恋愛デュラハン~一年後、お前に告白する!~

junhon

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首藤一騎の朝は早い

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 ピピピピピピピ!
 
 スマホにセットしたアラームの音で一騎は目を覚ます。
 
 寝袋から這い出すと、テントの前を開いた。
 
 今朝は少し冷え込んだようだ。朝靄の中、テントを出た一騎は大きく背伸びをする。
 
 テント横の荷物の中から折りたたみ式のテーブルを取り出すと、その上で調理を始めた。
 
 ホットサンドメーカーに食パンと具材を挟んでカセットコンロに掛ける。
 
 その横ではバーナーでお湯を沸かした。
 
 さらにフライパンでハムと目玉焼きを焼き上げる。
 
 沸かしたお湯でコーヒーを淹れれば朝食の完成だ。
 
「いただきます」

 そうして朝食を食べ終えた頃、再びスマホのアラームが鳴った。
 
「む、そろそろだな」

 一騎は望遠鏡を取り出してセットした。
 
 ここは住宅街を望む高台だ。一騎は眼下のとある一軒家に望遠鏡を向けていた。
 
 レンズの中では一人の少女がカーテンを開け、あくびをしながら背伸びする。
 
「おはよう、千明」

 遥か遠くからその少女に語りかけた後、一騎は望遠鏡から顔を上げた。
 
 ポリタンクの水を使い、歯磨きと洗顔を済ませた後、テントに戻る。
 
 学生服に着替えた一騎は、テントをたたんでトイレの裏へと隠した。
 
 そう、一騎がテントを張っていたのは高台に設けられたとある公園だ。
 
 もう三日ほど、転校する前から夜はこの公園で過ごし、雪乃の様子をうかがっているのだ。
 
 完全にストーカー行為なのだが、本人は雪乃を攻略する為に観察しているだけと考えている。
 
 そして一騎は公園を出ると、麓の街に向かって歩き出すのだった。
 
 
       ◆
       
       
「げ……」

 家を出て駅への道を歩いていた雪乃は、視線の先に一騎の姿を見つけてものすごく嫌そうな顔をした。
 
 しかし、引き返すのも馬鹿馬鹿しいのでそのまままっすぐ歩いて行く。
 
「おはよう、千明」

 一騎は片手をあげ、朗らかに挨拶する。

「……おはよう」

 一方、雪乃の気分は最悪だった。

「どうした? 朝から浮かない顔だな」

「原因はあんたよ……」

 無視したいところだったが、それならそれで一騎はしつこくつきまとってくるだろう。
 
「友達に向かってそれはないんじゃないか?」
 
「そうよね。友達になっちゃったのよね……」

「そういう事だ。ならば軽快なトークでも交わしながら学校に向かおうではないか」

 そう言って一騎は先に立って歩き始める。
 
「……最悪だわ」

 雪乃はげんなりした顔でその後ろに続くのだった。
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