まいらじ!

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Spring and Start up

#02 隣、フタリ

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 まだクラスの皆も慣れないらしく僅かに緊張を見せた午後の授業、淡々と先生が喋るだけのホームルームを終えた私たちは、あとは下校するだけとなり昇降口に向け廊下を歩いていた。
 授業中のあの出来事もあり、なんとなく居心地が悪かった私はクラスから解放されホッと息をついた。
 下駄箱で靴を履き替えて校舎を後にする。
「お疲れ様」
 私の気持ちを察した遥が声をかけてくれた。
「この桜でも見てさ、今日の事は忘れよーよ」
 ほら、と首をくいっと上げた先には綺麗な桜が立ち並んでいた。
 私たちの通う私立星見野ほしみの高校は昇降口から校門にかけて長い桜並木があり、私も入学式の時はその美しい景色に目を見張ったものだった。
 満開に咲き誇りひらひらと舞い落ちていく桜の花びらを見ていると、なるほど心が浄化されるというか、確かに今日の事がどうでもよくなりそうだ。
 開いた手の指間から花びらがすり抜けていく。
「うん、そうだね…。忘れよ」
 私は遥より少し歩調を早めると、後ろを振り返りにっこり微笑んだ。
「でもラジオ放送活動部、遥に作るの手伝ってもらうことは忘れないよ」
「ちえぇ、わかってまーすよ」
 昼休みに私が新しく部活動を設立することを提案した時、遥はかなり驚いた様子を見せていた。
 中学の頃は私が突飛な発言をしても、これといって気に掛ける様子もなく見事にスルーがお決まりだっただけに、今回遥の同意を得れたのは私も少し驚きなのだ。
 放送部とは付くもののラジオ放送部なだけに、ラジオが好きじゃないとなかなか動く気持ちにもなれないだろう。
 遥に昨晩聴いたラジオの話や私のお勧めのネットラジオなんかを話すことはよくある。
 遥は興味深く私の話を聞いてくれるし、私自身も遥にラジオの楽しさを伝えられてる気がして楽しかった。
 でも遥のほうから、例えばこのラジオ聴いてみたよーみたいなことは聞いたことがない。
 桜並木が途絶え、私たちが校門から出ようとする頃、私は遥に気になってた事を聞いてみた。
「ラジオ放送部より普通の放送部のがいいかな…?その、遥にとっては…」
 遥は、あぁと一言漏らすとこう続けた。
「音里が素直にやってみたいと思った事をやればいいんだよ。ラジオ放送活動部、凄い面白そうじゃん。私はそんな音里を一歩下がって応援するんだ。いいでしょ?」
「遥…。」
 私が遥の目を見つめると、少し気恥ずかしいのか目線をふいっと逸らした。
「でもせめて隣に並んでよね!私どんどん前に行くからさ、置いてかれちゃうよ?」
「んじゃーさ、半歩でどうだ!」
「と・な・り!」
 私はこと更強調するかのように遥の隣にピシッと並んでみせた。
 あはは!と笑いながら肩を並べて歩く私たち。
 先に手のひらに落ちたのは、桜の花びらよりも小さな私たちの夢だった。
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