捕獲されました。

ねがえり太郎

文字の大きさ
58 / 375
捕獲されまして。<大谷視点>

34.誘いました。

しおりを挟む
初めて私の方から亀田課長をお誘いしました。

名付けて『第一回 亀田課長を元気づけようプロジェクト』開催!パチパチパチ!

最初から単発予定のこの企画、二回目の企画はありませんよ。単に『第一回』とか言ってみたかっただけです。

土日にウサギ成分を補給しようと待ち構えているであろう亀田課長を、私は楽園へ招待する事にした。そう―――行き先は八王子。都内とは名ばかりの長閑のどかな山裾にある畑に囲まれた一軒家だ。そこで私のおじいちゃんはノンビリと趣味の畑仕事をして暮らしている。相棒はうさぎの夫婦二匹とその子供。私がうータンをもらい受けた後も三匹ほど子うさぎが生まれたそうだ。これ以上増えると年寄りには世話がしづらいと言う事で、可哀想だけどその後うさぎ夫婦は避妊手術を受けることになった。子うさぎの内二匹は貰われて行き、男の子が一匹跡継ぎ(?)として残されているらしい。

本当は『うさぎ島』と言われている有名な大久野島にでも連れて行ったほうが良いのかもしれない。大久野島は瀬戸内海に浮かぶ小さな島なのだが、そこはなんと野生のうさぎで一杯なのだ。そこでは『うさぎ祭り』や『うさぎすし詰め状態』が当たり前に見られるらしい……つまりうさぎ好きにはたまらない楽園なのだと言う。しかし単なるウサトモなのに、わざわざ瀬戸内海に浮かぶ小島まで二人きりの旅行なんて、怪し過ぎる。何せ遠い。だから規模は小さいけれども電車で二時間もあれば余裕で行ける、八王子の小さなうさぎの楽園へ、亀田課長を連れて行こうと思い立ったのだ。



初めて私の方からお誘いメールを送る。小心なので正直ドキドキした。いつも亀田課長は気軽に私に連絡してくるけれども―――自分から誘うとなるとこれほど勇気が必要になるとは思いも寄らなかった!しかし男性を誘うって……自分からアクションを起こすのって勇気がいる事なんだなぁ。

そんな風にドキドキしながらエイヤっと送信!すると亀田からは直ぐに快諾の返事が届いた。その素直な反応を見て、勢いに乗っていた私も少し冷静になってしまう。

誘っておいてなんだが……亀田課長の天然振りって如何なものかと思ってしまう。私は一年契約のアラサー派遣社員。そろそろ適齢期である。かたや亀田は優良企業の出世頭、最年少課長。その上長身の美男イケメンだ。まあ三十八歳と言う年齢は多少育ち過ぎと言えば言えなくもないが、男性なんだからまだまだ十分圏内だと思う。そんな優良物件が疑いも持たず私なんかの誘いにホイホイ乗って来て大丈夫なのかね?襲われて既成事実作られて、責任とれ!とか言われてついつい書類にハンコ押す事になっちゃって、三食昼寝付きの専業主婦になった私に馬車馬のように働かされて給料かすめ取られるかもって可能性……考えないのかな?あ、そっかそう言えばいつも振られるって言ってたけど、きっとアプローチも向こうからなんだよね。これはチョロイよねー、私が『付き合ってください』って言ったらひょっとしてこのお誘いにも直ぐに頷くのかな?全く色っぽい雰囲気、私からも亀田課長からも一滴も滲み出ていないのだけれど。ひょっとして『結婚してください』って言っても『ああ』なんてコクリと頷いたりして?

亀田課長は自分の事を『女の扱いが下手』だと言うし、確かにその通りだと思うけれど―――これまでウサトモとして付き合って来た経験から考えると……実際付き合うとなるとその辺りはそれほど気にならないような気がする。課長が仕事人間なのは嫌って程分かっているから、仕事ばっかりしてても大して気にならないし。うさぎに関わると狂っちゃうって言う場面はそれこそ散々目にしているから、もう幻滅しようもないしね。確かに最初は吃驚したけどさ。……我が身を振り返ると亀田課長ばっかり責められないし。

ここまで考えてから、漸く私はハッと我に返った。



ナイナイ!なに考えてるの~!



まあた勘違いし始めちゃった??ひょっとして。もー男友達少ないからって、ちょっと距離が近くなったら直ぐに恋愛対象とか結婚対象に考えるのはダメ!そんなんだから元カレ(仮)と付き合っているなんて、こっずかしい妄想を現実と勘違いしちゃうんだよ。それに亀田課長だって全然そんな気ないんだからっ!迷惑千万ですよ!あー、自分の思考がこっ恥ずかしい~!

よこしまな妄想ばっかりしていないで、今は純粋に亀田課長を元気づける事を考えよう!
いろいろご馳走になっているからね。うータンにもお土産タップリ貰っているし。よおっし、土曜日はうさぎ祭りだ~~!

しおりを挟む
感想 92

あなたにおすすめの小説

彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中

桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。 やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。 「助けなんていらないわよ?」 は? しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。 「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。 彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

先輩に退部を命じられた僕を励ましてくれたアイドル級美少女の後輩マネージャーを成り行きで家に上げたら、なぜかその後も入り浸るようになった件

桜 偉村
恋愛
 みんなと同じようにプレーできなくてもいいんじゃないですか? 先輩には、先輩だけの武器があるんですから——。  後輩マネージャーのその言葉が、彼の人生を変えた。  全国常連の高校サッカー部の三軍に所属していた如月 巧(きさらぎ たくみ)は、自分の能力に限界を感じていた。  練習試合でも敗因となってしまった巧は、三軍キャプテンの武岡(たけおか)に退部を命じられて絶望する。  武岡にとって、巧はチームのお荷物であると同時に、アイドル級美少女マネージャーの白雪 香奈(しらゆき かな)と親しくしている目障りな存在だった。  そのため、自信をなくしている巧を追い込んで退部させ、香奈と距離を置かせようとしたのだ。  そうすれば、香奈は自分のモノになると錯覚していたから。  武岡の思惑通り、巧はサッカー部を辞めようとしていた。そこに現れたのが、香奈だった。  香奈に励まされてサッカーを続ける決意をした巧は、彼女のアドバイスのおかげもあり、だんだんとその才能を開花させていく。  一方、巧が成り行きで香奈を家に招いたのをきっかけに、二人の距離も縮み始める。  しかし、退部するどころか活躍し出した巧にフラストレーションを溜めていた武岡が、それを静観するはずもなく——。 「これは警告だよ」 「勘違いしないんでしょ?」 「僕がサッカーを続けられたのは、君のおかげだから」 「仲が良いだけの先輩に、あんなことまですると思ってたんですか?」  先輩×後輩のじれったくも甘い関係が好きな方、スカッとする展開が好きな方は、ぜひこの物語をお楽しみください! ※基本は一途ですが、メインヒロイン以外との絡みも多少あります。 ※本作品は小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

王弟が愛した娘 —音に響く運命—

Aster22
恋愛
弟を探す旅の途中、身分を隠して村で薬師として生きていたセラは、 ハープの音に宿る才を、名も知らぬ貴族の青年――王弟レオに見初められる。 互いの立場を知らぬまま距離を縮めていく二人。 だが、ある事件をきっかけに、セラは彼の屋敷で侍女として働くことになり、 知らず知らずのうちに国を巻き込む陰謀へと引き寄せられていく。 人の生まれは変えられない。 それでも、何を望み、何を選ぶのかは、自分で決められる。 セラが守ろうとするものは、弟か、才か、それとも―― キャラ設定・世界観などはこちら       ↓ https://kakuyomu.jp/my/news/822139840619212578

悪役令嬢と誤解され冷遇されていたのに、目覚めたら夫が豹変して求愛してくるのですが?

いりん
恋愛
初恋の人と結婚できたーー これから幸せに2人で暮らしていける…そう思ったのに。 「私は夫としての務めを果たすつもりはない。」 「君を好きになることはない。必要以上に話し掛けないでくれ」 冷たく拒絶され、離婚届けを取り寄せた。 あと2週間で届くーーそうしたら、解放してあげよう。 ショックで熱をだし寝込むこと1週間。 目覚めると夫がなぜか豹変していて…!? 「君から話し掛けてくれないのか?」 「もう君が隣にいないのは考えられない」 無口不器用夫×優しい鈍感妻 すれ違いから始まる両片思いストーリー

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】

iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。 小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

処理中です...