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番外編・うさぎのきもち
4.何とかして
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結局アレコレ考えて、手を入れずに餌を追加する事を思いついた。厚紙を細長く切りV字型に折り曲げ、それをケージの中に差し込み滑り台のようにして餌を流し込むと言うもの。思いついた時には『なんて名案だ!』と浮かれたものが、実際やってみるとなかなか難しい。滑り込ませる途中で脱落した餌の粒がザラザラと床に落ち、何度か滑り台を作り直して漸く餌入れを満杯にする事が出来た。
しかしケージの中にかなりうさぎの餌が散らばってしまった。
「うーん……まあ、仕方が無いか」
こうやって世話をするうちにヨツバが俺を『餌をやる人』と認識するようになるかもしれない。そうすればいつかケージの中に手を入れて餌入れを取り出しても攻撃を受けずに済むようになるかもしれない。問題は―――それがいつ可能になるか、と言う事だが。
俺に背を向けてガツガツと餌に齧り付くヨツバを暫くボンヤリと眺める。
まるでオッサンだな、と思う。さっきまで凶暴な側面は見えたものの、見た目だけなら可愛い小動物って印象に変化は無かった。だけど背を丸めてガッついている後ろ姿はまるで場末の食堂でチャーハンを掻っ込むオッサンみたいに見える。
溜息を吐いて俺はスマホを手に取った。着信もSNSもメールも、連絡と名の付くものは何一つ届いていない。念のためメール問い合わせもしてみたが、お問合せセンターにも新しいメールは保管されていないようだった。
……ヨツバの写真を送ってみるか?
もしかすると、みのりはヨツバの事を気にしているかもしれない。
俺に背を向けてガツガツと餌を貪るオッサンのような背中を、スマホをかざして写真に収めた。撮ったばかりの写真を選択し『送信』を押そうとして……指を止める。
ヤメダヤメダ、何だって俺がそんな事してやらなきゃならないんだ。
気になるならあちらから連絡してくるのがスジってもんだ。何で俺の方がアイツのご機嫌を伺うみたいな真似、しなきゃならないって言うんだ……!
ヨツバの世話はする。同じ部屋で息をしている生き物がぐったりしたり、万が一息絶えたりでもしたら目覚めが悪いからだ。だからそれは、仕方が無いんだ。今ヨツバの写真を撮ったのも、そうだ。みのりに連絡する為じゃない。もしアイツが連絡して来た時、俺がちゃんとヨツバの世話をしていたって証明するために撮ったんだ。
そう、変に慌てて下手に出たら相手の思うつぼだ。みのりは俺を混乱させて優位に立とうとしているのかもしれない。じゃなきゃ、ちゃんと説明する筈だ。何も言わずに消えるなんて―――馬鹿な真似をするのは、たぶんそう言う理由に違いない。
最初が肝心、と言うじゃないか。ここで俺が狼狽えて下手を打てば、結婚後の力関係が決まってしまう。だから―――どんなに気になっても、こっちから追っちゃ駄目だ。手紙にも書いてあるじゃないか『落ち着いたら』『戻ります』って。それにこれは、みのりに対する思い遣りでもある。独りになって考えたいって言うアイツの意志を尊重すべきだ。そうなんだ、それが一番良い選択肢の筈なんだ。
込み上げる不安を抑えつけるように自分にそう言い聞かせた俺は、ふとケージに目を戻した。するとさっきまでガツガツと、それこそ男らしく餌を貪っていたヨツバが、餌入れから距離を取ってケージの端で丸くなっていた。まるで別人(兎)のように、大人しく置物化している。
「ヨツバ、もう満足したのか?」
尋ねてみるが、当然応えは無い。片耳が僅かに持ち上がったように見えるが、これはひょっとして俺の声に耳を澄ませているのだろうか?それともこういう状態が普通なのか?……うーん、分からない。何せこれまで動物を飼った事も、飼おうと思った事すら無い。
取りあえずスマホで検索してみるか。差し当たってはそう……『餌を残した時 うさぎ 対応』とか。
「……」
チクタク、チクタク、チクタク……チーン!検索の結果出た答えはこうだ。
『うさぎが餌を残した場合―――次の餌やりの時まで残っていたら、古い分は取り除いてあげましょう』
俺は手にしていたスマホをぼふっ!とソファに投げ捨てた……!
「結局、ケージに手を入れなきゃならねーんじゃねーかっ!」
どうやら流血沙汰は避けられないらしい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
注!)上記検索結果は、主人公が短い時間検索した結果たまたま見つけた答え、と言う設定です。
うさぎの飼い方、取り扱い方には日進月歩、諸説あります。そのうさぎの性格や体質、飼い主さんの暮らし向き、性格、お互いの関係性にも寄ります。
また主人公・戸次はウサギ飼いとして今のところ初心者以前と言う設定ですので、これまでのお話の間うさぎに対してしてはいけない行動をとっており、無意識に地雷を幾つか踏んでいます。うさぎを扱う際は、決して戸次の真似をしないようお願い致します<(_ _)>
※お気づきかもしれませんが、念のため追記します。
しかしケージの中にかなりうさぎの餌が散らばってしまった。
「うーん……まあ、仕方が無いか」
こうやって世話をするうちにヨツバが俺を『餌をやる人』と認識するようになるかもしれない。そうすればいつかケージの中に手を入れて餌入れを取り出しても攻撃を受けずに済むようになるかもしれない。問題は―――それがいつ可能になるか、と言う事だが。
俺に背を向けてガツガツと餌に齧り付くヨツバを暫くボンヤリと眺める。
まるでオッサンだな、と思う。さっきまで凶暴な側面は見えたものの、見た目だけなら可愛い小動物って印象に変化は無かった。だけど背を丸めてガッついている後ろ姿はまるで場末の食堂でチャーハンを掻っ込むオッサンみたいに見える。
溜息を吐いて俺はスマホを手に取った。着信もSNSもメールも、連絡と名の付くものは何一つ届いていない。念のためメール問い合わせもしてみたが、お問合せセンターにも新しいメールは保管されていないようだった。
……ヨツバの写真を送ってみるか?
もしかすると、みのりはヨツバの事を気にしているかもしれない。
俺に背を向けてガツガツと餌を貪るオッサンのような背中を、スマホをかざして写真に収めた。撮ったばかりの写真を選択し『送信』を押そうとして……指を止める。
ヤメダヤメダ、何だって俺がそんな事してやらなきゃならないんだ。
気になるならあちらから連絡してくるのがスジってもんだ。何で俺の方がアイツのご機嫌を伺うみたいな真似、しなきゃならないって言うんだ……!
ヨツバの世話はする。同じ部屋で息をしている生き物がぐったりしたり、万が一息絶えたりでもしたら目覚めが悪いからだ。だからそれは、仕方が無いんだ。今ヨツバの写真を撮ったのも、そうだ。みのりに連絡する為じゃない。もしアイツが連絡して来た時、俺がちゃんとヨツバの世話をしていたって証明するために撮ったんだ。
そう、変に慌てて下手に出たら相手の思うつぼだ。みのりは俺を混乱させて優位に立とうとしているのかもしれない。じゃなきゃ、ちゃんと説明する筈だ。何も言わずに消えるなんて―――馬鹿な真似をするのは、たぶんそう言う理由に違いない。
最初が肝心、と言うじゃないか。ここで俺が狼狽えて下手を打てば、結婚後の力関係が決まってしまう。だから―――どんなに気になっても、こっちから追っちゃ駄目だ。手紙にも書いてあるじゃないか『落ち着いたら』『戻ります』って。それにこれは、みのりに対する思い遣りでもある。独りになって考えたいって言うアイツの意志を尊重すべきだ。そうなんだ、それが一番良い選択肢の筈なんだ。
込み上げる不安を抑えつけるように自分にそう言い聞かせた俺は、ふとケージに目を戻した。するとさっきまでガツガツと、それこそ男らしく餌を貪っていたヨツバが、餌入れから距離を取ってケージの端で丸くなっていた。まるで別人(兎)のように、大人しく置物化している。
「ヨツバ、もう満足したのか?」
尋ねてみるが、当然応えは無い。片耳が僅かに持ち上がったように見えるが、これはひょっとして俺の声に耳を澄ませているのだろうか?それともこういう状態が普通なのか?……うーん、分からない。何せこれまで動物を飼った事も、飼おうと思った事すら無い。
取りあえずスマホで検索してみるか。差し当たってはそう……『餌を残した時 うさぎ 対応』とか。
「……」
チクタク、チクタク、チクタク……チーン!検索の結果出た答えはこうだ。
『うさぎが餌を残した場合―――次の餌やりの時まで残っていたら、古い分は取り除いてあげましょう』
俺は手にしていたスマホをぼふっ!とソファに投げ捨てた……!
「結局、ケージに手を入れなきゃならねーんじゃねーかっ!」
どうやら流血沙汰は避けられないらしい。
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注!)上記検索結果は、主人公が短い時間検索した結果たまたま見つけた答え、と言う設定です。
うさぎの飼い方、取り扱い方には日進月歩、諸説あります。そのうさぎの性格や体質、飼い主さんの暮らし向き、性格、お互いの関係性にも寄ります。
また主人公・戸次はウサギ飼いとして今のところ初心者以前と言う設定ですので、これまでのお話の間うさぎに対してしてはいけない行動をとっており、無意識に地雷を幾つか踏んでいます。うさぎを扱う際は、決して戸次の真似をしないようお願い致します<(_ _)>
※お気づきかもしれませんが、念のため追記します。
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