メルドリアスの遊戯世界 ~異世界転生ハーレムキャラバン~ 【健全版】

猫野 にくきゅう

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農場奴隷編

第27話 モラトリアムの終焉 A

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 クイーン・ビーと大蜘蛛(アラクネ)を討伐してから三か月ほど経過し、季節は肌寒い日々から、体の芯から冷える日々へと変わっていった。

 魔物狩りは、東の平原や北の第二領域にいるゴブリンやコボルトの部隊を中心に狙って、ドロップアイテム集めに力を入れた。従来の装備品の他に、指輪や腕輪、首飾りや耳飾りなどの装飾品も増えた。


 自分の奴隷部屋から下へと穴を掘り進めて、地下室を作った。
 穴を掘ったのはスラ太郎だ。
 地下室は、立ってギリギリ歩けるくらい。

 たたみ一畳分くらいのスペースを確保した。
 余った装備品の保管庫にしている。


 装備の詳しい鑑定もやってみた。
 魔物素材と合成したことで、武器に毒や麻痺の効果が付与されていた。
 その他にも、大蜘蛛の素材と合成した旅人のマントには、隠密強化が付与されていたりした。
 
 防具のカスタマイズも行っている。
 鋼のインゴットを変形させ形状を整えて、防具に取りつけたりしていく。

 実際に使って動きの邪魔にならないか、実戦でテストをくり返す。
 スピード重視で戦いたいので、あまり重くならない様に改造する。




 ここ最近の変化で、もっとも喜ばしいことは──

 俺達の借金が、ゼロになった。

 借金が無くなると、ステータスに預金が表示されるようになった。




 どこにお金が預けられているのかというと、預け先は『女神メルドリアス』になる。この世界で銀行などの、金融機関の役割を果たしているのは女神様だ。

 お金を引き出したい時は、教会に行けばいいそうだ。

 備え付けられている魔道具から、支払われるらしい。
 お金を預け入れたい時も、同様に魔道具を介して貯金することが出来る。


 どの国でも同様に、魔道具から貨幣を引き出すことが出来るし、預け入れることもできる。預金を女神が保証して、金貨や銀貨、銅貨を提供してくれるそうだ。

 そのため通貨は、世界共通だ。


 通貨というのは、信用で成り立っている。
 金や銀を通貨に使うのは、それそのものの価値が信用になるからだ。
 紙幣の場合は、発行する国が価値を保証している。

 この世界の場合、貨幣価値は女神が保証している。
 さらに金銀銅の材質の価値もある。

 最強の信用通貨だ。
 



 ともあれ、借金は無くなった。
 俺を縛るものは、もうない。

「さて、これからどうするかな?」

 俺もクサンゴさんのように、ここから北西のにあるイーステッドを目指したい。

 冒険者志望の若者が目指す最初の目的地。
 この国の中心にある都市で、別名『冒険者の町』と呼ばれている。
 三番目に規模の大きな都市。

 なぜそこを目指すのかというと──
 自分の力を試したい、という欲求があるからだ。
 前世の記憶を思い出してから、培ってきた力を人に見せびらかしたいのだ。



 冒険者の町に行くのなら、アカネルとモミジリは当然連れていきたいが、問題はイルギットだ──
 駆け落ちとなれば、追手がかかったりするのだろうか?
 
 農場主の所に行って、『お父さん娘さんを下さい』と言ってもぶん殴られるだけだろう。しかも『奴隷』にしてしまっている。

 許されるわけない。
 というか、許容される要素が一ミリもない。

 かといって、イルギットを置いていくのは論外だ。
 唐突に無理心中を図るような女だ。

 黙って俺が出ていけば、何をしでかすか分からない。
 
 

 ──まあ、上手く四人で逃げるしかないか。



 冬の寒い時期だ。
 奴隷小屋で眠る前は、魔法で火を出して暖を取る。
 手のひらを炎に向けて温めながら、ふと考える。

 炎の反対の──
「氷魔法とかあるのかな? 水の発展系か──?」

 攻撃魔法は、火水風土の四種類を使えるようになったが、もっと種類を増やしていきたい。魔力の色を変化させれば出来るだろうが、当てずっぽうでやっても時間がかかり過ぎる。

「冷気を作るには……炎の逆──でどうだ?」

 それなら火属性の色を真逆にしてみたら、行けるんじゃないか、と閃いた。


 もうすでに、日は沈み夜になっている。

 俺は部屋の外に出て、魔法の練習を行う。


 魔力の性質はその色で変わっていく。
 魔力の視認は、かなりレアな能力のようで、この農場の奴隷の中では俺しか出来ない。おそらくは『大魔導士の卵』という才能があるおかげだろう。

 魔力の色を見ることが出来るおかげで、魔力の性質変化をイメージしやすい。

 俺はまず、自分の魔力を火の魔力に変化させる。
 そしてその魔力の色調を、反対の色へとイメージして変化させる。


 俺は性質変化させた青白い色の魔力を、冷気をイメージして具現化してみる。

「よしっ──!!」

 狙い通りに魔力は熱を奪う冷気となって、俺の体から体温を奪っていく。

「やばい、寒い!!」

 ただでさえ、季節は冬だ。
 俺は慌てて魔法で炎を作り、体を温めた。


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