31 / 375
捕獲されまして。<大谷視点>
7.終わりました。
しおりを挟む
今日も三好さんはゴリゴリ怒られている。
ガックリ肩を落として席に戻って行くのを見ると気の毒に思い、思わずPCの隙間から亀田課長を睨んでしまう。確実にその視線には私の恨みも加えているけど。
でも三好さんはメゲナイ。
流石正社員……! 暫くするとまた果敢に亀田課長に向かって行くんだ。時折言い返したりしているのを見ると「頑張れ~!」ってつい応援に熱が籠ってしまうのは仕方のない事だろう。
そう言えばキラキラ派遣社員二人が言ってたな。三好さんって企画課でエースだったって。何とあの大ヒット商品『美白組』を生み出した人らしい。スゴイ。『美白組』は食べるだけでお肌がプルンプルンになってアンチエイジング&美白が叶ってしまうと言う、食べる化粧品! として大ヒットしたのだ。味はイチゴ、モモ、リンゴの三種類あって、私はリンゴが好きだったなー。まさか其処まで上り詰めた人が企画課から異動になって、しかもあんなコワモテ眼鏡にガンガン怒られる立場になるなんて―――正社員って大変なんだなぁ~って、思う。
亀田課長と三好さんの遣り取りをボンヤリ眺めながら、そんな事を考えていると、三好さんが机に戻ろうとしている所で亀田課長がフイッとこちらに視線を回した。
ギクっ。
ジッと視線を固定されて、嫌な汗が背中を伝う……。
すっと立ち上がりスタスタと歩み寄ってきた背の高いシルエットが、アッと言う間に私の真ん前まで辿り着いて、窓の光を背に受けて私に影を落とした。
「随分余裕があるな。さっき指示した直し、終わったのか?」
終わってません。
―――と言うか、その瞬間私の命が終わりました。(あくまでイメージです)
その日は何だかお弁当を作る気分じゃ無かったので、食堂で食べる事にした。
食堂と言ってもテーブルと椅子が並んでいて、食堂のシェフもおばちゃんもいない。ただお弁当屋さんが時間になると現れるのでそれを購入して、その食堂スペースでご飯を食べれるようになっているのだ。お茶とか水、珈琲や紅茶なんかの簡単な飲み物は無料で飲めるし、お弁当屋さんは都内のランチを提供する結構な有名店などと契約して、その辺りのコンビニじゃ食べられないような美味しいお弁当を提供してくれるので、かなり人気なのだ。列に並ぶのとか混んでいる場所が苦手なので普段はお弁当なんだけれど……今日はお昼休みになった瞬間に立ち上がり、そこへ駆けつけた。
やっり~ほとんどまだ並んでいない……!
私は財布を手にイソイソとお弁当の群れを見て、品定めを始めた。
あ!『タイメイ軒』のふわふわオムライスがある……! 一度食べに行った事がある。あのランチがこの価格で楽しめるなんて~~! いっつも昼ダッシュをするのは無理だけど、たまにはいいなぁ。この会社、このお弁当屋さんが来るってだけで採用されて良かったって気になっちゃうかも。牛タン弁当も捨てがたいけど、やっぱりこの『オムライス&海老フライ弁当』にしよう!
お金を払いホクホクしてまだ空きのあるテーブルに座った。おひとり様なので、窓際の端っこ。真ん中は落ち着かないんだよね~。
お弁当を席において確保しておいて、私は飲み物を取りに行った。温かいお茶をサーバーから取り出して、席に戻る途中でバッタリ三好さんと行き合った。
「あら、大谷さん」
少しだけ年上の三好さんは、見た目から如何にもできる! って感じの美人さんだ。ちょっとキツメの印象を受けるけどサバサバしていて私は結構付き合いやすいって勝手に思っている。他のキラキラ派遣社員二人はそんなデキる彼女の事を苦手にしているみたいだけど……。でも三好さんはあまりそう言うの気にしていないように見える。仕事一筋って感じ。
「珍しいわね、いつもお弁当じゃなかった?」
「今日はちょっと作る気しなくて。偶にはこっちも食べたいと思ってたので」
「美味しいよね、ここのお弁当屋さん。私は自分で作るの無理だからいつもここだな。ね、隣座って良い?」
「あ、はい。あの窓際です。お弁当持って行きましょうか? 飲み物取ってきたらいいですよ」
「サンキュー! 助かるわ」
そう言って三好さんはニカリと太陽のように笑って、私にお弁当を託したのだった。
ガックリ肩を落として席に戻って行くのを見ると気の毒に思い、思わずPCの隙間から亀田課長を睨んでしまう。確実にその視線には私の恨みも加えているけど。
でも三好さんはメゲナイ。
流石正社員……! 暫くするとまた果敢に亀田課長に向かって行くんだ。時折言い返したりしているのを見ると「頑張れ~!」ってつい応援に熱が籠ってしまうのは仕方のない事だろう。
そう言えばキラキラ派遣社員二人が言ってたな。三好さんって企画課でエースだったって。何とあの大ヒット商品『美白組』を生み出した人らしい。スゴイ。『美白組』は食べるだけでお肌がプルンプルンになってアンチエイジング&美白が叶ってしまうと言う、食べる化粧品! として大ヒットしたのだ。味はイチゴ、モモ、リンゴの三種類あって、私はリンゴが好きだったなー。まさか其処まで上り詰めた人が企画課から異動になって、しかもあんなコワモテ眼鏡にガンガン怒られる立場になるなんて―――正社員って大変なんだなぁ~って、思う。
亀田課長と三好さんの遣り取りをボンヤリ眺めながら、そんな事を考えていると、三好さんが机に戻ろうとしている所で亀田課長がフイッとこちらに視線を回した。
ギクっ。
ジッと視線を固定されて、嫌な汗が背中を伝う……。
すっと立ち上がりスタスタと歩み寄ってきた背の高いシルエットが、アッと言う間に私の真ん前まで辿り着いて、窓の光を背に受けて私に影を落とした。
「随分余裕があるな。さっき指示した直し、終わったのか?」
終わってません。
―――と言うか、その瞬間私の命が終わりました。(あくまでイメージです)
その日は何だかお弁当を作る気分じゃ無かったので、食堂で食べる事にした。
食堂と言ってもテーブルと椅子が並んでいて、食堂のシェフもおばちゃんもいない。ただお弁当屋さんが時間になると現れるのでそれを購入して、その食堂スペースでご飯を食べれるようになっているのだ。お茶とか水、珈琲や紅茶なんかの簡単な飲み物は無料で飲めるし、お弁当屋さんは都内のランチを提供する結構な有名店などと契約して、その辺りのコンビニじゃ食べられないような美味しいお弁当を提供してくれるので、かなり人気なのだ。列に並ぶのとか混んでいる場所が苦手なので普段はお弁当なんだけれど……今日はお昼休みになった瞬間に立ち上がり、そこへ駆けつけた。
やっり~ほとんどまだ並んでいない……!
私は財布を手にイソイソとお弁当の群れを見て、品定めを始めた。
あ!『タイメイ軒』のふわふわオムライスがある……! 一度食べに行った事がある。あのランチがこの価格で楽しめるなんて~~! いっつも昼ダッシュをするのは無理だけど、たまにはいいなぁ。この会社、このお弁当屋さんが来るってだけで採用されて良かったって気になっちゃうかも。牛タン弁当も捨てがたいけど、やっぱりこの『オムライス&海老フライ弁当』にしよう!
お金を払いホクホクしてまだ空きのあるテーブルに座った。おひとり様なので、窓際の端っこ。真ん中は落ち着かないんだよね~。
お弁当を席において確保しておいて、私は飲み物を取りに行った。温かいお茶をサーバーから取り出して、席に戻る途中でバッタリ三好さんと行き合った。
「あら、大谷さん」
少しだけ年上の三好さんは、見た目から如何にもできる! って感じの美人さんだ。ちょっとキツメの印象を受けるけどサバサバしていて私は結構付き合いやすいって勝手に思っている。他のキラキラ派遣社員二人はそんなデキる彼女の事を苦手にしているみたいだけど……。でも三好さんはあまりそう言うの気にしていないように見える。仕事一筋って感じ。
「珍しいわね、いつもお弁当じゃなかった?」
「今日はちょっと作る気しなくて。偶にはこっちも食べたいと思ってたので」
「美味しいよね、ここのお弁当屋さん。私は自分で作るの無理だからいつもここだな。ね、隣座って良い?」
「あ、はい。あの窓際です。お弁当持って行きましょうか? 飲み物取ってきたらいいですよ」
「サンキュー! 助かるわ」
そう言って三好さんはニカリと太陽のように笑って、私にお弁当を託したのだった。
0
あなたにおすすめの小説
彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中
桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。
やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。
「助けなんていらないわよ?」
は?
しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。
「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。
彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
先輩に退部を命じられた僕を励ましてくれたアイドル級美少女の後輩マネージャーを成り行きで家に上げたら、なぜかその後も入り浸るようになった件
桜 偉村
恋愛
みんなと同じようにプレーできなくてもいいんじゃないですか? 先輩には、先輩だけの武器があるんですから——。
後輩マネージャーのその言葉が、彼の人生を変えた。
全国常連の高校サッカー部の三軍に所属していた如月 巧(きさらぎ たくみ)は、自分の能力に限界を感じていた。
練習試合でも敗因となってしまった巧は、三軍キャプテンの武岡(たけおか)に退部を命じられて絶望する。
武岡にとって、巧はチームのお荷物であると同時に、アイドル級美少女マネージャーの白雪 香奈(しらゆき かな)と親しくしている目障りな存在だった。
そのため、自信をなくしている巧を追い込んで退部させ、香奈と距離を置かせようとしたのだ。
そうすれば、香奈は自分のモノになると錯覚していたから。
武岡の思惑通り、巧はサッカー部を辞めようとしていた。そこに現れたのが、香奈だった。
香奈に励まされてサッカーを続ける決意をした巧は、彼女のアドバイスのおかげもあり、だんだんとその才能を開花させていく。
一方、巧が成り行きで香奈を家に招いたのをきっかけに、二人の距離も縮み始める。
しかし、退部するどころか活躍し出した巧にフラストレーションを溜めていた武岡が、それを静観するはずもなく——。
「これは警告だよ」
「勘違いしないんでしょ?」
「僕がサッカーを続けられたのは、君のおかげだから」
「仲が良いだけの先輩に、あんなことまですると思ってたんですか?」
先輩×後輩のじれったくも甘い関係が好きな方、スカッとする展開が好きな方は、ぜひこの物語をお楽しみください!
※基本は一途ですが、メインヒロイン以外との絡みも多少あります。
※本作品は小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
王弟が愛した娘 —音に響く運命—
Aster22
恋愛
弟を探す旅の途中、身分を隠して村で薬師として生きていたセラは、
ハープの音に宿る才を、名も知らぬ貴族の青年――王弟レオに見初められる。
互いの立場を知らぬまま距離を縮めていく二人。
だが、ある事件をきっかけに、セラは彼の屋敷で侍女として働くことになり、
知らず知らずのうちに国を巻き込む陰謀へと引き寄せられていく。
人の生まれは変えられない。
それでも、何を望み、何を選ぶのかは、自分で決められる。
セラが守ろうとするものは、弟か、才か、それとも――
キャラ設定・世界観などはこちら
↓
https://kakuyomu.jp/my/news/822139840619212578
悪役令嬢と誤解され冷遇されていたのに、目覚めたら夫が豹変して求愛してくるのですが?
いりん
恋愛
初恋の人と結婚できたーー
これから幸せに2人で暮らしていける…そう思ったのに。
「私は夫としての務めを果たすつもりはない。」
「君を好きになることはない。必要以上に話し掛けないでくれ」
冷たく拒絶され、離婚届けを取り寄せた。
あと2週間で届くーーそうしたら、解放してあげよう。
ショックで熱をだし寝込むこと1週間。
目覚めると夫がなぜか豹変していて…!?
「君から話し掛けてくれないのか?」
「もう君が隣にいないのは考えられない」
無口不器用夫×優しい鈍感妻
すれ違いから始まる両片思いストーリー
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】
iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる