25 / 123
第2章 幼子たちは、もふもふな子守役と出会う
2-6
しおりを挟むフワフワと漂っていたしずくの意識が少しずつ集まってきた。
(光がチラチラして、眩しいなぁ、なんで~?
う~んとそーだった、此処は御山の洞穴じゃないんだ~!
湖の岸近くの巨木のうろの中で、ひと休みのつもりだったのに~
そうだった、探検中だ、ゆきとかすみを待たせてるんだ、起きなくちゃ~
ちびっこゆきとちびっこかすみにお願い、ぐるぐる駆け回ってぽかぽかにな~れ~)
しずくは意識も視界もようやくはっきりしてきて、辺りを窺いながらゆっくり目を開けた。
(凸凹だけど、白くて良い匂いがする木の壁と床、それに天井も高くて、光も風も程よく通る~?
凄いいい部屋?いい家?だねぇ~)
しずくの視線がゆきとかすみに行くと、向こうも起きてしずくの様子を窺っていた。
「ゆち、かしゅみ、おまたしぇしまちた~
よーく、やしゅめまちたか?」
「わふっ!わふっ!(おきた、おきた!)」
「ぴぃ~ぴぴっ!(おきた、げんき!)」
起きたしずくの挨拶に対して元気な返事をすると、ゆきもかすみもそれぞれ体を動かし始めた。
(随分と、いい返事だな~
とっくに起きて待っていてくれたんだね~
そんなに待ちきれないほど、たのしみにしてたのに、私を休ませてくれたのかな~)
ゆきは前足を揃え背中を反らせて伸ばし、しっぽをお尻ごとふりふりしている。
かすみも頭から足まで延ばし、羽まで広げて尾羽と合わせてフルフルしている。
しずくもそれを真似て手足をブルブルしてみた。
「ゆちもかしゅみも、かわいーうんどーで、よーいでちてましゅね~
しずくも、よーいでちまちた~
さーどこかや、みまちょうか~?」
しずくが、先ずはゆきとかすみに相談してみると、体を動かし終えたかすみは、とある壁の窪みの中でしきりに飛び跳ね始めた。
同時にゆきはしずくに体をぐいぐい寄せて、かすみのいる方へ押しやろうとしてきた。
「しょこが、きになゆ、でしゅか?」
しずくがゆきに押されるまま、かすみが居る所まで来てみると、その窪みは床から天井まで続く斜路になっていた。
しかもご丁寧に段差がついて滑り止めになっていた。
(これはもう、階段でいいよね~)
「にょぼってみよーか?」
「わふっ!」「ぴぴっ!」
だがしずくが段を登ろうとするより一足先に、足元をゆきが駆け上がっていき、かすみの方は天井まで飛んで行ってしまった。
(待ちくたびれてたせいかな~
おいて行かれたし、諦めてひとりでのぼっていこうか~)
しずくは天井と窪みの陰に入りこみ見えなくなったゆきとかすみの姿を探して、階段を登っていった。
しずくは、そのまま陰を抜けて天井裏に入り込んだはずだった。
しかし陰を抜けた先は、さっきまでいた場所と同じかそれ以上に、広くて明るい部屋だった。
おまけに更に上へと続く階段もあるようで、ゆきとかすみはまたもや天井裏(?)に行ってしまった。
「ゆち、かしゅみ、まっちぇくだちゃい…」
「わふっ!わふ…(こっち、ここ~)」
「ぴぃーぴぴっ!(こっち、ここだよ!)」
しずくを呼んでいる様なので、とりあえずそのまま階段を上ると、やはりそこには同じような部屋があり、階段があった。
ただ一つ違っていたのが、壁に穴がありそこから外が覗けるらしい事だった。
(窓まであるんだ、すごいね~
覗いてみたいな、届くかな~?)
残念ながらその穴の位置は高く、しずくもゆきも手が届かなくて覗き込めなかった。
「かしゅみ、おしょと、みえましゅか~?」
穴のふちに止まったかすみが外を覗いてみてくれた。
「ぴぃーぴるぴる~(こっち、ここだよ!)」
かすみが頷いているので、しずくとゆきも試しに階段を途中まで登ってみた。
そうして何とか窓の外を窺うことはできたが、離れた所から少し明るい光が見えるだけだった。
(こうなると、きちんと外が見たくなる~)
「ゆち、かしゅみ、もっちょ、うえいちまちょ~」
そのまま上に登ってみれば、やはりそこも同じような部屋で、ただ窓の位置が少し低いのだった。
「ゆち、おしょと、みえましゅか?」
その高さはしずくが覗ける、ぎりぎりの位置だった。
その為ゆきはしずくの肩に乗るようにして穴へと身を乗り出した。
ようやく幼子達はそろって外を眺めたのだった。
1
あなたにおすすめの小説
没落貴族とバカにしますが、実は私、王族の者でして。
亜綺羅もも
恋愛
ティファ・レーベルリンは没落貴族と学園の友人たちから毎日イジメられていた。
しかし皆は知らないのだ
ティファが、ロードサファルの王女だとは。
そんなティファはキラ・ファンタムに惹かれていき、そして自分の正体をキラに明かすのであったが……
治癒魔法で恋人の傷を治したら、「化け物」と呼ばれ故郷から追放されてしまいました
山科ひさき
恋愛
ある日治癒魔法が使えるようになったジョアンは、化け物呼ばわりされて石を投げられ、町から追い出されてしまう。彼女はただ、いまにも息絶えそうな恋人を助けたかっただけなのに。
生きる希望を失った彼女は、恋人との思い出の場所で人生の終わりを迎えようと決める。
追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
緑の指を持つ娘
Moonshine
恋愛
べスは、田舎で粉ひきをして暮らしている地味な女の子、唯一の趣味は魔法使いの活躍する冒険の本を読むことくらいで、魔力もなければ学もない。ただ、ものすごく、植物を育てるのが得意な特技があった。
ある日幼馴染がべスの畑から勝手に薬草をもっていった事で、べスの静かな生活は大きくかわる・・
俺様魔術師と、純朴な田舎の娘の異世界恋愛物語。
第1章は完結いたしました!第2章の温泉湯けむり編スタートです。
ちょっと投稿は不定期になりますが、頑張りますね。
疲れた人、癒されたい人、みんなべスの温室に遊びにきてください。温室で癒されたら、今度はベスの温泉に遊びにきてくださいね!作者と一緒に、みんなでいい温泉に入って癒されませんか?
【完結】恋につける薬は、なし
ちよのまつこ
恋愛
異世界の田舎の村に転移して五年、十八歳のエマは王都へ行くことに。
着いた王都は春の大祭前、庶民も参加できる城の催しでの出来事がきっかけで出会った青年貴族にエマはいきなり嫌悪を向けられ…
モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します
みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが……
余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。
皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。
作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨
あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。
やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。
この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる