恋愛デュラハン~一年後、お前に告白する!~

junhon

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将を射んと欲すればまず馬を射よ!

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「おい、お前」

 校門を抜けたところで声をかけられ、恭子は振り返った。

「あ、今朝の……首藤くんだっけ?」

「ああ」

 首藤一騎は何やら格好をつけ、校門の表側に寄りかかっていた。

「よく私達の学校が分かったね?」

 その問いに一騎は無言で恭子の制服を指差した。

「ああ。ま、制服でバレちゃうか」

「そう言う事だ」

「雪ちゃんならまだ生徒会の仕事の最中だよ」

「いや、待っていたのはお前だ」

「?」

「少し話がしたい。付き合ってくれ」

 そう言って一騎は返事も待たずに歩き出すのだった。


      ◆


「話ってなに? ま、雪ちゃんのことなんだろうけど」

 恭子は向かい合って座る一騎に問いかけた。

 木下恭子――十六歳の高校二年生。

 ただ、身長が150センチ未満と低く、童顔な事もあってよく中学生と間違えられる。

 だが胸やお尻は結構女らしいラインを描いていた。

 色素の薄い亜麻色の髪を肩の上で切りそろえ、まなじりの下がった目はどこか眠たそうだ。

「将を射るにはまず馬からだからな」

「そういうことを馬の前で言っちゃいけないと思うんだ」

「とにかく、その”雪ちゃん”についての情報が欲しい」

 一騎はテーブルに身を乗り出した。

 ここはファミレス『マグノリア』。二人の前にはとりあえずお冷やが置かれている。

「もちろんただじゃあないよね?」

 恭子はさも当然といった口調で訊ねた。

「ああ、好きなメニューを好きなだけ頼むといい。ここの払いは俺が持とう」

「OK」

 恭子はウェイトレスを呼ぶととりあえず『スペシャルデラックスジャンボパフェ』を注文した。

「まずは”雪ちゃん”の名前が知りたい」

「そんな事も知らずに声をかけてきたんだね」

「仕方ないだろう。一目惚れなんだ」

「千明雪乃。私と同じく十六歳の高校二年生」

「ふむふむ」

 一騎は得られた情報をスマホにメモしていく。

「来堂学園二年B組。生徒会副会長。成績は常に十位以内。運動も得意。性格は姉御肌ではっきりものを言うタイプ。家族構成は両親に妹が二人。あと猫三匹」

 恭子はつらつらと雪乃についての情報を口にしていった。

 そうこうするうちに『スペシャルデラックスジャンボパフェ』が運ばれてくる。

「うぉおおお!」

 恭子は目を輝かせながら早速一口。

「う~ん、おいしい~♡」

「今現在交際している男はいるのか?」

 一騎は最も重要な事柄について訊ねた。

「いないよ。よかったね」

「ふぅ……」

「雪ちゃんのどこが好きなの?」

 安堵の息を吐く一騎に恭子が訊ねる。

「そうだな。まず見た目が俺の好みだ。それに気の強そうなところもいい。ああいう女が俺にだけデレデレするところを想像すると超萌える」

「他には?」

「…………」

 その問いに一騎は答えることができない。

「うわ~、見た目だけなの?」

「一目惚れとはそういうものだろう。強いて言えば俺のDNAがあの女を孕ませろと命令するんだ」

「それは露骨すぎるんじゃないかな? そんなこと雪ちゃんに言ったらぶん殴られるよ?」

「いくら俺でもそんなセクハラな台詞を本人の前で口にはせんさ」

 一騎は自嘲ぎみに笑う。

「あと訊いていないのは住所と携帯番号、メアドなのだが……」

「さすがにそれは教えられないかな。頑張って本人から聞き出してよ」

「仕方あるまい」

「でもね。とっておきの情報を一つ教えてあげてもいい。ここの奢りとは別料金で」

「何だそれは?」

「雪ちゃんのスリーサイズ」

「一万払おう!」

 一騎は諭吉さんをテーブルに叩きつけるのだった。
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