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・後日談 俺とねーちゃんのその後の話のおまけ1・
結婚しようよ<清美>
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タイトル通り清美と晶の結婚式のエピソードです。
清美視点となります。
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予定より早い!と、とーちゃんに怒られた。
しかし俺にも譲れないモノがある。そろそろ限界だった。そしてついこの間、BJAリーグ合同トライアウトの選考を通過し、仙台市のバスケットボールチームと契約する事になった。
しかしビックネームでも外国人選手でもない新人選手の年俸は安い。普通のサラリーマンよりずっと。このままでは当然食べては行けない。通訳として仕事を取ろうと考えているものの、まだまだこちらも始まったばかり、と言うか修行中だ。宣言通りの条件を満たしたものの、現実は厳しい。これじゃあ晶を養っていけないと、プロポーズを延期しようかと思っていた。
仙台市のチームを目指したのは、大学院を卒業する晶の就職先がその地方に内定したからだ。主体性が無いと非難してくれて、構わない。だけど高校を卒業した晶と離れて暮らした2年間、二度と彼女から離れないよう努力すると決めたから、晶が仙台市の天文台の学芸員になると決まった時、俺は迷わず東北方面のチームと契約する事を目標に定めた。
それに将来について何も考えてない訳じゃ無い。
仙台市には野球チームもあるから、バスケットボールチームの通訳やチームスタッフとして残れなくても、野球チームの選手の通訳をする機会に恵まれるかもしれない。それから新幹線も通過するから、観光関係の仕事を請け負えないかと考えている。
しかし通訳の仕事をするにしても、まずは派遣会社に登録して、小さな仕事で信用を築くのが先決だ。
それよりも先に本業のバスケットでスタメンに入れるよう、気を抜かずに努力しなければならない。選手として毎年の契約更改で残留してもらえるかどうかも分からないし、当分はこちらに全力を注ぐ事に集中しなければならない。
本格的に契約したらチームに合流するのは卒業後、8月から。だけどその前に俺は晶と入籍して、仙台市へ付いて行こうと思っている。そしてパフォーマンスを上げるべく、練習を怠らないようにしなければ。
結婚を決意出来たのは、晶のお陰だ。
現実が見えて来て落ち込んでいる俺に、晶が言ってくれたのだ。
「一緒に住もう。2人のお給料を合わせれば、食べていけるよ」
と。
プロポーズするつもりが、されてしまった。
やはり残念な男―――と笑ってくれて構わない。
だけど俺は今幸せだから、どんなに罵られても常に笑顔でいられる自信がある。
そんなワケで俺は今、北海道神宮の本殿の中にいる。
何故かって?
もちろん結婚式のためだ!
しかも学生結婚。
俺は大学四年生、晶は大学院修士課程二年生の夏休み。
帰省したついでに式を挙げ、これから本籍のある札幌市に結婚届を提出するのだ。
お金が無いので相談して、式だけ挙げる事にした。
すると仕事人間夫婦、小金だけは豊富に持っている両親がホテルでの豪華な食事とスイートルームの宿泊をプレゼントしてくれた。
持つべきものは働き者の親。
「老後も自分たちでなんとかするから気にするな」
と言われた。
ありがとう。堅実な親を持って、自由業を選んだ息子は幸せです……。
今日は神宮で神前式(なんと写真と衣装込みで10万円だ!)を上げた後、両親と俺のばーちゃん、それから晶のばーちゃん2人、そして俺の実のかーちゃんと晶のとーちゃんの写真と一緒にホテルで食事をする事になっている。序でにその後大通の居酒屋で結婚祝賀会に出席する予定だ。
祝賀会は地崎が仕切ってくれて、主にバスケ部の友人と晶が所属していた地学部の部員が出席する。中学校のバスケ部の駒澤先輩と唐沢先輩、鷹村も出席してくれる。
それから塾の講師をしていたという王子のねーちゃん、王子と晶の共通の友人で晶の大学の同期生でもある彼方さん、わざわざこの為に来道したという晶の大学の友人、有吉さんも参加する。
有吉さんは東京で会えるんだから、こんな同窓会みたいな宴会に参加しなくても良いのに……とも思ったが、晶が嬉しそうなので「まあいっか」と、席の確保を地崎にお願いした。あ、何故か地崎の彼女の立花理留ちゃんも参加するらしい。
という事で結構女性陣の美人度が高くなる予定なので(地学部の奇人、オタク安孫子も見た目『だけ』はいい)バスケ部の仲間は気合を入れているらしい……。
でも今回一番可愛くて、愛らしくて、綺麗で素敵なのは……とにかく一番は俺の嫁(!)だけどな!
俺の嫁が一番!―――大事な事なので、二度言った。
本殿の扉の前でソワソワしていると、衣擦れの音が背後から響いて来た。
クルリと振り返ると、巫女さんに手を引かれてしずしずと歩いて来る晶がいた。
純白の花嫁衣裳まとった愛しい女。彼女がこちらへ向かってゆっくりと近づいて来る……。
足元を確認しながら歩いて来るため、白い角隠しで顔が見えない。
ジリジリと待っていると、やっと彼女が俺の横に到着した。
俺は彼女の顔が見たくて、少し膝を屈めて覗き込もうとした。
同時に彼女も顔を上げた。
「白いね」
思わず、見たまんまを口に出した。
というのは嘘だ。そんなことを最初に思ったわけじゃない。
つい照れて、本心を言うのを躊躇ったのだ。
見た瞬間、こんな綺麗な女の人がいるんだって感動した。
そして彼女と俺は今日、結婚できるんだって思って―――胸が苦しくなった。
「そーでしょ?こんなに白く塗るんだって、鏡を見て笑っちゃた」
朱く塗られた小さな唇が、おどけたように応える。
ニコリと零れるように笑ったその表情の美しさに、心臓が、止まるかと思うほどドキンと大きく波打った。
だから恥ずかしかったけど、言わないと一生後悔するかもしれないと思った。
「……すっごく綺麗だ」
真顔で本心を漏らす俺を見上げ、不意打ちに驚いたように目を見開く。
「……アリガト」
照れたように目を逸らして片言のお礼を言った。
ああ、可愛すぎる……!
「では、開けますね」
巫女さんがタイミングを見計らって扉を開けた。
本殿に向かって座っているとーちゃん、かーちゃん、ばーちゃん’ズ、それから写真の中の晶のとーちゃんとエリカかーちゃんが、笑顔で迎えてくれるのが目に入る。
いや、とーちゃんだけ泣いている……。号泣だった。
それを見て、俺達は目を合わせてクスリと微笑んだ。
そして、本殿へ。
今日から姉弟を止めて夫婦になるために、俺たちは一歩踏み出したのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
現実はいろいろ大変ですが、しっかりした年上女房に支えて貰い、清美はこれから更に頑張って行く予定ですので、こちらで一旦お話は終了します。
ここまでお付き合いいただいた方には感謝しかありません。
お読みいただき、有難うございました。
※別作として高坂先輩が遊んでいる頃の相手視点の番外編『仮初めの恋人』及び、約10年後高坂の妹を主人公とした番外編『お兄ちゃんは過保護』を追加しております。こちらも覗いていただけると嬉しいです。
清美視点となります。
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予定より早い!と、とーちゃんに怒られた。
しかし俺にも譲れないモノがある。そろそろ限界だった。そしてついこの間、BJAリーグ合同トライアウトの選考を通過し、仙台市のバスケットボールチームと契約する事になった。
しかしビックネームでも外国人選手でもない新人選手の年俸は安い。普通のサラリーマンよりずっと。このままでは当然食べては行けない。通訳として仕事を取ろうと考えているものの、まだまだこちらも始まったばかり、と言うか修行中だ。宣言通りの条件を満たしたものの、現実は厳しい。これじゃあ晶を養っていけないと、プロポーズを延期しようかと思っていた。
仙台市のチームを目指したのは、大学院を卒業する晶の就職先がその地方に内定したからだ。主体性が無いと非難してくれて、構わない。だけど高校を卒業した晶と離れて暮らした2年間、二度と彼女から離れないよう努力すると決めたから、晶が仙台市の天文台の学芸員になると決まった時、俺は迷わず東北方面のチームと契約する事を目標に定めた。
それに将来について何も考えてない訳じゃ無い。
仙台市には野球チームもあるから、バスケットボールチームの通訳やチームスタッフとして残れなくても、野球チームの選手の通訳をする機会に恵まれるかもしれない。それから新幹線も通過するから、観光関係の仕事を請け負えないかと考えている。
しかし通訳の仕事をするにしても、まずは派遣会社に登録して、小さな仕事で信用を築くのが先決だ。
それよりも先に本業のバスケットでスタメンに入れるよう、気を抜かずに努力しなければならない。選手として毎年の契約更改で残留してもらえるかどうかも分からないし、当分はこちらに全力を注ぐ事に集中しなければならない。
本格的に契約したらチームに合流するのは卒業後、8月から。だけどその前に俺は晶と入籍して、仙台市へ付いて行こうと思っている。そしてパフォーマンスを上げるべく、練習を怠らないようにしなければ。
結婚を決意出来たのは、晶のお陰だ。
現実が見えて来て落ち込んでいる俺に、晶が言ってくれたのだ。
「一緒に住もう。2人のお給料を合わせれば、食べていけるよ」
と。
プロポーズするつもりが、されてしまった。
やはり残念な男―――と笑ってくれて構わない。
だけど俺は今幸せだから、どんなに罵られても常に笑顔でいられる自信がある。
そんなワケで俺は今、北海道神宮の本殿の中にいる。
何故かって?
もちろん結婚式のためだ!
しかも学生結婚。
俺は大学四年生、晶は大学院修士課程二年生の夏休み。
帰省したついでに式を挙げ、これから本籍のある札幌市に結婚届を提出するのだ。
お金が無いので相談して、式だけ挙げる事にした。
すると仕事人間夫婦、小金だけは豊富に持っている両親がホテルでの豪華な食事とスイートルームの宿泊をプレゼントしてくれた。
持つべきものは働き者の親。
「老後も自分たちでなんとかするから気にするな」
と言われた。
ありがとう。堅実な親を持って、自由業を選んだ息子は幸せです……。
今日は神宮で神前式(なんと写真と衣装込みで10万円だ!)を上げた後、両親と俺のばーちゃん、それから晶のばーちゃん2人、そして俺の実のかーちゃんと晶のとーちゃんの写真と一緒にホテルで食事をする事になっている。序でにその後大通の居酒屋で結婚祝賀会に出席する予定だ。
祝賀会は地崎が仕切ってくれて、主にバスケ部の友人と晶が所属していた地学部の部員が出席する。中学校のバスケ部の駒澤先輩と唐沢先輩、鷹村も出席してくれる。
それから塾の講師をしていたという王子のねーちゃん、王子と晶の共通の友人で晶の大学の同期生でもある彼方さん、わざわざこの為に来道したという晶の大学の友人、有吉さんも参加する。
有吉さんは東京で会えるんだから、こんな同窓会みたいな宴会に参加しなくても良いのに……とも思ったが、晶が嬉しそうなので「まあいっか」と、席の確保を地崎にお願いした。あ、何故か地崎の彼女の立花理留ちゃんも参加するらしい。
という事で結構女性陣の美人度が高くなる予定なので(地学部の奇人、オタク安孫子も見た目『だけ』はいい)バスケ部の仲間は気合を入れているらしい……。
でも今回一番可愛くて、愛らしくて、綺麗で素敵なのは……とにかく一番は俺の嫁(!)だけどな!
俺の嫁が一番!―――大事な事なので、二度言った。
本殿の扉の前でソワソワしていると、衣擦れの音が背後から響いて来た。
クルリと振り返ると、巫女さんに手を引かれてしずしずと歩いて来る晶がいた。
純白の花嫁衣裳まとった愛しい女。彼女がこちらへ向かってゆっくりと近づいて来る……。
足元を確認しながら歩いて来るため、白い角隠しで顔が見えない。
ジリジリと待っていると、やっと彼女が俺の横に到着した。
俺は彼女の顔が見たくて、少し膝を屈めて覗き込もうとした。
同時に彼女も顔を上げた。
「白いね」
思わず、見たまんまを口に出した。
というのは嘘だ。そんなことを最初に思ったわけじゃない。
つい照れて、本心を言うのを躊躇ったのだ。
見た瞬間、こんな綺麗な女の人がいるんだって感動した。
そして彼女と俺は今日、結婚できるんだって思って―――胸が苦しくなった。
「そーでしょ?こんなに白く塗るんだって、鏡を見て笑っちゃた」
朱く塗られた小さな唇が、おどけたように応える。
ニコリと零れるように笑ったその表情の美しさに、心臓が、止まるかと思うほどドキンと大きく波打った。
だから恥ずかしかったけど、言わないと一生後悔するかもしれないと思った。
「……すっごく綺麗だ」
真顔で本心を漏らす俺を見上げ、不意打ちに驚いたように目を見開く。
「……アリガト」
照れたように目を逸らして片言のお礼を言った。
ああ、可愛すぎる……!
「では、開けますね」
巫女さんがタイミングを見計らって扉を開けた。
本殿に向かって座っているとーちゃん、かーちゃん、ばーちゃん’ズ、それから写真の中の晶のとーちゃんとエリカかーちゃんが、笑顔で迎えてくれるのが目に入る。
いや、とーちゃんだけ泣いている……。号泣だった。
それを見て、俺達は目を合わせてクスリと微笑んだ。
そして、本殿へ。
今日から姉弟を止めて夫婦になるために、俺たちは一歩踏み出したのだった。
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現実はいろいろ大変ですが、しっかりした年上女房に支えて貰い、清美はこれから更に頑張って行く予定ですので、こちらで一旦お話は終了します。
ここまでお付き合いいただいた方には感謝しかありません。
お読みいただき、有難うございました。
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