幼子達と子守役のモフモフたちと

神無月

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第2章 幼子たちは、もふもふな子守役と出会う

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 フワフワと漂っていたしずくの意識が少しずつ集まってきた。

 (光がチラチラして、眩しいなぁ、なんで~?

 う~んとそーだった、此処は御山の洞穴じゃないんだ~!

 湖の岸近くの巨木のうろの中で、ひと休みのつもりだったのに~

 そうだった、探検中だ、ゆきとかすみを待たせてるんだ、起きなくちゃ~

 ちびっこゆきとちびっこかすみにお願い、ぐるぐる駆け回ってぽかぽかにな~れ~)


しずくは意識も視界もようやくはっきりしてきて、辺りを窺いながらゆっくり目を開けた。


 (凸凹だけど、白くて良い匂いがする木の壁と床、それに天井も高くて、光も風も程よく通る~?

 凄いいい部屋?いい家?だねぇ~)


しずくの視線がゆきとかすみに行くと、向こうも起きてしずくの様子を窺っていた。

 「ゆち、かしゅみ、おまたしぇしまちた~

 よーく、やしゅめまちたか?」


 「わふっ!わふっ!(おきた、おきた!)」

 「ぴぃ~ぴぴっ!(おきた、げんき!)」

起きたしずくの挨拶に対して元気な返事をすると、ゆきもかすみもそれぞれ体を動かし始めた。

 (随分と、いい返事だな~

 とっくに起きて待っていてくれたんだね~

 そんなに待ちきれないほど、たのしみにしてたのに、私を休ませてくれたのかな~)


ゆきは前足を揃え背中を反らせて伸ばし、しっぽをお尻ごとふりふりしている。

かすみも頭から足まで延ばし、羽まで広げて尾羽と合わせてフルフルしている。

しずくもそれを真似て手足をブルブルしてみた。

 
 「ゆちもかしゅみも、かわいーうんどーで、よーいでちてましゅね~

 しずくも、よーいでちまちた~

 さーどこかや、みまちょうか~?」


しずくが、先ずはゆきとかすみに相談してみると、体を動かし終えたかすみは、とある壁の窪みの中でしきりに飛び跳ね始めた。

同時にゆきはしずくに体をぐいぐい寄せて、かすみのいる方へ押しやろうとしてきた。


 「しょこが、きになゆ、でしゅか?」


しずくがゆきに押されるまま、かすみが居る所まで来てみると、その窪みは床から天井まで続く斜路になっていた。

しかもご丁寧に段差がついて滑り止めになっていた。


 (これはもう、階段でいいよね~)

 「にょぼってみよーか?」

 「わふっ!」「ぴぴっ!」


だがしずくが段を登ろうとするより一足先に、足元をゆきが駆け上がっていき、かすみの方は天井まで飛んで行ってしまった。

 (待ちくたびれてたせいかな~

 おいて行かれたし、諦めてひとりでのぼっていこうか~)


しずくは天井と窪みの陰に入りこみ見えなくなったゆきとかすみの姿を探して、階段を登っていった。

しずくは、そのまま陰を抜けて天井裏に入り込んだはずだった。

しかし陰を抜けた先は、さっきまでいた場所と同じかそれ以上に、広くて明るい部屋だった。

おまけに更に上へと続く階段もあるようで、ゆきとかすみはまたもや天井裏(?)に行ってしまった。


 「ゆち、かしゅみ、まっちぇくだちゃい…」

 「わふっ!わふ…(こっち、ここ~)」

 「ぴぃーぴぴっ!(こっち、ここだよ!)」

しずくを呼んでいる様なので、とりあえずそのまま階段を上ると、やはりそこには同じような部屋があり、階段があった。

ただ一つ違っていたのが、壁に穴がありそこから外が覗けるらしい事だった。

 (窓まであるんだ、すごいね~

 覗いてみたいな、届くかな~?)


残念ながらその穴の位置は高く、しずくもゆきも手が届かなくて覗き込めなかった。
 
 「かしゅみ、おしょと、みえましゅか~?」

穴のふちに止まったかすみが外を覗いてみてくれた。

 「ぴぃーぴるぴる~(こっち、ここだよ!)」

かすみが頷いているので、しずくとゆきも試しに階段を途中まで登ってみた。 


そうして何とか窓の外を窺うことはできたが、離れた所から少し明るい光が見えるだけだった。

 (こうなると、きちんと外が見たくなる~)


 「ゆち、かしゅみ、もっちょ、うえいちまちょ~」

そのまま上に登ってみれば、やはりそこも同じような部屋で、ただ窓の位置が少し低いのだった。


 「ゆち、おしょと、みえましゅか?」

その高さはしずくが覗ける、ぎりぎりの位置だった。

その為ゆきはしずくの肩に乗るようにして穴へと身を乗り出した。

ようやく幼子達はそろって外を眺めたのだった。 

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