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最終話IF:氷の君主、鳥籠を統べる(3)
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アシュレイは、目の前で変貌していくセレスティンを見つめながら、胸の奥で嫉妬と悦楽をないまぜに震わせていた。
ライオネルを従え、甘く微笑む主君。
その視線が時折、アシュレイにだけ向けられるたび──
彼の内側で、嫉妬の炎と歓喜が同時に燃え上がる。
ライオネルと交わる最中、セレスティンがふと向ける柔らかな視線。
それは、アシュレイだけに向けられた“誘惑”であり、“命令”だった。
そしてライオネルの欲を受け取ったあと──
セレスティンは迷いなくアシュレイへ歩み寄り、薄い唇を自ら重ねた。
「っ……セレス……ティン、様……?」
普段決して崩れない宰相の瞳が、驚きと動揺に揺れる。
その様子がたまらなく愉快で、俺は自然と薄く笑った。
――今までどれだけ俺を泣かせてきたと思っている。
アシュレイの指先に翻弄され、泣き声を搾られ、懇願させられた夜は数え切れない。
限界を越え、意識が朦朧とするほど焦らされた後にようやく貫かれて喘ぎ泣くことも幾度となくあった。
だからこそ──これは、正当な“仕返し”だ。
俺はアシュレイの肩を軽く押し、寝台へと倒させる。
驚きながらも逆らわない。その従順さがまた、今の俺を甘く酔わせる。
彼の上へ跨り、腰をゆっくりと落とす。
さきほどまでライオネルの情を受けていたそれを、あえて見せつけるように指先でわずかに広げてみせた。
アシュレイの喉が、かすかに鳴る。
「……陛下……そんな……」
「特等席で、見ていろ」
囁きと同時に、アシュレイの全身が固まる。
普段は彼の掌で転がされる俺が、今は自らの意志で彼の上に跨っている──その事実だけで、彼は熱で壊れそうになっていた。
俺はゆっくりと腰を沈めた。
騎乗位は初めてで、慣れない角度に小さく息が漏れる。
だが、アシュレイは一切手を出さない。
静かに、俺の意志を汲みとって、彼の紫の瞳は、俺の動作ひとつひとつを焼き付けるように見つめていた。
嫉妬と歓喜と飢えが混ざった、危うく美しい色。
やがて、深くまで飲み込むと、思わず吐息が震えた。
アシュレイの身体も同時に震えた。
彼は、言動よりも、繋がるここのようが素直に欲望を俺に示してくる。
くっ、と喉を鳴らして艶笑を浮かべる。
俺は自分で動きながら、二人の息遣いと視線に全身を包まれるのを感じていた。
そして──わざと少しだけ、動きを止める。
アシュレイの瞳が縋るように揺れる。
「……さあ」
甘く崩れる声で囁く。
「手伝ってくれるか?」
その言葉を与えられただけで、アシュレイは息を呑み、全身から熱があふれ、震えが走った。
触れることすら許されないまま、ただ見せつけられるだけだった主君の痴態。
その主君が──ようやく許した。
その瞬間、アシュレイの瞳は理性を溶かされ、ゆっくりと赤く染まったように見えた。
「……はい……っ。お望みのままに……陛下……」
震える両手が、ようやく俺の腰へとそっと触れる。
慎重で、熱に焼けた指先。
普段は俺を泣かせるために鋭く扱うその手が、今は信じられぬほど優しく俺を支えていた。
俺がわずかに腰を沈めると、アシュレイの喉がかすれた声を漏らす。
「……こんな……私を……見下ろすように……乗られて……っ、陛下……」
甘く縋るような声。
あの俺を翻弄しつくした宰相とは思えぬほど、完全に主君の掌の中。
その横で、ライオネルが荒い息のまま体を起こし、俺たちを見つめていた。
先ほどまで俺に満たされていたはずの身体が、
今は嫉妬と悔しさと、どうしようもない渇望に震えている。
「……セレスティン様……俺にも、ご慈悲を……」
苦しげな声に、俺はかすかに笑った。
普段なら容赦なく伸ばされる腕を。今更に触れる許可を得られている。
それが堪らなく愉快だった。
うっそりと微笑みを返す。彼ら二人を支配下に置く者だけが許される、余裕の笑みだ。
「ライオネル……今は、アシュレイに褒美をあたえているのだ。……っ、はぁ……しばし、みておれ」
「っ……!」
褒美──その一言に、ライオネルの身体は戦慄した。
俺は再びアシュレイへと視線を戻し、その頬へ指先を這わせた。
啄ばむように口づけて、舌先を絡ませる。
唾液を混ぜ合わせながら、肌の打ち合う音と掠れる声。
「……っ、陛下……今宵のあなたは……あまりにも……」
完全に主君へと魅了され、支配され、誇り高い宰相は、今や俺の指先一つで陶酔するような顔をしていた。
俺はゆっくり腰を動かし、
アシュレイの両腕を掴ませたまま、深く沈む。
ぐりゅりと粘膜が混じりあう淫猥な音と、脈動する熱い肉の感覚に
その瞬間、アシュレイは耐えきれず声を漏らした。
俺は笑う。
かつて涙が枯れるほどに懇願させられ、限界まで追い詰められてきた俺が──
今、この男を狂おしいほど翻弄し、支配している。
今宵の舞台の主は、間違いなく俺――セレスティン・アルクヴェイドだ。
熱を孕んだ息が喉奥から漏れ、胸の奥に溜まる。
触れてくる指先、絡む視線、押し殺した呼吸。
そのすべてが俺に縋るように注がれている。
けれどもう、かつてのように絶望へ沈みはしない。
この鳥籠の中で、支配し、翻弄し、逆転させる術を見つけたからだ。
彼らが「君主」を支配したいと望むのなら──
俺は彼らの前でのみ玉座に座る、唯一の王であればいい。
彼らが俺を独占したいと願うのなら──
俺は彼らの掌の中で、退廃の夜を彩る「麗人」を演じ続ける。
彼らが俺を依存させたいと焦がれるのなら──
深く頷くふりをしながら、その裏で飢えを、渇きを、あえて残してみせる。
この永遠に続く夜が罰なのか、転生者として与えられた新たな物語なのか。
もはや答えはどうでもいい。
この甘美で退廃的な檻の中で、
俺はセレスティン・アルクヴェイドとして生きていく。
彼らの執着の鎖に繋がれながら、
なお、その鎖を弄び、締め付け、揺さぶるのは俺だ。
この物語の主導権は、もう誰の手にもない。
俺だけのものだ。
静かに目を閉じる。
夜の帳が落ちると同時に浮かぶ、薄い笑み。
愛を乞う獣たちだけに与える、彼らの王の微笑。
──この檻は、彼らのものではない。
これは、俺が支配する舞台だ。
俺自身の意志で、望む形に作り替えていくことのできる舞台なのだ。
ライオネルを従え、甘く微笑む主君。
その視線が時折、アシュレイにだけ向けられるたび──
彼の内側で、嫉妬の炎と歓喜が同時に燃え上がる。
ライオネルと交わる最中、セレスティンがふと向ける柔らかな視線。
それは、アシュレイだけに向けられた“誘惑”であり、“命令”だった。
そしてライオネルの欲を受け取ったあと──
セレスティンは迷いなくアシュレイへ歩み寄り、薄い唇を自ら重ねた。
「っ……セレス……ティン、様……?」
普段決して崩れない宰相の瞳が、驚きと動揺に揺れる。
その様子がたまらなく愉快で、俺は自然と薄く笑った。
――今までどれだけ俺を泣かせてきたと思っている。
アシュレイの指先に翻弄され、泣き声を搾られ、懇願させられた夜は数え切れない。
限界を越え、意識が朦朧とするほど焦らされた後にようやく貫かれて喘ぎ泣くことも幾度となくあった。
だからこそ──これは、正当な“仕返し”だ。
俺はアシュレイの肩を軽く押し、寝台へと倒させる。
驚きながらも逆らわない。その従順さがまた、今の俺を甘く酔わせる。
彼の上へ跨り、腰をゆっくりと落とす。
さきほどまでライオネルの情を受けていたそれを、あえて見せつけるように指先でわずかに広げてみせた。
アシュレイの喉が、かすかに鳴る。
「……陛下……そんな……」
「特等席で、見ていろ」
囁きと同時に、アシュレイの全身が固まる。
普段は彼の掌で転がされる俺が、今は自らの意志で彼の上に跨っている──その事実だけで、彼は熱で壊れそうになっていた。
俺はゆっくりと腰を沈めた。
騎乗位は初めてで、慣れない角度に小さく息が漏れる。
だが、アシュレイは一切手を出さない。
静かに、俺の意志を汲みとって、彼の紫の瞳は、俺の動作ひとつひとつを焼き付けるように見つめていた。
嫉妬と歓喜と飢えが混ざった、危うく美しい色。
やがて、深くまで飲み込むと、思わず吐息が震えた。
アシュレイの身体も同時に震えた。
彼は、言動よりも、繋がるここのようが素直に欲望を俺に示してくる。
くっ、と喉を鳴らして艶笑を浮かべる。
俺は自分で動きながら、二人の息遣いと視線に全身を包まれるのを感じていた。
そして──わざと少しだけ、動きを止める。
アシュレイの瞳が縋るように揺れる。
「……さあ」
甘く崩れる声で囁く。
「手伝ってくれるか?」
その言葉を与えられただけで、アシュレイは息を呑み、全身から熱があふれ、震えが走った。
触れることすら許されないまま、ただ見せつけられるだけだった主君の痴態。
その主君が──ようやく許した。
その瞬間、アシュレイの瞳は理性を溶かされ、ゆっくりと赤く染まったように見えた。
「……はい……っ。お望みのままに……陛下……」
震える両手が、ようやく俺の腰へとそっと触れる。
慎重で、熱に焼けた指先。
普段は俺を泣かせるために鋭く扱うその手が、今は信じられぬほど優しく俺を支えていた。
俺がわずかに腰を沈めると、アシュレイの喉がかすれた声を漏らす。
「……こんな……私を……見下ろすように……乗られて……っ、陛下……」
甘く縋るような声。
あの俺を翻弄しつくした宰相とは思えぬほど、完全に主君の掌の中。
その横で、ライオネルが荒い息のまま体を起こし、俺たちを見つめていた。
先ほどまで俺に満たされていたはずの身体が、
今は嫉妬と悔しさと、どうしようもない渇望に震えている。
「……セレスティン様……俺にも、ご慈悲を……」
苦しげな声に、俺はかすかに笑った。
普段なら容赦なく伸ばされる腕を。今更に触れる許可を得られている。
それが堪らなく愉快だった。
うっそりと微笑みを返す。彼ら二人を支配下に置く者だけが許される、余裕の笑みだ。
「ライオネル……今は、アシュレイに褒美をあたえているのだ。……っ、はぁ……しばし、みておれ」
「っ……!」
褒美──その一言に、ライオネルの身体は戦慄した。
俺は再びアシュレイへと視線を戻し、その頬へ指先を這わせた。
啄ばむように口づけて、舌先を絡ませる。
唾液を混ぜ合わせながら、肌の打ち合う音と掠れる声。
「……っ、陛下……今宵のあなたは……あまりにも……」
完全に主君へと魅了され、支配され、誇り高い宰相は、今や俺の指先一つで陶酔するような顔をしていた。
俺はゆっくり腰を動かし、
アシュレイの両腕を掴ませたまま、深く沈む。
ぐりゅりと粘膜が混じりあう淫猥な音と、脈動する熱い肉の感覚に
その瞬間、アシュレイは耐えきれず声を漏らした。
俺は笑う。
かつて涙が枯れるほどに懇願させられ、限界まで追い詰められてきた俺が──
今、この男を狂おしいほど翻弄し、支配している。
今宵の舞台の主は、間違いなく俺――セレスティン・アルクヴェイドだ。
熱を孕んだ息が喉奥から漏れ、胸の奥に溜まる。
触れてくる指先、絡む視線、押し殺した呼吸。
そのすべてが俺に縋るように注がれている。
けれどもう、かつてのように絶望へ沈みはしない。
この鳥籠の中で、支配し、翻弄し、逆転させる術を見つけたからだ。
彼らが「君主」を支配したいと望むのなら──
俺は彼らの前でのみ玉座に座る、唯一の王であればいい。
彼らが俺を独占したいと願うのなら──
俺は彼らの掌の中で、退廃の夜を彩る「麗人」を演じ続ける。
彼らが俺を依存させたいと焦がれるのなら──
深く頷くふりをしながら、その裏で飢えを、渇きを、あえて残してみせる。
この永遠に続く夜が罰なのか、転生者として与えられた新たな物語なのか。
もはや答えはどうでもいい。
この甘美で退廃的な檻の中で、
俺はセレスティン・アルクヴェイドとして生きていく。
彼らの執着の鎖に繋がれながら、
なお、その鎖を弄び、締め付け、揺さぶるのは俺だ。
この物語の主導権は、もう誰の手にもない。
俺だけのものだ。
静かに目を閉じる。
夜の帳が落ちると同時に浮かぶ、薄い笑み。
愛を乞う獣たちだけに与える、彼らの王の微笑。
──この檻は、彼らのものではない。
これは、俺が支配する舞台だ。
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