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捕獲されまして。<大谷視点>
5.彼氏と別れました。
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二年前に彼氏と別れました。
いや付き合って……いなかったのかな? 相手の側からすると。
『真面目ちゃん』と言われるだけあって、結構地味かもしれません。磨く前の原石なんだと自分を励ましてはいますが。鏡を見てもそれほど欠点は無いように思います。背は少し低めだけれども太ってもいないですし、不細工と言うほど悪い部分は無いんですけれどねぇ……まあ、メリハリダイナマイトボディでも無いですし、誰もが振り返るような美人でも無いのはハッキリしているのですけれど。
きっとね、ほら恋愛小説でよくあるパターンで、私の本当の魅力を見抜いた御曹司が知合いのスタイリストを紹介してくれて、上から下までプロデュースしてくれたらきっとアッと驚く宝石のような輝きを披露できるんだと思います。それかお金持ちで心の広い、お節介の友達が『デートならお洒落しなきゃね』なんて言って、いつも行ってる御用達の高級百貨店に連れて行ってくれて、お姫様みたいに生まれ変わらせてくれれば―――きっとデート相手が見惚れて言葉を忘れる……なんて展開もあると思うんです。
まあ、私の独白を聞いた方がいたとしたら、お気づきになるでしょうが―――私、ものすっごくチョロいです。恋愛小説の当て馬モブ嬢並みです。
大学の同級生の彼とは、卒業後男女数人で会ってました。働き始めた頃なかなか仕事に馴染めないと、愚痴を言い合ったりおしゃべりして憂さを晴らしたりしてたんですね。自分から参加するタイプじゃ無いですが、友達にくっ付いて行く形で私も毎回参加していたんですよね。話を盛り上げたり付いて行くのは難しいですけど、そう言うキャラキャラした雰囲気が好きなので端っこに座っているだけでも楽しかったです。
暫くしてその同級生の彼から、連絡が来るようになったんですよね。
誘われて二人でご飯とか食べに行ったり、タダ券を貰ったから行かないかと言われて映画や野球観戦とか行きました。
それで、てっきり私は付き合っているんだと思っていたんですけど―――。
一年くらいそんな付き合いが続いた頃でしょうか。
またいつものメンバーで集まると聞いたので、参加したんですよ。そしたら、彼の隣にいた男の子が彼に向かって言ったんです。
「お前、良いなー。あんなカワイ子ちゃんと付きあってるのかよー!」
「いや……ハハハ」
彼が乾いた笑いを返していたので、私は唐突に彼が私の惚気話を始めたのかと思ってモジモジしてしまいました。
それにしても少し違和感は感じたんですよね。『あんなカワイ子ちゃん』って言う表現……私はその揶揄っている彼に『カワイ子ちゃん』なんて言われた事も無いし、『あんな』ってテーブルの端と端にいる距離で使う表現としては不適切ですよね。
理由は程なく判明しました。
彼は同じ職場で働くの本当の『カワイ子ちゃん』とデートしていたところを、隣の彼に目撃されたそうなんです。いかにその女の子が可愛かったのかと……隣の彼が事細かに描写していくうちに―――「あ、これ私じゃないな」って気が付きました。
私が彼に視線を向けると―――彼は目を逸らしもせず、ちょっと照れたような笑顔を返してきました。「あれ? これ……ひょっとして、私立場間違っているってオチ??」その時気が付きました。そう言えば『好き』って言われた事ない……『付き合って』とも『恋人だよね』とかそう言う確認の言葉、彼から聞いた事がありませんでした。
結局。その飲み会の最中にも、その後にも。
何となく勇気が出なくて、その事を彼に尋ねる事はできませんでした。
けれども後日、何故か彼は私に今まで通り普通にお誘いの連絡をして来たのですが―――理由を付けて、会うのを避けるようになりました。あの飲み会を最後に大学の集まりにも参加していません。皆それぞれ会社に馴染み始めて、飲み会もその内自然消滅したと聞きました。
あ、今気づいた……!
私心底、腹が立つと心の声が丁寧語になっちゃうんだ……!
あーあ! くっそ~~!
彼にとって結局私が何だったのかは、分からないまま。
そう言えば手を繋いだのも、急いで列に並ぼう! って引っ張られた時だけだったし、並んだ後はパッと離されてしまった。キスだってしてないし。
女友達? キープ? まさかの悪気無しの二股で、ハーレム要員の第二夫人か側室?? あの子も好きだけど、君も好きだよ―――とか??
今思うと、すっごく好き!とかそう言うのでは無かったんだけど。
でも男の子と二人切りで出掛けるのは楽しかったし、嬉しかった。
だから私にとっては、あんな人でも初めて出来た彼氏なんだ。一応。相手がどう思っていようと。
―――だから、彼氏いない歴は二年! 二十六年では決してないのである!!
いや付き合って……いなかったのかな? 相手の側からすると。
『真面目ちゃん』と言われるだけあって、結構地味かもしれません。磨く前の原石なんだと自分を励ましてはいますが。鏡を見てもそれほど欠点は無いように思います。背は少し低めだけれども太ってもいないですし、不細工と言うほど悪い部分は無いんですけれどねぇ……まあ、メリハリダイナマイトボディでも無いですし、誰もが振り返るような美人でも無いのはハッキリしているのですけれど。
きっとね、ほら恋愛小説でよくあるパターンで、私の本当の魅力を見抜いた御曹司が知合いのスタイリストを紹介してくれて、上から下までプロデュースしてくれたらきっとアッと驚く宝石のような輝きを披露できるんだと思います。それかお金持ちで心の広い、お節介の友達が『デートならお洒落しなきゃね』なんて言って、いつも行ってる御用達の高級百貨店に連れて行ってくれて、お姫様みたいに生まれ変わらせてくれれば―――きっとデート相手が見惚れて言葉を忘れる……なんて展開もあると思うんです。
まあ、私の独白を聞いた方がいたとしたら、お気づきになるでしょうが―――私、ものすっごくチョロいです。恋愛小説の当て馬モブ嬢並みです。
大学の同級生の彼とは、卒業後男女数人で会ってました。働き始めた頃なかなか仕事に馴染めないと、愚痴を言い合ったりおしゃべりして憂さを晴らしたりしてたんですね。自分から参加するタイプじゃ無いですが、友達にくっ付いて行く形で私も毎回参加していたんですよね。話を盛り上げたり付いて行くのは難しいですけど、そう言うキャラキャラした雰囲気が好きなので端っこに座っているだけでも楽しかったです。
暫くしてその同級生の彼から、連絡が来るようになったんですよね。
誘われて二人でご飯とか食べに行ったり、タダ券を貰ったから行かないかと言われて映画や野球観戦とか行きました。
それで、てっきり私は付き合っているんだと思っていたんですけど―――。
一年くらいそんな付き合いが続いた頃でしょうか。
またいつものメンバーで集まると聞いたので、参加したんですよ。そしたら、彼の隣にいた男の子が彼に向かって言ったんです。
「お前、良いなー。あんなカワイ子ちゃんと付きあってるのかよー!」
「いや……ハハハ」
彼が乾いた笑いを返していたので、私は唐突に彼が私の惚気話を始めたのかと思ってモジモジしてしまいました。
それにしても少し違和感は感じたんですよね。『あんなカワイ子ちゃん』って言う表現……私はその揶揄っている彼に『カワイ子ちゃん』なんて言われた事も無いし、『あんな』ってテーブルの端と端にいる距離で使う表現としては不適切ですよね。
理由は程なく判明しました。
彼は同じ職場で働くの本当の『カワイ子ちゃん』とデートしていたところを、隣の彼に目撃されたそうなんです。いかにその女の子が可愛かったのかと……隣の彼が事細かに描写していくうちに―――「あ、これ私じゃないな」って気が付きました。
私が彼に視線を向けると―――彼は目を逸らしもせず、ちょっと照れたような笑顔を返してきました。「あれ? これ……ひょっとして、私立場間違っているってオチ??」その時気が付きました。そう言えば『好き』って言われた事ない……『付き合って』とも『恋人だよね』とかそう言う確認の言葉、彼から聞いた事がありませんでした。
結局。その飲み会の最中にも、その後にも。
何となく勇気が出なくて、その事を彼に尋ねる事はできませんでした。
けれども後日、何故か彼は私に今まで通り普通にお誘いの連絡をして来たのですが―――理由を付けて、会うのを避けるようになりました。あの飲み会を最後に大学の集まりにも参加していません。皆それぞれ会社に馴染み始めて、飲み会もその内自然消滅したと聞きました。
あ、今気づいた……!
私心底、腹が立つと心の声が丁寧語になっちゃうんだ……!
あーあ! くっそ~~!
彼にとって結局私が何だったのかは、分からないまま。
そう言えば手を繋いだのも、急いで列に並ぼう! って引っ張られた時だけだったし、並んだ後はパッと離されてしまった。キスだってしてないし。
女友達? キープ? まさかの悪気無しの二股で、ハーレム要員の第二夫人か側室?? あの子も好きだけど、君も好きだよ―――とか??
今思うと、すっごく好き!とかそう言うのでは無かったんだけど。
でも男の子と二人切りで出掛けるのは楽しかったし、嬉しかった。
だから私にとっては、あんな人でも初めて出来た彼氏なんだ。一応。相手がどう思っていようと。
―――だから、彼氏いない歴は二年! 二十六年では決してないのである!!
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