命を狙われた転生少女、最強を目指す 【厄災の吸血鬼と竜の王】

猫野 にくきゅう

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お嬢様は謙虚堅実!? 2

第96話 VS バーワイルのボス A

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 私に気づかれることなく、この山のボスが超至近距離まで接近していた。

 イノシシ型の魔物「バーワイル」のボスは、見上げるような巨体にもかかわらず、その隠密能力で存在を悟らせない。

 私がそれに気づいたのは、今後の方針をルドルと相談しようと、後ろを振り向いた時だった。

 バーワイルの突進は、列車に撥ねられる以上の威力がある。
 人間の体なら木っ端微塵だろう。

 しかし、ルドルはその攻撃をあっさり受け止めた。
 彼は体を動かすことなく、魔法で敵の突進を受け止めたのだ。

 ルドルの得意魔法「不可視の盾」――
 反転の風魔法で空気を固め、透明な盾を作り出す技だ。

 ルドルを攻撃しようと突っ込んできたバーワイルのボスは、見えない盾に阻まれて宙に浮いている。
 簡単に防いだように見えるが、あの攻撃を防ぐにはかなりの魔力を消費したはずだ。反り返った牙が空気の盾に突き刺さり、バーワイルは空中で身をよじって暴れている。

「……ルドル様、魔法は禁止なのではなかったですか?」

 私は、周りにジャックやドヤコがいたため、お嬢様口調で意地悪なツッコミを入れた。私たちには魔法を禁じているくせに、自分は使ったからだ。

「これは攻撃魔法ではない。それに、刀を使えば俺が仕留めてしまうからな……お前たちのために、獲物を残しておいてやったんだ」

 言われてみればその通りだ。
 盾は攻撃魔法ではない。

「私も盾を使えばもっと楽に戦えましたのに」

「……いや、待て。それは簡単すぎるな。魔法で作った盾の使用は禁止する。いいな?」

 私が盾を使おうとすると、ルドルに止められた。

「けれど、ルドル様は使ってますわ」

 私は少しむっとしながら反論する。

「俺はコイツを殺さないために使っているんだ。お前の魔法を禁止するのは、威力が高すぎるからだ。お前なら敵を丸ごと氷漬けにしてしまえる。それでは戦闘技能の修行にならん」

 なんだか言い訳がましく聞こえたが、私はそれ以上反論せず、彼の言うことを聞くことにした。
 一応、私の師匠なのだから、顔を立ててやるべきだろう。

「分かりましたわ。では、戦闘再開と参りましょう」

「ああ、仕切り直しとするか――」

 ルドルは風魔法で敵のボスを吹き飛ばしてから、後方に下がった。
 圧縮した空気を敵に向けて解き放った衝撃で、近くにいた私たちにも暴風が吹き荒れる。

 だが、ここでぼんやりしてはいられない。
 風が収まるのを待っていては、敵に後れを取る。

 バーワイルはすぐにまたここにやって来るだろう。
 私たちはそれぞれ得意武器を構え、敵の襲来に備えた。
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