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プロポーズの後のお話 <大谷視点>
7.気まずいです。
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気まずい沈黙が流れた後、ソッポを向いたままパパが再び口を開いた。
「だいたい犯罪じゃないかっ……卯月が小学生の時、お前は社会人だぞっ」
「はい、申し訳ありません」
何故か頭を下げる丈さん。私は慌てた。
「何言ってるのパパ……私もう二十六の大人だよ」
「だからだ!会社の上司だと言ったな、だいたい上司が派遣に手を出すなんて、パワハラかセクハラじゃないのか。強い立場の者に逆らえる訳無いだろう」
「は……」
パパの主張は無茶苦茶だ。大人同士、付き合うのに上司だ派遣だって関係ない。別に強要されて付き合っている訳じゃないんだから。
なのに気を使ってか、丈さんは何と答えて良いか分からないように口を噤んだ。
う~~!こんな言いがかりみたいな事を言うパパの相手をさせてしまって本当に申し訳ない。
「パ……お父さん、何言ってるの?お父さんだってお母さんと十歳違うじゃない」
「女と男じゃ違うんだ、ママはそんな権力を使って圧力を掛けたりしない。それに俺が先に好きになったんだ」
「でも私だって無理矢理付き合っている訳じゃないのに」
何だってパパはこんな風に決めつけるんだろう。だいたい二十六にもなって彼氏の一人もいなかったら逆に心配になるのが普通なんじゃないだろうか。
「うっちゃんは流されやすいんだから!第一あの以前付き合っていた彼氏だってそうだろう?水野とか言う奴!ちゃんと付き合うとか言う話も無しに付き合ってたから結局騙されて……」
「「……」」
わ……わ~~!何でそれ知って……って。
ああ、そう言えばママ経由で『彼氏ができたらしい』ってバレて―――随分後に思いつめた顔で詰め寄られたんだった。それで誤解だったよって言い訳して根掘り葉掘り聞かれて説明する羽目になって……だけどその情報かなり古い!タイムラグ有り過ぎだよ!それにあの時結局彼氏じゃ無かったって伝えたら、ものスッゴく安心して良い顔で笑ってたくせに、そんな風に言うなんて―――!そして、その時の私の説明って実は間違いだったし、それにそもそも丈さんの前でわざわざ話すなんて……微妙な話なのにっ!
おそるおそる丈さんの方を振り向くと―――か、固まってる……!
「パパ!」
「だから今回もコイツに騙され―――もがっ」
耐えきれずに立ち上がり、私は再びパパにタックルを仕掛けつつ口を抑える。
「もう黙って……!」
「……あの、今日の所はもう帰ります」
丈さんが静かにそう口にした。
「ええ!」
これから買い物に行く予定だったのに!
私が丈さんに問いかけるような視線を向けると―――困ったように眉を寄せて、それでも彼はニコリと笑ってくれた。
「ああ、帰れ帰れ」
「パ……お父さん……」
フンッとソッポを向いたまま、パパは腕組みをしてそう言い放った。
丈さんはこちらを見もしないパパに礼儀正しくペコリと頭を下げた。それから脱衣室で着替え脱いだスウェットを綺麗に畳んで私に渡してくれる。私は何と言って良いか分からずに、荷物を持って玄関へ向かう丈さんの後について行った。
「世話になったな」
「……」
まるでこれでお別れみたいな台詞に、血の気が引いた。
すると丈さんは口元に手をやり―――それからチラリと私の背後に視線を向けると、ポンっと頭を撫でてくれた。その優しい仕草に……気持ちが少し、ほんの少しだけ浮上する。
それから玄関扉を開いて、またそこでこちらを見ていないパパに向かってキチンと頭を下げて「失礼します」と言い、丈さんは出て行ってしまった。
その一連の動作を魂が抜けたようにぼんやりと見守っていた私は―――ハッと意識を取り戻しスニーカーを履いて後を追った。
「丈さん……!」
と声を掛けると、立ち止まって振り返ってくれる。
「あの、父が―――本当にごめんなさい」
申し訳なくなってそれだけ何とか絞り出す。
すると彼はフワッと柔らかく微笑んで。
「気にするな、また会社でな」
そう言って、手を上げて帰って行ったのだった。
「だいたい犯罪じゃないかっ……卯月が小学生の時、お前は社会人だぞっ」
「はい、申し訳ありません」
何故か頭を下げる丈さん。私は慌てた。
「何言ってるのパパ……私もう二十六の大人だよ」
「だからだ!会社の上司だと言ったな、だいたい上司が派遣に手を出すなんて、パワハラかセクハラじゃないのか。強い立場の者に逆らえる訳無いだろう」
「は……」
パパの主張は無茶苦茶だ。大人同士、付き合うのに上司だ派遣だって関係ない。別に強要されて付き合っている訳じゃないんだから。
なのに気を使ってか、丈さんは何と答えて良いか分からないように口を噤んだ。
う~~!こんな言いがかりみたいな事を言うパパの相手をさせてしまって本当に申し訳ない。
「パ……お父さん、何言ってるの?お父さんだってお母さんと十歳違うじゃない」
「女と男じゃ違うんだ、ママはそんな権力を使って圧力を掛けたりしない。それに俺が先に好きになったんだ」
「でも私だって無理矢理付き合っている訳じゃないのに」
何だってパパはこんな風に決めつけるんだろう。だいたい二十六にもなって彼氏の一人もいなかったら逆に心配になるのが普通なんじゃないだろうか。
「うっちゃんは流されやすいんだから!第一あの以前付き合っていた彼氏だってそうだろう?水野とか言う奴!ちゃんと付き合うとか言う話も無しに付き合ってたから結局騙されて……」
「「……」」
わ……わ~~!何でそれ知って……って。
ああ、そう言えばママ経由で『彼氏ができたらしい』ってバレて―――随分後に思いつめた顔で詰め寄られたんだった。それで誤解だったよって言い訳して根掘り葉掘り聞かれて説明する羽目になって……だけどその情報かなり古い!タイムラグ有り過ぎだよ!それにあの時結局彼氏じゃ無かったって伝えたら、ものスッゴく安心して良い顔で笑ってたくせに、そんな風に言うなんて―――!そして、その時の私の説明って実は間違いだったし、それにそもそも丈さんの前でわざわざ話すなんて……微妙な話なのにっ!
おそるおそる丈さんの方を振り向くと―――か、固まってる……!
「パパ!」
「だから今回もコイツに騙され―――もがっ」
耐えきれずに立ち上がり、私は再びパパにタックルを仕掛けつつ口を抑える。
「もう黙って……!」
「……あの、今日の所はもう帰ります」
丈さんが静かにそう口にした。
「ええ!」
これから買い物に行く予定だったのに!
私が丈さんに問いかけるような視線を向けると―――困ったように眉を寄せて、それでも彼はニコリと笑ってくれた。
「ああ、帰れ帰れ」
「パ……お父さん……」
フンッとソッポを向いたまま、パパは腕組みをしてそう言い放った。
丈さんはこちらを見もしないパパに礼儀正しくペコリと頭を下げた。それから脱衣室で着替え脱いだスウェットを綺麗に畳んで私に渡してくれる。私は何と言って良いか分からずに、荷物を持って玄関へ向かう丈さんの後について行った。
「世話になったな」
「……」
まるでこれでお別れみたいな台詞に、血の気が引いた。
すると丈さんは口元に手をやり―――それからチラリと私の背後に視線を向けると、ポンっと頭を撫でてくれた。その優しい仕草に……気持ちが少し、ほんの少しだけ浮上する。
それから玄関扉を開いて、またそこでこちらを見ていないパパに向かってキチンと頭を下げて「失礼します」と言い、丈さんは出て行ってしまった。
その一連の動作を魂が抜けたようにぼんやりと見守っていた私は―――ハッと意識を取り戻しスニーカーを履いて後を追った。
「丈さん……!」
と声を掛けると、立ち止まって振り返ってくれる。
「あの、父が―――本当にごめんなさい」
申し訳なくなってそれだけ何とか絞り出す。
すると彼はフワッと柔らかく微笑んで。
「気にするな、また会社でな」
そう言って、手を上げて帰って行ったのだった。
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