3 / 8
Spring and Start up
#02 隣、フタリ
しおりを挟む
まだクラスの皆も慣れないらしく僅かに緊張を見せた午後の授業、淡々と先生が喋るだけのホームルームを終えた私たちは、あとは下校するだけとなり昇降口に向け廊下を歩いていた。
授業中のあの出来事もあり、なんとなく居心地が悪かった私はクラスから解放されホッと息をついた。
下駄箱で靴を履き替えて校舎を後にする。
「お疲れ様」
私の気持ちを察した遥が声をかけてくれた。
「この桜でも見てさ、今日の事は忘れよーよ」
ほら、と首をくいっと上げた先には綺麗な桜が立ち並んでいた。
私たちの通う私立星見野高校は昇降口から校門にかけて長い桜並木があり、私も入学式の時はその美しい景色に目を見張ったものだった。
満開に咲き誇りひらひらと舞い落ちていく桜の花びらを見ていると、なるほど心が浄化されるというか、確かに今日の事がどうでもよくなりそうだ。
開いた手の指間から花びらがすり抜けていく。
「うん、そうだね…。忘れよ」
私は遥より少し歩調を早めると、後ろを振り返りにっこり微笑んだ。
「でもラジオ放送活動部、遥に作るの手伝ってもらうことは忘れないよ」
「ちえぇ、わかってまーすよ」
昼休みに私が新しく部活動を設立することを提案した時、遥はかなり驚いた様子を見せていた。
中学の頃は私が突飛な発言をしても、これといって気に掛ける様子もなく見事にスルーがお決まりだっただけに、今回遥の同意を得れたのは私も少し驚きなのだ。
放送部とは付くもののラジオ放送部なだけに、ラジオが好きじゃないとなかなか動く気持ちにもなれないだろう。
遥に昨晩聴いたラジオの話や私のお勧めのネットラジオなんかを話すことはよくある。
遥は興味深く私の話を聞いてくれるし、私自身も遥にラジオの楽しさを伝えられてる気がして楽しかった。
でも遥のほうから、例えばこのラジオ聴いてみたよーみたいなことは聞いたことがない。
桜並木が途絶え、私たちが校門から出ようとする頃、私は遥に気になってた事を聞いてみた。
「ラジオ放送部より普通の放送部のがいいかな…?その、遥にとっては…」
遥は、あぁと一言漏らすとこう続けた。
「音里が素直にやってみたいと思った事をやればいいんだよ。ラジオ放送活動部、凄い面白そうじゃん。私はそんな音里を一歩下がって応援するんだ。いいでしょ?」
「遥…。」
私が遥の目を見つめると、少し気恥ずかしいのか目線をふいっと逸らした。
「でもせめて隣に並んでよね!私どんどん前に行くからさ、置いてかれちゃうよ?」
「んじゃーさ、半歩でどうだ!」
「と・な・り!」
私はこと更強調するかのように遥の隣にピシッと並んでみせた。
あはは!と笑いながら肩を並べて歩く私たち。
先に手のひらに落ちたのは、桜の花びらよりも小さな私たちの夢だった。
授業中のあの出来事もあり、なんとなく居心地が悪かった私はクラスから解放されホッと息をついた。
下駄箱で靴を履き替えて校舎を後にする。
「お疲れ様」
私の気持ちを察した遥が声をかけてくれた。
「この桜でも見てさ、今日の事は忘れよーよ」
ほら、と首をくいっと上げた先には綺麗な桜が立ち並んでいた。
私たちの通う私立星見野高校は昇降口から校門にかけて長い桜並木があり、私も入学式の時はその美しい景色に目を見張ったものだった。
満開に咲き誇りひらひらと舞い落ちていく桜の花びらを見ていると、なるほど心が浄化されるというか、確かに今日の事がどうでもよくなりそうだ。
開いた手の指間から花びらがすり抜けていく。
「うん、そうだね…。忘れよ」
私は遥より少し歩調を早めると、後ろを振り返りにっこり微笑んだ。
「でもラジオ放送活動部、遥に作るの手伝ってもらうことは忘れないよ」
「ちえぇ、わかってまーすよ」
昼休みに私が新しく部活動を設立することを提案した時、遥はかなり驚いた様子を見せていた。
中学の頃は私が突飛な発言をしても、これといって気に掛ける様子もなく見事にスルーがお決まりだっただけに、今回遥の同意を得れたのは私も少し驚きなのだ。
放送部とは付くもののラジオ放送部なだけに、ラジオが好きじゃないとなかなか動く気持ちにもなれないだろう。
遥に昨晩聴いたラジオの話や私のお勧めのネットラジオなんかを話すことはよくある。
遥は興味深く私の話を聞いてくれるし、私自身も遥にラジオの楽しさを伝えられてる気がして楽しかった。
でも遥のほうから、例えばこのラジオ聴いてみたよーみたいなことは聞いたことがない。
桜並木が途絶え、私たちが校門から出ようとする頃、私は遥に気になってた事を聞いてみた。
「ラジオ放送部より普通の放送部のがいいかな…?その、遥にとっては…」
遥は、あぁと一言漏らすとこう続けた。
「音里が素直にやってみたいと思った事をやればいいんだよ。ラジオ放送活動部、凄い面白そうじゃん。私はそんな音里を一歩下がって応援するんだ。いいでしょ?」
「遥…。」
私が遥の目を見つめると、少し気恥ずかしいのか目線をふいっと逸らした。
「でもせめて隣に並んでよね!私どんどん前に行くからさ、置いてかれちゃうよ?」
「んじゃーさ、半歩でどうだ!」
「と・な・り!」
私はこと更強調するかのように遥の隣にピシッと並んでみせた。
あはは!と笑いながら肩を並べて歩く私たち。
先に手のひらに落ちたのは、桜の花びらよりも小さな私たちの夢だった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
妻が通う邸の中に
月山 歩
恋愛
最近妻の様子がおかしい。昼間一人で出掛けているようだ。二人に子供はできなかったけれども、妻と愛し合っていると思っている。僕は妻を誰にも奪われたくない。だから僕は、妻の向かう先を調べることににした。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
王子様への置き手紙
あおき華
恋愛
フィオナは王太子ジェラルドの婚約者。王宮で暮らしながら王太子妃教育を受けていた。そんなある日、ジェラルドと侯爵家令嬢のマデリーンがキスをする所を目撃してしまう。ショックを受けたフィオナは自ら修道院に行くことを決意し、護衛騎士のエルマーとともに王宮を逃げ出した。置き手紙を読んだ皇太子が追いかけてくるとは思いもせずに⋯⋯
小説家になろうにも掲載しています。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
嫌われたと思って離れたのに
ラム猫
恋愛
私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。
距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる