2 / 15
将を射んと欲すればまず馬を射よ!
しおりを挟む
「おい、お前」
校門を抜けたところで声をかけられ、恭子は振り返った。
「あ、今朝の……首藤くんだっけ?」
「ああ」
首藤一騎は何やら格好をつけ、校門の表側に寄りかかっていた。
「よく私達の学校が分かったね?」
その問いに一騎は無言で恭子の制服を指差した。
「ああ。ま、制服でバレちゃうか」
「そう言う事だ」
「雪ちゃんならまだ生徒会の仕事の最中だよ」
「いや、待っていたのはお前だ」
「?」
「少し話がしたい。付き合ってくれ」
そう言って一騎は返事も待たずに歩き出すのだった。
◆
「話ってなに? ま、雪ちゃんのことなんだろうけど」
恭子は向かい合って座る一騎に問いかけた。
木下恭子――十六歳の高校二年生。
ただ、身長が150センチ未満と低く、童顔な事もあってよく中学生と間違えられる。
だが胸やお尻は結構女らしいラインを描いていた。
色素の薄い亜麻色の髪を肩の上で切りそろえ、まなじりの下がった目はどこか眠たそうだ。
「将を射るにはまず馬からだからな」
「そういうことを馬の前で言っちゃいけないと思うんだ」
「とにかく、その”雪ちゃん”についての情報が欲しい」
一騎はテーブルに身を乗り出した。
ここはファミレス『マグノリア』。二人の前にはとりあえずお冷やが置かれている。
「もちろんただじゃあないよね?」
恭子はさも当然といった口調で訊ねた。
「ああ、好きなメニューを好きなだけ頼むといい。ここの払いは俺が持とう」
「OK」
恭子はウェイトレスを呼ぶととりあえず『スペシャルデラックスジャンボパフェ』を注文した。
「まずは”雪ちゃん”の名前が知りたい」
「そんな事も知らずに声をかけてきたんだね」
「仕方ないだろう。一目惚れなんだ」
「千明雪乃。私と同じく十六歳の高校二年生」
「ふむふむ」
一騎は得られた情報をスマホにメモしていく。
「来堂学園二年B組。生徒会副会長。成績は常に十位以内。運動も得意。性格は姉御肌ではっきりものを言うタイプ。家族構成は両親に妹が二人。あと猫三匹」
恭子はつらつらと雪乃についての情報を口にしていった。
そうこうするうちに『スペシャルデラックスジャンボパフェ』が運ばれてくる。
「うぉおおお!」
恭子は目を輝かせながら早速一口。
「う~ん、おいしい~♡」
「今現在交際している男はいるのか?」
一騎は最も重要な事柄について訊ねた。
「いないよ。よかったね」
「ふぅ……」
「雪ちゃんのどこが好きなの?」
安堵の息を吐く一騎に恭子が訊ねる。
「そうだな。まず見た目が俺の好みだ。それに気の強そうなところもいい。ああいう女が俺にだけデレデレするところを想像すると超萌える」
「他には?」
「…………」
その問いに一騎は答えることができない。
「うわ~、見た目だけなの?」
「一目惚れとはそういうものだろう。強いて言えば俺のDNAがあの女を孕ませろと命令するんだ」
「それは露骨すぎるんじゃないかな? そんなこと雪ちゃんに言ったらぶん殴られるよ?」
「いくら俺でもそんなセクハラな台詞を本人の前で口にはせんさ」
一騎は自嘲ぎみに笑う。
「あと訊いていないのは住所と携帯番号、メアドなのだが……」
「さすがにそれは教えられないかな。頑張って本人から聞き出してよ」
「仕方あるまい」
「でもね。とっておきの情報を一つ教えてあげてもいい。ここの奢りとは別料金で」
「何だそれは?」
「雪ちゃんのスリーサイズ」
「一万払おう!」
一騎は諭吉さんをテーブルに叩きつけるのだった。
校門を抜けたところで声をかけられ、恭子は振り返った。
「あ、今朝の……首藤くんだっけ?」
「ああ」
首藤一騎は何やら格好をつけ、校門の表側に寄りかかっていた。
「よく私達の学校が分かったね?」
その問いに一騎は無言で恭子の制服を指差した。
「ああ。ま、制服でバレちゃうか」
「そう言う事だ」
「雪ちゃんならまだ生徒会の仕事の最中だよ」
「いや、待っていたのはお前だ」
「?」
「少し話がしたい。付き合ってくれ」
そう言って一騎は返事も待たずに歩き出すのだった。
◆
「話ってなに? ま、雪ちゃんのことなんだろうけど」
恭子は向かい合って座る一騎に問いかけた。
木下恭子――十六歳の高校二年生。
ただ、身長が150センチ未満と低く、童顔な事もあってよく中学生と間違えられる。
だが胸やお尻は結構女らしいラインを描いていた。
色素の薄い亜麻色の髪を肩の上で切りそろえ、まなじりの下がった目はどこか眠たそうだ。
「将を射るにはまず馬からだからな」
「そういうことを馬の前で言っちゃいけないと思うんだ」
「とにかく、その”雪ちゃん”についての情報が欲しい」
一騎はテーブルに身を乗り出した。
ここはファミレス『マグノリア』。二人の前にはとりあえずお冷やが置かれている。
「もちろんただじゃあないよね?」
恭子はさも当然といった口調で訊ねた。
「ああ、好きなメニューを好きなだけ頼むといい。ここの払いは俺が持とう」
「OK」
恭子はウェイトレスを呼ぶととりあえず『スペシャルデラックスジャンボパフェ』を注文した。
「まずは”雪ちゃん”の名前が知りたい」
「そんな事も知らずに声をかけてきたんだね」
「仕方ないだろう。一目惚れなんだ」
「千明雪乃。私と同じく十六歳の高校二年生」
「ふむふむ」
一騎は得られた情報をスマホにメモしていく。
「来堂学園二年B組。生徒会副会長。成績は常に十位以内。運動も得意。性格は姉御肌ではっきりものを言うタイプ。家族構成は両親に妹が二人。あと猫三匹」
恭子はつらつらと雪乃についての情報を口にしていった。
そうこうするうちに『スペシャルデラックスジャンボパフェ』が運ばれてくる。
「うぉおおお!」
恭子は目を輝かせながら早速一口。
「う~ん、おいしい~♡」
「今現在交際している男はいるのか?」
一騎は最も重要な事柄について訊ねた。
「いないよ。よかったね」
「ふぅ……」
「雪ちゃんのどこが好きなの?」
安堵の息を吐く一騎に恭子が訊ねる。
「そうだな。まず見た目が俺の好みだ。それに気の強そうなところもいい。ああいう女が俺にだけデレデレするところを想像すると超萌える」
「他には?」
「…………」
その問いに一騎は答えることができない。
「うわ~、見た目だけなの?」
「一目惚れとはそういうものだろう。強いて言えば俺のDNAがあの女を孕ませろと命令するんだ」
「それは露骨すぎるんじゃないかな? そんなこと雪ちゃんに言ったらぶん殴られるよ?」
「いくら俺でもそんなセクハラな台詞を本人の前で口にはせんさ」
一騎は自嘲ぎみに笑う。
「あと訊いていないのは住所と携帯番号、メアドなのだが……」
「さすがにそれは教えられないかな。頑張って本人から聞き出してよ」
「仕方あるまい」
「でもね。とっておきの情報を一つ教えてあげてもいい。ここの奢りとは別料金で」
「何だそれは?」
「雪ちゃんのスリーサイズ」
「一万払おう!」
一騎は諭吉さんをテーブルに叩きつけるのだった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】好きって言ってないのに、なぜか学園中にバレてる件。
東野あさひ
恋愛
「好きって言ってないのに、なんでバレてるんだよ!?」
──平凡な男子高校生・真嶋蒼汰の一言から、すべての誤解が始まった。
購買で「好きなパンは?」と聞かれ、「好きです!」と答えただけ。
それなのにStarChat(学園SNS)では“告白事件”として炎上、
いつの間にか“七瀬ひよりと両想い”扱いに!?
否定しても、弁解しても、誤解はどんどん拡散。
気づけば――“誤解”が、少しずつ“恋”に変わっていく。
ツンデレ男子×天然ヒロインが織りなす、SNS時代の爆笑すれ違いラブコメ!
最後は笑って、ちょっと泣ける。
#誤解が本当の恋になる瞬間、あなたもきっとトレンド入り。
社畜OLが学園系乙女ゲームの世界に転生したらモブでした。
星名柚花
恋愛
野々原悠理は高校進学に伴って一人暮らしを始めた。
引越し先のアパートで出会ったのは、見覚えのある男子高校生。
見覚えがあるといっても、それは液晶画面越しの話。
つまり彼は二次元の世界の住人であるはずだった。
ここが前世で遊んでいた学園系乙女ゲームの世界だと知り、愕然とする悠理。
しかし、ヒロインが転入してくるまであと一年ある。
その間、悠理はヒロインの代理を務めようと奮闘するけれど、乙女ゲームの世界はなかなかモブに厳しいようで…?
果たして悠理は無事攻略キャラたちと仲良くなれるのか!?
※たまにシリアスですが、基本は明るいラブコメです。
クラスで一番人気者の女子が構ってくるのだが、そろそろ僕がコミュ障だとわかってもらいたい
みずがめ
恋愛
学生にとって、席替えはいつだって大イベントである。
それはカースト最下位のぼっちである鈴本克巳も同じことであった。せめて穏やかな学生生活をを求める克巳は陽キャグループに囲まれないようにと願っていた。
願いが届いたのか、克巳は窓際の後ろから二番目の席を獲得する。しかし喜んでいたのも束の間、彼の後ろの席にはクラスで一番の人気者の女子、篠原渚が座っていた。
スクールカーストでの格差がありすぎる二人。席が近いとはいえ、関わることはあまりないのだろうと思われていたのだが、渚の方から克巳にしょっちゅう話しかけてくるのであった。
ぼっち男子×のほほん女子のほのぼのラブコメです。
※あっきコタロウさんのフリーイラストを使用しています。
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。
桜庭かなめ
恋愛
高校2年生の白石洋平のクラスには、藤原千弦という女子生徒がいる。千弦は美人でスタイルが良く、凛々しく落ち着いた雰囲気もあるため「王子様」と言われて人気が高い。千弦とは教室で挨拶したり、バイト先で接客したりする程度の関わりだった。
とある日の放課後。バイトから帰る洋平は、駅前で男2人にナンパされている千弦を見つける。普段は落ち着いている千弦が脚を震わせていることに気付き、洋平は千弦をナンパから助けた。そのときに洋平に見せた笑顔は普段みんなに見せる美しいものではなく、とても可愛らしいものだった。
ナンパから助けたことをきっかけに、洋平は千弦との関わりが増えていく。
お礼にと放課後にアイスを食べたり、昼休みに一緒にお昼ご飯を食べたり、お互いの家に遊びに行ったり。クラスメイトの王子様系女子との温かくて甘い青春ラブコメディ!
※特別編3が完結しました!(2025.12.18)
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、いいね、感想などお待ちしております。
まずはお嫁さんからお願いします。
桜庭かなめ
恋愛
高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。
4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。
総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。
いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。
デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!
※特別編6が完結しました!(2025.11.25)
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想をお待ちしております。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
俺をフッた幼馴染が、トップアイドルになって「もう一度やり直したい」と言ってきた
夏見ナイ
恋愛
平凡な大学生・藤堂蓮には忘れられない過去がある。高校時代、告白した幼馴染の星宮瑠奈に「アイドルになるから」とこっ酷くフラれたことだ。
数年後、瑠奈は国民的アイドル『LUNA』として輝いていた。遠い世界の住人になった彼女との再会なんて、あるはずもなかった――そう、変装した彼女が俺の前に現れ、「もう一度やり直したい」と泣きつくまでは。
トップアイドルの立場を使い強引に迫る元幼馴染と、過去の傷。揺れ動く俺の日常を照らしてくれたのは、俺の才能を信じてくれる後輩・朝霧陽葵の存在だった。
俺をフッた幼馴染か、俺を支える後輩か。過去の清算と未来の選択を描く、ほろ苦くも甘い、逆転ラブコメディ、開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる