私と幼馴染と十年間の婚約者

川村 あかり

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幼馴染はくじけない

「バカな看守たち。私がただ大人しくしていると思った? 私はなのよ。ピンチの時には、必ず『抜け道』が見つかるものなの!」

彼女は爪が割れるのも構わず、必死に石を動かしました。 

ガコッ。 石が外れ、大人が一人通れるくらいの穴が開きました。

「やった! 脱出ルート確保!」

ミナは勝利を確信したような顔になっていた。

「ここを抜けて隣国へ行けば、また新しい男を見つけてやり直せる。 私の魅力なら、王様だってイチコロよ!」

ミナは穴に体を滑り込ませました。少し進むと広い空間に出ました。外の光が見えます。



「自由だわ! さよなら、不味いご飯と湿気た牢屋!」

彼女が光に向かって走り出した。その瞬間でした。

 ビーッ! ビーッ! ビーッ!

突然、耳をつんざくような警報音が鳴り響きました。そして、天井から赤い光が降り注ぎ、ミナの体をスポットライトのように照らし出した。

「えっ!? な、なに!?」

パッ!  ミナの目の前に、半透明の映像(ホログラム)が浮かび上がった。

そこに映っていたのは、あの忌々しいメガネ女のマリーでした。マリーの映像は、冷ややかに笑っています。



『残念でした~♪ そこは『脱獄ホイホイ』の罠ルートですよ、ミナさん』

「はぁぁぁ!? マ、マリー!?」

『私の開発した【絶対監視セキュリティシステム】に死角はありません。その穴は、反省していない囚人をあぶり出すためのなんです』

「う、嘘よ! いやぁぁぁ!」



ガシャン! ガシャン!  床から魔法の鎖が飛び出し、ミナの手足を縛り上げました。

『脱獄未遂、現行犯で確保です。罰として、今日から一ヶ月間、窓のない『反省房』行きですね。食事も、パンの耳だけになります。あしからず』

「いやぁぁぁ! ロゼリアぁぁ! マリー! あんたたちなんか大っ嫌いぃぃぃ! どんなに足掻いても、絶対にこの状況から抜け出してやるぅぅぅ!! 私をここに縛り付けておけると思うなよぉぉ!!」

ミナの絶叫が虚しく響いていた。駆けつけた看守たちによって、彼女はズルズルとさらに暗い地下へと引きずられていきました。

彼女の悪あがきは、マリーの科学力の前に完敗したのでした。



そんな泥沼の二人とは対照的に、王立学園は爽やかな朝の光に包まれていました。

「ごきげんよう、ロゼリア様!」

「おはようございます、キース様!」

私たちが登校すると、生徒たちがキラキラした目で挨拶をしてきます。以前のような陰口や噂話はもう聞こえません。

むしろ、「悪を倒した最強カップル」として、私たちは学園の注目の的になっていました。



「……なんだか、くすぐったいですわね」 

私が小声で言うと、隣を歩くキース様が苦笑しました。

「慣れるしかないな……君が素敵すぎるから、みんな放っておけないんだ」 

「まあっ。キースったら、またそんな歯の浮くようなセリフを……」

顔がカァッと熱くなります。婚約者時代には言われたこともない甘い言葉を、キース様は呼吸をするように自然に言ってくれるのです。心臓がもちません。

私たちは手をつないで廊下を歩きました。

(ただ手をつなぐ。それだけのことが、こんなに幸せだなんて)



ヒューヒュー!  生徒たちから冷やかしの口笛が飛び交います。私は真っ赤になってうつむきました。

キース様は生徒たちが見ているのも構わず、私の腰を引き寄せました。

「キース、恥ずかしいです」

「構うもんか。俺達は最高の『パートナー』だろ?」

アルベルト様との婚約時代は、トラブルが起きるたびに「またか」と胃が痛くなったものです。

でも今はトラブルさえも、二人で乗り越えるアトラクションのように感じられます。

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