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農場奴隷編
第31話 ★外伝 その他の転生者 トモミール・ドモンド A
しおりを挟む女神歴1010年。
その少女は自分の前世の記憶を思い出し、自分が生まれ変わった転生者であることを自覚した。少女の名前はトモミール・ドモンド。しがない男爵家の長女として生まれ、現在は王都にある男爵家の実家で暮らしている。
トモミールは、王国の第一王女リヒルリーヒの派閥に属してる。
彼女は自己顕示欲が強い。
上昇志向の強い性格でもあり、前世の記憶を取り戻してすぐに考えたのは、自分の所属する派閥での貢献度を稼ぐことだった。
しかし、前世の記憶を生かして料理や道具を作るといった転生者の常とう手段は、必要な知識や技術を持ち合わせていないトモミールには取れなかった。
この世界にはトモミールの持つ前世の知識や経験で、イノベーションを起こす余地はなかった。
そもそも必要なものはコンビニに揃っている世界で生活していたのだから、転生したからといって特別なことなどできはしない。
それが転生者の現実だ。
例えば自分の住んでいるこのラムダドーラ王国 には、米や味噌が無い。
作ることが出来れば、新しい食文化をもたらしたことで評価されるはずだ。
だがしかし作り方など解らないので、どうしようもない。
マヨネーズくらいはどうにかなるかと思ったが、卵をどうすればいいのか見当も付かなかった。前世で専門職に付いていたような人なら出来るかもしれないが、トモミールにそんな知識はなかった。
行き詰ったトモミールは、別のアプローチで点数稼ぎをしようと決めた。
トモミールは前世で天寿を全うして安らかな眠りについた後、真っ黒い何も見えない空間にいた。
そこに一筋の光がさして女神が語りかけてきた。
話の内容は──
これから別の世界に転生すること。
そこには他にも転生者がいること。
転生者は転生特典として、特別な力を持って生まれるか、高い地位に生まれる。
──といったことを事務的に教えられた。
自分には特別な力があるはずだ。
それを使って、成り上がればいい。
彼女は教会へ行き、自分のステータスを鑑定した。
少しドキドキしながら鑑定結果の記された紙を見たが、取り立てて特別と言える能力は無かった。
自分には、特別な力はない。
──ということは『高い地位に生まれる』というのが、女神から与えられた『転生特典』らしい──
「ふざけるんじゃないわよ! 糞女神ッ!!!」
トモミールは怒った。
貴族と言っても名ばかりの、貧乏男爵家の生まれだ
それが自分に与えられた『転生特典』ということに気付きて憤慨する。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
ひとしきりヒステリックに暴れてから、落ち着きを取り戻しす。
それから、今後の方針を考える。
トモミールには知識も技術もない。
あるのは……第一王女の派閥に属していることだけだ。
末席とはいえ、一応は貴族だ。
さらに無能力とはいえ、転生者でもある。
転生前に女神と対話をしたことで、転生関連の情報もある。
トモミールは、自分の持つアドバンテージを利用することにした。
まずは転生者を集めよう。
そう、転生者には特別な力を持った奴がいる。
そして、能力のある奴は地位の低い家に生まれているはずだ。
自分には大して権力は無いが、第一王女とのつながりはある。
トモミールは自分のアドバンテージを最大限利用して、転生者を集める計画を立てた。集めた転生者の中に使える能力を持った奴がいれば、人材を発掘した自分の評価につながると考えたのだ。
トモミールは上役の伯爵令嬢を通じ、王女とコンタクトを取る。
女神からお告げがあったと、適当なことを言って転生者を集めさせた。
リヒルリーヒは兄弟を相手に権力争いをする気満々だったようで、自分の陣営の強化に前向きだった。
王女の権力の及ぶ町や村、農場などに触れを出した。
転生者は優遇する旨を日本語で書いた紙を閲覧させて、内容を理解した奴をマークして金で購入して連れてきた。
親や奴隷主は、金を積めば喜んで子供を差し出した。
そうして集めた奴隷は五人。
名前はタクヤン、トモヤンという双子とギクヤマ、ノフミツ、マザヒコ。
全員男だった。
そいつらを鑑定して、結果を王女に報告した。
後は向こうで、使い道を決めるだろう。
集めた奴隷の中で、使えるスキル持ちと判断されたのは一人だけだった。
トモミールは『たった一人か』と肝を冷やしたが、そいつの能力はかなりレアだったらしい。
滅多にいない特殊なスキル持ちを探し出したことで、トモミールの評価は上々だ。
特別に奴隷を二人、プレゼントして貰えることになった。
レアスキル持ちと判断されたのは『トモヤン』という名前の転生者だった。
スキル名は『俺たち友達だろ?』で、スキルの内容はモンスターを自分の友達にして、言いなりにすることができる能力だ。
ただし、生涯に一度しか使えないという制約がある。
かなり特殊な、魔物使い系の能力者だった。
他の転生者は戦闘系の能力を有していたが、わざわざ育てるほどではないと切り捨てられた。
もともと貴族階級の人間は、どんなに才能があっても平民や奴隷階級の者をわざわざ特別に育てたりはしない。
この世界は、金で強さを買える。
育てるなら多少才能が無くても、貴族の子弟を優先させる。
だからこそ王女様のお眼鏡にかなったトモヤンの能力は、それだけ特殊で貴重なものなわけだ。
トモミールには確保した残りの転生者四人の中から、好きなのを二人選んで与えられることになった。
トモミールが自分用の労働奴隷として選んだのは、タクヤンとマザヒコ。
一人はそこそこのイケメンで、もう一人はちょいブス男子。
その組み合わせで絡ませて、遊ぶつもりだ。
残りの二人、ギクヤマとノフミツの今後の利用法は──
使い捨ての囮か、戦闘時に最初に魔法を喰らう盾役として利用される。
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