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嵐の転校生!
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雪乃が一騎に告白予告をされてから一週間ほど経った。
あれ以来、一騎は雪乃の前に姿を見せてはいない。
どうやら諦めたかとすっかりその存在を忘れていた。
そんなある日の朝のホームルーム――
「皆さん、突然ですが転校生を紹介します」
担任の夏木恵里――二十九歳、独身――の言葉にクラスがざわついた。
今は五月下旬、こんな時期に転校生とは珍しい。
「入ってきなさい」
恵里は教室の戸口に向かって声をかける。
「失礼します」
扉を開け、背筋を伸ばして一人の少年が教室に入ってくる。
「な、な、な――」
「なんでアンタがここに!?」
その姿に思わず立ち上がった雪乃が大声を上げた。
「首藤一騎です。皆さんよろしくお願いします」
その疑問を聞き流し、一騎は頭を下げる。
「千明さん、お知り合い?」
「悪質なストーカーです!」
恵里の問いにそう雪乃は叫び返した。
「人聞きが悪いな。少し自意識過剰なんじゃないか? ――先生、彼女は俺のちょっとした知り合いです。できれば席は彼女の隣にしてもらえませんか?」
「え、ええと……」
恵里は二人の間で視線をさ迷わせる。どちらの言葉が正しいのか判断がつかないのだ。
「恭子、あなたはこいつのこと知っているわよね?」
雪乃は恭子に話を振った。
その恭子に向かって一騎は素早くハンドサインを繰り出す。
(スペシャルデラックスジャンボパフェ三つ)
恭子もハンドサインを返した。
(五つで)
(よかろう)
「雪ちゃん、こないだちょっと喧嘩したからって友達のことをそんな風に言うもんじゃないよ」
「き、恭子!?」
「ああ、そうなんですか。仲良くしないと駄目ですよ。では宅間くん、悪いけど席を譲ってくれるかしら?」
「あ、はい」
雪乃の隣の眼鏡をかけた小柄な少年――宅間は机を持ち上げると後ろの空席の方へと移動した。
一騎が代わりにその空席を雪乃の隣に運ぶ。
「これからよろしくな。お隣さん」
一騎は雪乃にそう声をかけ、ニヤリと笑うのだった。
◆
改めて一騎は自己紹介をし、恵里が諸連絡を伝えてホームルームが終わる。
「ちょっと来なさい」
雪乃は一騎の襟首を掴んで引きずり、教室の外へと出た。
階段下の陰に入ると、壁に背をつけた一騎の頭の横に手のひらを打ち付ける。
逆『壁ドン』である。
「どういうつもり? わざわざ私の学校にまで転校してくるなんて」
額に血管を浮かせながら雪乃が訊ねる。
「自意識過剰だと言っただろう。たまたま転校した学校にお前が居たんだ」
一騎は涼しい顔で答えるのだった。
「こんな時期に転校なんておかしいでしょうが!」
「実は前の学校で酷いイジメに遭っていてな。耐えきれなくなって転校したんだ」
「アンタイジメられるような柄じゃないでしょうが!」
「何を言う。俺は毎日戦々恐々としながら過ごしていたのだ」
自信満々に一騎は言った。
「傍若無人の癖によく言うわねっ」
「まあ、こうして同じクラスになれたのも何かの縁。仲良くしようではないか」
さすがにその部分にまで一騎の意思は関与していない。本当に偶然だった。
まさに天が一騎の味方をしてくれたのだ。一騎は運命の追い風を感じる。
「とにかく、これ以上私につきまとうと承知しないからね。半径三メートル以内に近づかないでっ」
そう言い捨てて雪乃はその場を後にした。
「……隣の席でそれは無理だろう」
その背中を見送りながら、一騎はそう呟くのだった。
あれ以来、一騎は雪乃の前に姿を見せてはいない。
どうやら諦めたかとすっかりその存在を忘れていた。
そんなある日の朝のホームルーム――
「皆さん、突然ですが転校生を紹介します」
担任の夏木恵里――二十九歳、独身――の言葉にクラスがざわついた。
今は五月下旬、こんな時期に転校生とは珍しい。
「入ってきなさい」
恵里は教室の戸口に向かって声をかける。
「失礼します」
扉を開け、背筋を伸ばして一人の少年が教室に入ってくる。
「な、な、な――」
「なんでアンタがここに!?」
その姿に思わず立ち上がった雪乃が大声を上げた。
「首藤一騎です。皆さんよろしくお願いします」
その疑問を聞き流し、一騎は頭を下げる。
「千明さん、お知り合い?」
「悪質なストーカーです!」
恵里の問いにそう雪乃は叫び返した。
「人聞きが悪いな。少し自意識過剰なんじゃないか? ――先生、彼女は俺のちょっとした知り合いです。できれば席は彼女の隣にしてもらえませんか?」
「え、ええと……」
恵里は二人の間で視線をさ迷わせる。どちらの言葉が正しいのか判断がつかないのだ。
「恭子、あなたはこいつのこと知っているわよね?」
雪乃は恭子に話を振った。
その恭子に向かって一騎は素早くハンドサインを繰り出す。
(スペシャルデラックスジャンボパフェ三つ)
恭子もハンドサインを返した。
(五つで)
(よかろう)
「雪ちゃん、こないだちょっと喧嘩したからって友達のことをそんな風に言うもんじゃないよ」
「き、恭子!?」
「ああ、そうなんですか。仲良くしないと駄目ですよ。では宅間くん、悪いけど席を譲ってくれるかしら?」
「あ、はい」
雪乃の隣の眼鏡をかけた小柄な少年――宅間は机を持ち上げると後ろの空席の方へと移動した。
一騎が代わりにその空席を雪乃の隣に運ぶ。
「これからよろしくな。お隣さん」
一騎は雪乃にそう声をかけ、ニヤリと笑うのだった。
◆
改めて一騎は自己紹介をし、恵里が諸連絡を伝えてホームルームが終わる。
「ちょっと来なさい」
雪乃は一騎の襟首を掴んで引きずり、教室の外へと出た。
階段下の陰に入ると、壁に背をつけた一騎の頭の横に手のひらを打ち付ける。
逆『壁ドン』である。
「どういうつもり? わざわざ私の学校にまで転校してくるなんて」
額に血管を浮かせながら雪乃が訊ねる。
「自意識過剰だと言っただろう。たまたま転校した学校にお前が居たんだ」
一騎は涼しい顔で答えるのだった。
「こんな時期に転校なんておかしいでしょうが!」
「実は前の学校で酷いイジメに遭っていてな。耐えきれなくなって転校したんだ」
「アンタイジメられるような柄じゃないでしょうが!」
「何を言う。俺は毎日戦々恐々としながら過ごしていたのだ」
自信満々に一騎は言った。
「傍若無人の癖によく言うわねっ」
「まあ、こうして同じクラスになれたのも何かの縁。仲良くしようではないか」
さすがにその部分にまで一騎の意思は関与していない。本当に偶然だった。
まさに天が一騎の味方をしてくれたのだ。一騎は運命の追い風を感じる。
「とにかく、これ以上私につきまとうと承知しないからね。半径三メートル以内に近づかないでっ」
そう言い捨てて雪乃はその場を後にした。
「……隣の席でそれは無理だろう」
その背中を見送りながら、一騎はそう呟くのだった。
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