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農場奴隷編
第26話 因縁との決着 B
しおりを挟む俺は魔術師の杖に魔力を込めて、火炎球を放つ。
高速で飛行しているクイーン・ビーに狙って当てるのは、流石に無理だが──
俺の魔法は、相手に当たるイメージで撃っている。
魔法は軌道を自動修正して、敵を追尾して着弾した。
自分でやっておいて流石にそれは卑怯だろと思いながらも、俺は杖を装備から外して、はがねの槍に切り替える。
ここまでで魔力をかなり消耗したので、武器を入れ替えた。
槍を装備し終えたタイミングで──
俺の目の前に、クイーン・ビーが接近していた。
こちらの隙を逃さずに、攻撃にしてくる。
俺は敵に向かって、槍を構え迎撃する。
ガッ、ギィイイイインッ!!
俺の構えた槍は、クイーン・ビーの針攻撃を受け止めて弾く。
だがクイーン・ビーは攻撃が弾かれることを予期していたように、反動を利用して俺の側面へと移動する。
クイーン・ビーの顎から生えている牙が、俺の左腕を抉るように切り裂いた。
敵の移動スピードの方が速い。
槍だと接近されると対処できない。
俺は槍を手放して、はがねの短剣を装備する。
クイーン・ビーは一撃を加えると同時に、その場から離脱している。
獲物が元気なうちは、ヒット&アウェイをくり返して削る気なんだろう。
予想を超える移動速度と硬い外殻、牙や針も攻撃力は高いだろう。
俺は全身に、闘気を漲らせる。
この戦闘スタイルの時は、短剣装備が一番しっくりくる。
全身を闘気で覆うため魔法を扱いづらく、空間探知を使えないのが欠点だが──
どのみちスピードが俺よりも速い相手だ。
俺は集中力を高めて、敵の攻撃に備える。
敵の移動能力は高いが、隠密性は無い。
冷静になれば、捉えきれない攻撃ではない。
クイーン・ビーは風魔法を操り、スピードを上げて針攻撃を繰り出してきた。
集中力が限界まで高まる──
俺は敵の渾身の一撃を紙一重で避けながら、カウンターで敵の腹部をはがねの短剣でえぐり取る。
攻撃を喰らったクイーン・ビーは、驚いて俺から距離を取る。
今度は真後ろに回り込んで、顎に生えている牙で攻撃しようとする。
俺を嚙み切るつもりだ。
目と気配で敵の動きはギリギリ捉えている。
移動先の敵の位置に見当を付ける。
そこから攻撃するなら──
ここにいるだろう。
その場所へむかって振り向きざまに、短剣を斜め下から上へと突き上げて──
クイーン・ビーの顔面を抉った。
ギェィィヒキィぃいいいい──
クイーン・ビーは痛みに耐えられずに、甲高い耳障りな叫びを上げて、俺から再び距離を取る。
そして、俺の周りを遠巻きに旋回する。
迂闊に近づいてこなくなった。
「……弓に切り替えるか? いや隙を見せると、一気に詰めてくる──」
距離を取る敵に対して、こちらは遠距離攻撃が可能な魔法と弓、両方の使用が躊躇われる。
戦いは膠着状態に入った。
「思い切って、魔法を打つか──」
俺がこの状況を打破するため、温存しておいた最後のMPで魔法を使うか思案していると、クイーン・ビーの様子が少しおかしいことに気付いた。
飛行がフラフラと不安定になり、苦みだしたのだ。
ダメージを負った体で飛行するのがきつくなったのか? とも思ったが、あの様子はまるで、殺虫剤を吹きかけられた虫のようだ。
「ああ、ひょっとして──」
そういえば、俺の武器にはキラー・ビーの針が錬成してあった。
毒か麻痺の効果が付与されていたのか?
ちゃんと鑑定していなかったが──
魔力を多めに込めてじっくり鑑定すれば、追加効果の有無は分かるかもしれない。
「それが効いてきた──とか?」
装備品は手当たり次第に、魔物素材と錬成している。
可能性は高い。
だとしても、キラー・ビーの毒が、クイーンに効くのかという疑問もあるが、……まあ効いたんだったらそれでいいか──
そういえば毒を持った生物で、自分の毒で死ぬ奴もいるんだったか?
クイーン・ビーは、状態異常で上手く飛べないようだ。
地面をもがきながら、不規則に這いずり回っている。
だが、いつ状態異常が治るか分からない。
俺は短剣を仕舞うと、落ちているはがねの槍を拾う。
クイーン・ビーがもがいている所まで近づく。
動きが不規則で、かえって攻撃が当てにくい。
自分から攻撃を当てに行くのではなく、槍を構えておいて近づいてきたところを槍で突く。それをしばらく繰り返すうちに、クイーン・ビーは動きを完全に止めた。
「倒した──か……」
スラ太郎は、焼け焦げた瀕死のキラー・ビーに止めを刺して回っている。
ついでに魔石の回収も、命令しておく。
俺は強敵を倒した直後で脱力しそうになるが──
『危険感知』が、警鐘を鳴らす。
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