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捕獲しました。<亀田視点>
16.意外です。
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辻に意外な特技がある事が判明した。
何と辻は鉄オタらしい。
ジャンルとしては『乗り鉄』と言う種類の鉄道オタクらしく、休みの日に『青春18きっぷ』等を利用して、秘境駅や廃線間近の路線を旅したりしているそうだ。
そして更に意外な事に、『乗り鉄』の中では彼は神的な存在として広く知られていて、辻が運営しているサイトはその筋の人々には結構有名らしい。
サイトを見せて貰ったがかなりの完成度と言うか粘着質と言うか、辻が旅した路線についての旅行記を掲載しているのだが、単なる旅行記にとどまらずその土地の歴史から特産物から全て調べ上げた上で、膨大な情報を見易く整理している手腕はなかなかで、大層見応えのある物だった。
辻がコミュニケーション下手、というのも頷ける。
篠岡から情報を得て辻にそのサイトの話を振ると、時折挙動不審にビクビクする以外、普段は基本無表情で何を考えているか外側からはなかなか判断できない辻が、その途端変貌した。
姿勢はピッと正され目には光が宿り、声に張りも生まれ、最初はおずおずとやがて滔々と熱く語り出したのだ。
ただし彼が語り続ける事五分を過ぎた所で俺の堪忍袋の尾が切れてしまったので、すぐに元の辻に戻ってしまったが。他人の事は言えないが、これじゃ総務課の女性陣とコミュニケーションは難しいだろうなぁ……なんて納得してしまった。
そこで辻へのアプローチをちょっと変更した。
辻はいつまで経っても営業に慣れる様子が無かった。
そこで、得意な事から手を付けるようにさせ、自信を持たせる事にした。
俺の仕事の一部の資料作成を手伝わせる事にしたのだ。すると、ちょっと明後日の方向へ向かってしまった、物凄い完成度の書類が出来上がった。資料を調べたり作ったりする能力はあるのだが、やはり人の意を汲むと言う事が苦手らしい辻は、どうしても自分の思い込みで突っ走ってしまう傾向がある。何度か資料作成を頼む遣り取りを通して、課長として営業課全体を見る俺の視点を体感させ、その上で営業の仕事で必要になるポイント、拘らなくて良いポイントを指摘した。すると徐々に辻の、仕事に対する見方に変化が表れ始めた。
そこで次に、彼の担当に関わる事についてもその粘着質な性質を発揮して自分なりの資料を纏めるよう指示し、アレコレ足りない部分や余計な部分を指摘してみた。
人はその分野に詳しくなると、自然と自信を持って話す事が出来るようになる。十分に顧客と商品に詳しくなった辻は、徐々に外回りから帰って来ても肩を落とさずにいられる日が多くなって来た。
調子の良い事も言えず、時折挙動不審になる怪しさ満点の辻だが―――きちんと商品や相手の状況を把握している事が取引相手に伝わり始めると、むしろ信頼できる誠実な人間だと受け取られる事が多くなって来たようだ。実力があると判断されれば、辻のポーカーフェイスも自信の表れに見え始めるから不思議なものだ。
今では、課内の他の担当に同じような資料を作って提供するようになり、辻は有能な営業課社員への道に一歩踏み出す事となった。
こうして試行錯誤の日々が過ごし、我が家に帰れば可愛らしい黒ウサギのお出迎えに癒され、何とか営業課が形になって来たと思えるようになったのは大規模入替の異動から一年あまり経過した頃の事だった。
異変に気が付いたのは、そんなある日の事だった。
何と辻は鉄オタらしい。
ジャンルとしては『乗り鉄』と言う種類の鉄道オタクらしく、休みの日に『青春18きっぷ』等を利用して、秘境駅や廃線間近の路線を旅したりしているそうだ。
そして更に意外な事に、『乗り鉄』の中では彼は神的な存在として広く知られていて、辻が運営しているサイトはその筋の人々には結構有名らしい。
サイトを見せて貰ったがかなりの完成度と言うか粘着質と言うか、辻が旅した路線についての旅行記を掲載しているのだが、単なる旅行記にとどまらずその土地の歴史から特産物から全て調べ上げた上で、膨大な情報を見易く整理している手腕はなかなかで、大層見応えのある物だった。
辻がコミュニケーション下手、というのも頷ける。
篠岡から情報を得て辻にそのサイトの話を振ると、時折挙動不審にビクビクする以外、普段は基本無表情で何を考えているか外側からはなかなか判断できない辻が、その途端変貌した。
姿勢はピッと正され目には光が宿り、声に張りも生まれ、最初はおずおずとやがて滔々と熱く語り出したのだ。
ただし彼が語り続ける事五分を過ぎた所で俺の堪忍袋の尾が切れてしまったので、すぐに元の辻に戻ってしまったが。他人の事は言えないが、これじゃ総務課の女性陣とコミュニケーションは難しいだろうなぁ……なんて納得してしまった。
そこで辻へのアプローチをちょっと変更した。
辻はいつまで経っても営業に慣れる様子が無かった。
そこで、得意な事から手を付けるようにさせ、自信を持たせる事にした。
俺の仕事の一部の資料作成を手伝わせる事にしたのだ。すると、ちょっと明後日の方向へ向かってしまった、物凄い完成度の書類が出来上がった。資料を調べたり作ったりする能力はあるのだが、やはり人の意を汲むと言う事が苦手らしい辻は、どうしても自分の思い込みで突っ走ってしまう傾向がある。何度か資料作成を頼む遣り取りを通して、課長として営業課全体を見る俺の視点を体感させ、その上で営業の仕事で必要になるポイント、拘らなくて良いポイントを指摘した。すると徐々に辻の、仕事に対する見方に変化が表れ始めた。
そこで次に、彼の担当に関わる事についてもその粘着質な性質を発揮して自分なりの資料を纏めるよう指示し、アレコレ足りない部分や余計な部分を指摘してみた。
人はその分野に詳しくなると、自然と自信を持って話す事が出来るようになる。十分に顧客と商品に詳しくなった辻は、徐々に外回りから帰って来ても肩を落とさずにいられる日が多くなって来た。
調子の良い事も言えず、時折挙動不審になる怪しさ満点の辻だが―――きちんと商品や相手の状況を把握している事が取引相手に伝わり始めると、むしろ信頼できる誠実な人間だと受け取られる事が多くなって来たようだ。実力があると判断されれば、辻のポーカーフェイスも自信の表れに見え始めるから不思議なものだ。
今では、課内の他の担当に同じような資料を作って提供するようになり、辻は有能な営業課社員への道に一歩踏み出す事となった。
こうして試行錯誤の日々が過ごし、我が家に帰れば可愛らしい黒ウサギのお出迎えに癒され、何とか営業課が形になって来たと思えるようになったのは大規模入替の異動から一年あまり経過した頃の事だった。
異変に気が付いたのは、そんなある日の事だった。
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