110 / 211
・後日談・ 俺とねーちゃんのその後の話
29.ボーダーライン <高坂>
しおりを挟む
高坂視点です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
C判定だ。
模試の結果を見て、意外な結果に驚いた。
滑り止めの私学はC判定でB判定を取ることはあっても、現在本命としているT大はD判定しか取ったことがなかった。高校から真面目に勉強し始めたと言っても部活と両立するのは中々の難易度だったから。
これは、晶ちゃんに触発されたお陰かもしれない。ひょっとしたら、来年同級生になれるかも?そう考えるとなんだかソワソワしてしまった。
** ** **
俺はつい最近、自分が晶ちゃんを好きだと本格的に自覚した。だけど同時に、晶ちゃんがまだ清美を好きだという気持ちを本人から聞き出してしまった。
ほんとーに今度ばかりは、自分の察しの良さに嫌気がさした。
だからつい清美に発破を掛けるようなことを言っちまった。
「じゃ、そういう事だから。あんまり晶ちゃんを苛めないで、優しくしてやって?大事な『おねーちゃん』が頑張っているんだから、邪魔しないで大人しく応援してやってよ、可愛い『弟』としてさ」
恋敵の幼さを黙って見過ごす事が、本来俺の希望にとって最善の策だと思う。清美がぼんやりと晶ちゃんの有難さに気付かず、子供っぽい独占欲と執着心に振り回されたまま同じところをウロウロしていれば、2人の距離はこのまま縮まらないだろう。それが一番、俺にとっては都合が良い。
けれども晶ちゃんの潤んだ瞳と赤くなった目尻を思い出すと、どうにも黙っていられなくなってしまったのだ。
俺の台詞に与えられたダメージから起き上がれず、清美が諦めてしまえば―――俺の一番の障害が消える。でももし清美の意識に改善の余地があって、晶ちゃんへの甘えを捨てて、彼女を支える気構えを持てるくらい成長できるなら―――晶ちゃんにとってはこれ以上良いことはないだろう。
正直言ってどちらに転ぶのか、俺には判らない。
俺の行動の結果が、俺にとって都合の良い結末を運んでくるのか、それとも清美が晶ちゃんと一緒にいられる未来を手に掴む布石になってしまうのか。
どっちみちあれだけ言っても奮起できないようなら、本当に清美に晶ちゃんをまかせることはできない。そうなったとしたら―――宣言した通り、俺が『晶ちゃんを甘やかして、大事に大事に大切にして、必ず幸せに』したい。いや、させて貰うよう全力で努力する。
清美の気持ちも、晶ちゃんの気持ちも、俺の手の内にはない。
どっちに転ぶか……それこそ予想なんかできやしない。
今俺にできることと言ったら―――そう、勉強しかない。
まずは今後4年間晶ちゃんの近くにいられる権利を確保すること。そして彼女に身近に感じて貰えるよう、努力すること。一緒に暮らしてきた『弟』以上に近くは、どうやったってなれないかもしれないけど。
晶ちゃんに清美と腹を割って話し合うように言ったのは、彼女に以前の俺みたいに燻って後悔して欲しくないから。
俺の助言の結果、蟠りが氷解して2人が『恋人』同士に戻っても、スッキリしてただの『姉弟』に戻ることになっても―――どちらにしても晶ちゃんの心にかかる霧が晴れて、あんなふうに目を赤くせずにいられるなら。
彼女を縛る重い枷から解き放つ手伝いになるなら―――こんな嬉しいことは無い。
** ** **
『遠距離恋愛 成功率』をネットで検索してみた。
成功率は2割。
更に『全体の9割が2年以内に破局する』……らしい。
すれ違いがあるにせよ、今あの2人は両想い。
だけど統計からすれば、もし今回晶ちゃんと清美が和解することができたとしても9割の確率で別れる可能性がある。
なんだ。
見込みのほとんど無かった『初恋』に比べれば、大した障害では無いじゃないか。
なんてね。
恋愛に模試があったら、まさに今の俺の判定結果はC判定だろう。
さてさて……どっちに転ぶかな。
『合格』か『不合格』か。
取り合えず、これまで頼ったことのない神頼みでもしてみよう。
―――でも、チャンスは1度きりじゃない。
俺って、結構ポジティブだな。
2度目の恋によって、俺は意外な自分の性質に気付かされたのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
C判定だ。
模試の結果を見て、意外な結果に驚いた。
滑り止めの私学はC判定でB判定を取ることはあっても、現在本命としているT大はD判定しか取ったことがなかった。高校から真面目に勉強し始めたと言っても部活と両立するのは中々の難易度だったから。
これは、晶ちゃんに触発されたお陰かもしれない。ひょっとしたら、来年同級生になれるかも?そう考えるとなんだかソワソワしてしまった。
** ** **
俺はつい最近、自分が晶ちゃんを好きだと本格的に自覚した。だけど同時に、晶ちゃんがまだ清美を好きだという気持ちを本人から聞き出してしまった。
ほんとーに今度ばかりは、自分の察しの良さに嫌気がさした。
だからつい清美に発破を掛けるようなことを言っちまった。
「じゃ、そういう事だから。あんまり晶ちゃんを苛めないで、優しくしてやって?大事な『おねーちゃん』が頑張っているんだから、邪魔しないで大人しく応援してやってよ、可愛い『弟』としてさ」
恋敵の幼さを黙って見過ごす事が、本来俺の希望にとって最善の策だと思う。清美がぼんやりと晶ちゃんの有難さに気付かず、子供っぽい独占欲と執着心に振り回されたまま同じところをウロウロしていれば、2人の距離はこのまま縮まらないだろう。それが一番、俺にとっては都合が良い。
けれども晶ちゃんの潤んだ瞳と赤くなった目尻を思い出すと、どうにも黙っていられなくなってしまったのだ。
俺の台詞に与えられたダメージから起き上がれず、清美が諦めてしまえば―――俺の一番の障害が消える。でももし清美の意識に改善の余地があって、晶ちゃんへの甘えを捨てて、彼女を支える気構えを持てるくらい成長できるなら―――晶ちゃんにとってはこれ以上良いことはないだろう。
正直言ってどちらに転ぶのか、俺には判らない。
俺の行動の結果が、俺にとって都合の良い結末を運んでくるのか、それとも清美が晶ちゃんと一緒にいられる未来を手に掴む布石になってしまうのか。
どっちみちあれだけ言っても奮起できないようなら、本当に清美に晶ちゃんをまかせることはできない。そうなったとしたら―――宣言した通り、俺が『晶ちゃんを甘やかして、大事に大事に大切にして、必ず幸せに』したい。いや、させて貰うよう全力で努力する。
清美の気持ちも、晶ちゃんの気持ちも、俺の手の内にはない。
どっちに転ぶか……それこそ予想なんかできやしない。
今俺にできることと言ったら―――そう、勉強しかない。
まずは今後4年間晶ちゃんの近くにいられる権利を確保すること。そして彼女に身近に感じて貰えるよう、努力すること。一緒に暮らしてきた『弟』以上に近くは、どうやったってなれないかもしれないけど。
晶ちゃんに清美と腹を割って話し合うように言ったのは、彼女に以前の俺みたいに燻って後悔して欲しくないから。
俺の助言の結果、蟠りが氷解して2人が『恋人』同士に戻っても、スッキリしてただの『姉弟』に戻ることになっても―――どちらにしても晶ちゃんの心にかかる霧が晴れて、あんなふうに目を赤くせずにいられるなら。
彼女を縛る重い枷から解き放つ手伝いになるなら―――こんな嬉しいことは無い。
** ** **
『遠距離恋愛 成功率』をネットで検索してみた。
成功率は2割。
更に『全体の9割が2年以内に破局する』……らしい。
すれ違いがあるにせよ、今あの2人は両想い。
だけど統計からすれば、もし今回晶ちゃんと清美が和解することができたとしても9割の確率で別れる可能性がある。
なんだ。
見込みのほとんど無かった『初恋』に比べれば、大した障害では無いじゃないか。
なんてね。
恋愛に模試があったら、まさに今の俺の判定結果はC判定だろう。
さてさて……どっちに転ぶかな。
『合格』か『不合格』か。
取り合えず、これまで頼ったことのない神頼みでもしてみよう。
―――でも、チャンスは1度きりじゃない。
俺って、結構ポジティブだな。
2度目の恋によって、俺は意外な自分の性質に気付かされたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。
恋人、はじめました。
桜庭かなめ
恋愛
紙透明斗のクラスには、青山氷織という女子生徒がいる。才色兼備な氷織は男子中心にたくさん告白されているが、全て断っている。クールで笑顔を全然見せないことや銀髪であること。「氷織」という名前から『絶対零嬢』と呼ぶ人も。
明斗は半年ほど前に一目惚れしてから、氷織に恋心を抱き続けている。しかし、フラれるかもしれないと恐れ、告白できずにいた。
ある春の日の放課後。ゴミを散らしてしまう氷織を見つけ、明斗は彼女のことを助ける。その際、明斗は勇気を出して氷織に告白する。
「これまでの告白とは違い、胸がほんのり温かくなりました。好意からかは分かりませんが。断る気にはなれません」
「……それなら、俺とお試しで付き合ってみるのはどうだろう?」
明斗からのそんな提案を氷織が受け入れ、2人のお試しの恋人関係が始まった。
一緒にお昼ご飯を食べたり、放課後デートしたり、氷織が明斗のバイト先に来たり、お互いの家に行ったり。そんな日々を重ねるうちに、距離が縮み、氷織の表情も少しずつ豊かになっていく。告白、そして、お試しの恋人関係から始まる甘くて爽やかな学園青春ラブコメディ!
※特別編9が完結しました!(2026.3.6)
※小説家になろう(N6867GW)、カクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想などお待ちしています。
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
溺婚
明日葉
恋愛
香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。
以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。
イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。
「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。
何がどうしてこうなった?
平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?
訳あり冷徹社長はただの優男でした
あさの紅茶
恋愛
独身喪女の私に、突然お姉ちゃんが子供(2歳)を押し付けてきた
いや、待て
育児放棄にも程があるでしょう
音信不通の姉
泣き出す子供
父親は誰だよ
怒り心頭の中、なしくずし的に子育てをすることになった私、橋本美咲(23歳)
これはもう、人生詰んだと思った
**********
この作品は他のサイトにも掲載しています
さよなら、私の初恋の人
キムラましゅろう
恋愛
さよなら私のかわいい王子さま。
破天荒で常識外れで魔術バカの、私の優しくて愛しい王子さま。
出会いは10歳。
世話係に任命されたのも10歳。
それから5年間、リリシャは問題行動の多い末っ子王子ハロルドの世話を焼き続けてきた。
そんなリリシャにハロルドも信頼を寄せていて。
だけどいつまでも子供のままではいられない。
ハロルドの婚約者選定の話が上がり出し、リリシャは引き際を悟る。
いつもながらの完全ご都合主義。
作中「GGL」というBL要素のある本に触れる箇所があります。
直接的な描写はありませんが、地雷の方はご自衛をお願いいたします。
※関連作品『懐妊したポンコツ妻は夫から自立したい』
誤字脱字の宝庫です。温かい目でお読み頂けますと幸いです。
小説家になろうさんでも時差投稿します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる