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国王陛下
2階のバルコニー。そこに、この国の頂点に立つ人物が現れました。国王陛下です。その横には、悲痛な面持ちの王妃様もいらっしゃいます。
「ち、父上……! 母上……!」
アルベルト様が救いを求めて叫びました。しかし、陛下が見せたのは親としての情けではなく、王としての激しい怒りでした。
「余はずっと見ていたぞ。情けない……実に情けない!」
陛下の怒声に、会場中の貴族が一斉に頭を垂れました。
「男爵令嬢ごときの下級魔法に易々とかかり、忠義を尽くしたロゼリア嬢をないがしろにし、あまつさえ己の保身のために女を売るとは……。王族の風上にも置けぬ恥晒しめ!」
「ち、違うんです! 僕は……」
「黙れ!!」
陛下の一喝で、アルベルト様はカエルのように縮こまりました。
「これより、裁定を下す!」
王の言葉は、絶対の命令です。
「ミナ男爵令嬢! 禁忌魔法の使用、および王族への加害、国政の混乱を招いた罪により、貴族位を剥奪する! 国外追放のうえ、北の孤島にある『魔力封印の修道院』へ一生涯、幽閉とする!」
「いやぁぁぁ! 修道院なんて嫌ぁぁぁ! 私はヒロインなのよぉぉ! 地味な服なんて着たくないぃぃ!」
ミナがジタバタと暴れますが、騎士たちに引きずられていきます。
「そして、アルベルト!」
「は、はい!」
「貴様を『廃嫡』とする!」
「……は?」
「王位継承権を剥奪し、平民の身分へ落とす。二度と王宮の敷地をまたぐことは許さん。辺境の開拓村へ送り、己の愚かさを一生かけて償え!」
「へ……へいみん……? この、僕が……?」
アルベルト様は、意味が理解できないようでした。
生まれた時から王子様だった彼にとって、ただの人になることは死刑宣告よりも恐ろしいことだったのでしょう。
「連れて行け!」
「待ってください父上! 嫌だ、僕は王子だ! ロゼリア、助けてくれ! 愛してるんだ、僕を捨てないでくれぇぇぇ!」
アルベルト様は涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにしながら、騎士たちに両脇を抱えられてズルズルと引きずられていきました。
その姿に、かつての煌びやかな王子の面影はありません。あるのは、自分のしでかしたことの大きさに押しつぶされた愚かな男の姿だけでした。
扉が閉まり、二人の叫び声が聞こえなくなると会場には深い静寂が訪れました。
終わったのです。私の十年間の戦いが。そして、私の初恋が……。
「ロゼリア嬢よ」
陛下が、今度は穏やかな声で私に呼びかけました。
「苦労をかけたな。そなたは自由だ。これからは、誰に縛られることなく、そなた自身の幸せをつかみなさい」
その言葉を聞いた瞬間。私の体から見えない鎖が、パラパラと崩れ落ちていくのを感じました。
私は深く優雅に一礼しました。それは、王太子婚約者としての最後の礼であり、新しい私としての最初の礼でした。
「……陛下、感謝いたします」
顔を上げると、隣にキース様がいました。彼は何も言わず、ただ優しく私の肩を抱いてくれました。その温もりが冷え切った私の心を溶かしてくれます。
ざまぁみろ! とは思いませんでした。清々しい風が吹き抜けていくような、そんな爽快感だけが胸にありました。
「ち、父上……! 母上……!」
アルベルト様が救いを求めて叫びました。しかし、陛下が見せたのは親としての情けではなく、王としての激しい怒りでした。
「余はずっと見ていたぞ。情けない……実に情けない!」
陛下の怒声に、会場中の貴族が一斉に頭を垂れました。
「男爵令嬢ごときの下級魔法に易々とかかり、忠義を尽くしたロゼリア嬢をないがしろにし、あまつさえ己の保身のために女を売るとは……。王族の風上にも置けぬ恥晒しめ!」
「ち、違うんです! 僕は……」
「黙れ!!」
陛下の一喝で、アルベルト様はカエルのように縮こまりました。
「これより、裁定を下す!」
王の言葉は、絶対の命令です。
「ミナ男爵令嬢! 禁忌魔法の使用、および王族への加害、国政の混乱を招いた罪により、貴族位を剥奪する! 国外追放のうえ、北の孤島にある『魔力封印の修道院』へ一生涯、幽閉とする!」
「いやぁぁぁ! 修道院なんて嫌ぁぁぁ! 私はヒロインなのよぉぉ! 地味な服なんて着たくないぃぃ!」
ミナがジタバタと暴れますが、騎士たちに引きずられていきます。
「そして、アルベルト!」
「は、はい!」
「貴様を『廃嫡』とする!」
「……は?」
「王位継承権を剥奪し、平民の身分へ落とす。二度と王宮の敷地をまたぐことは許さん。辺境の開拓村へ送り、己の愚かさを一生かけて償え!」
「へ……へいみん……? この、僕が……?」
アルベルト様は、意味が理解できないようでした。
生まれた時から王子様だった彼にとって、ただの人になることは死刑宣告よりも恐ろしいことだったのでしょう。
「連れて行け!」
「待ってください父上! 嫌だ、僕は王子だ! ロゼリア、助けてくれ! 愛してるんだ、僕を捨てないでくれぇぇぇ!」
アルベルト様は涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにしながら、騎士たちに両脇を抱えられてズルズルと引きずられていきました。
その姿に、かつての煌びやかな王子の面影はありません。あるのは、自分のしでかしたことの大きさに押しつぶされた愚かな男の姿だけでした。
扉が閉まり、二人の叫び声が聞こえなくなると会場には深い静寂が訪れました。
終わったのです。私の十年間の戦いが。そして、私の初恋が……。
「ロゼリア嬢よ」
陛下が、今度は穏やかな声で私に呼びかけました。
「苦労をかけたな。そなたは自由だ。これからは、誰に縛られることなく、そなた自身の幸せをつかみなさい」
その言葉を聞いた瞬間。私の体から見えない鎖が、パラパラと崩れ落ちていくのを感じました。
私は深く優雅に一礼しました。それは、王太子婚約者としての最後の礼であり、新しい私としての最初の礼でした。
「……陛下、感謝いたします」
顔を上げると、隣にキース様がいました。彼は何も言わず、ただ優しく私の肩を抱いてくれました。その温もりが冷え切った私の心を溶かしてくれます。
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