
私達が中学生になった年、勇気のお兄ちゃんはご両親と同じ学校の先生になった。でも採用されたのが札幌市では無く北海道だったので、彼は地方へ引っ越す事になり今はお隣の日浦家はお父さん、お母さん、勇気の3人暮らしだ。勇気も今ではちゃんと、一人前に家事を手伝って夕食を作ったりもするらしい。
ちなみに勇気のレパートリーは、カレーとシチューとハッシュドビーフだそうだ。鍋一杯に作って一週間食べ繋ぎ、食べ終わったらルーを変えて次のメニューを作るらしい……豪快だよね。
そんなワケでお父さんもお母さんもいない日に、勇気は遊んで行くついでに家で一緒にご飯を食べて行くことがある。今日も2人とも帰宅が遅くなるそうなので、お母さんが勇気を招待した、という訳だ。
「お邪魔します」
ペコリとお母さんに頭を下げ、玄関に迎えに行った私と一緒に居間に入る勇気。
お母さんの得意料理、トンカツがテーブルの上に山のように積まれている。
う~ん、いい匂いだなぁ!
「勇気君、座って」
「はい」
「お腹空いた!早く食べよう~!」
私も初めての部活参加で、お腹がペコペコだ!
待ちきれないのでキッチンに駆け込んで、積極的にお手伝いしちゃう。ご飯茶碗にざっくざっく炊き立てのご飯をよそってダイニングテーブルに運んだ。
お母さんがシジミの味噌汁を入れたお椀をお盆に乗せて、配ってくれる。
「じゃあ、いただきましょうか」
「いただきまーす!」
「いただきます」
真っ先に大好きなトンカツに齧り付く。
ああ~!
衣はサックサクなのに、中のお肉はふわって感じるくらい柔らかい。おまけに肉汁がジュワジュワ~て染み出て来る。
私はムぐムグと口を動かしながらお母さんに向けて、親指を突き出した。
するとお母さんがクスッと笑って、同じように親指を突き出してくれる。
「上手いです。最高です」
勇気が一口目をアッサリ呑み込んで、私より早く気持ちを言葉で表した。
お母さんは私達の掛け値なしの賞賛に、嬉しそうに目を細めた。
「ありがとう」
そんなワケで食卓は和やかに進んだのだった。
あれ?そう言えば勇気の『聞きたい事』って何だったっけ??
トンカツの魔力に引き込まれ、すっかり元の用事を忘れてしまった私なのであった。
実はこういう事は結構ある。
勇気の家は共働きで、お父さんもお母さんも学校の先生なのだ。2人とも部活の顧問も担当しているので帰宅する時間が遅くなることが多い。ちなみに部活手当って平日は無料なんだって!必要な物―――例えばユニフォームなんかを買っても、それは持ち出しで、休日出勤しても4時間で4000円弱だから遠征なんかしちゃったら赤字だそう……。ブラック企業も真っ青だねーってお母さんが言っていた。教師って大変なお仕事だな~って本当に思う。
そんな訳で勇気のご両親は通常業務以外に色々と忙しい毎日を送っているのだけれども、小学校の頃はなるべくお父さん、お母さん、それから8歳年上のお兄ちゃんが交代で早く帰るようにして誰か彼か家にいるように心掛けていてくれていた。それでも誰の都合も付かない日や体調不良でご飯の用意が出来ない時があって、そういう時は高坂家で夕飯を食べていた。
私達が中学生になった年、勇気のお兄ちゃんはご両親と同じ学校の先生になった。でも採用されたのが札幌市では無く北海道だったので、彼は地方へ引っ越す事になり今はお隣の日浦家はお父さん、お母さん、勇気の3人暮らしだ。勇気も今ではちゃんと、一人前に家事を手伝って夕食を作ったりもするらしい。
ちなみに勇気のレパートリーは、カレーとシチューとハッシュドビーフだそうだ。鍋一杯に作って一週間食べ繋ぎ、食べ終わったらルーを変えて次のメニューを作るらしい……豪快だよね。
そんなワケでお父さんもお母さんもいない日に、勇気は遊んで行くついでに家で一緒にご飯を食べて行くことがある。今日も2人とも帰宅が遅くなるそうなので、お母さんが勇気を招待した、という訳だ。
「お邪魔します」
ペコリとお母さんに頭を下げ、玄関に迎えに行った私と一緒に居間に入る勇気。
お母さんの得意料理、トンカツがテーブルの上に山のように積まれている。
う~ん、いい匂いだなぁ!
「勇気君、座って」
「はい」
「お腹空いた!早く食べよう~!」
私も初めての部活参加で、お腹がペコペコだ!
待ちきれないのでキッチンに駆け込んで、積極的にお手伝いしちゃう。ご飯茶碗にざっくざっく炊き立てのご飯をよそってダイニングテーブルに運んだ。
お母さんがシジミの味噌汁を入れたお椀をお盆に乗せて、配ってくれる。
「じゃあ、いただきましょうか」
「いただきまーす!」
「いただきます」
真っ先に大好きなトンカツに齧り付く。
ああ~!
衣はサックサクなのに、中のお肉はふわって感じるくらい柔らかい。おまけに肉汁がジュワジュワ~て染み出て来る。
私はムぐムグと口を動かしながらお母さんに向けて、親指を突き出した。
するとお母さんがクスッと笑って、同じように親指を突き出してくれる。
「上手いです。最高です」
勇気が一口目をアッサリ呑み込んで、私より早く気持ちを言葉で表した。
お母さんは私達の掛け値なしの賞賛に、嬉しそうに目を細めた。
「ありがとう」
そんなワケで食卓は和やかに進んだのだった。
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