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第2章 幼子たちは、もふもふな子守役と出会う
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しおりを挟むしずくを始めそれぞれが、自力で水玉を捕まえて飲んだことで、幼子たちは殊の外満足そうに喜んでいた。
そんなことで?と不思議に思う案内人だったが、そういえばとても幼いのだったと思い出した。
『…幼いころは、何を見ても聞いても驚きでいっぱいなの、あたりまえだったはずなの。
この子たち見た目よりしっかりしてて、忘れそうになるの、気をつけないとなの。』
一休みした所で、一行は次の場所に移動するため道に向かった。
内壁から突き出た形の道だったが、道幅は広いし平らで歩き易そうだ。
しかも道端には所々に枝状のものが生えていて、それが柵のように並んでいて、安全に歩けそうだ。
広場から壁沿いの道に出てすぐに、かすみがその枝でできた柵状のものに跳んで行ってその上に止まった。
(その枝には私も気になってたんだよね~)
「ぴぃ~ぴぴっ!ぴぴ?(これいっぱい、これなに?)」
小首をこてんと傾げて尾羽で足元を指し示すかすみに対して、案内人は少し慌てたようだ。
長い耳を左右に広げて、バタつかせて云った。
『そこは見た目よりも、脆い場所なの。
あまり衝撃を与えるのは良くないの。
そっと戻ってほしいなの。
私達も触れないように歩く、なの。』
かすみはすぐにしずくの頭上に戻ってきたが、羽をばたつかせ尾羽を揺らせ、不満そうにしていた。
(どうやらかすみは、あの場所は安全だと云いたいようだね~)
「かしゅみ、おけがないでしゅね?
あちょこは、かちゃいとこ、だったでしゅか、よかったでしゅ~」
『では次にあの穴を覗いてみる、なの。』
何事もなかったかのように先へ進もうとする案内人に対して、しずくは思い切って質問を挟んだ。
「しょれで、あの枝でできた柵みたいのは、なんでしゅか?
なんか、光ってゆ、みたいでしゅね~」
その枝でできた柵に見える物は、驚いたことにほんのりと光って見えた。
(気になる~絶対聞かないとね!)
ため息をついた案内人が、広げた長い耳をゆっくりと揺らしながら答えてくれた。
『聞かれたくなかった、なの。
あれについてはあまり言えることがない、なの。
あれは実はこの巨木のうろの中なら、あちらこちらにある物なの。
あれが光ってるおかげでこの中は明るいといわれてる、なの。
後さっきも言ったけど、あれは急に折れたり壊れることがある、なの。
高いところから物が落ちると、とても危ない、なの。
だから、折れそうなのを見かけたら、すぐに下にいる者たちに知らせる事になってる、なの。
あなたたちも見かけたら、誰でもいいから知らせてほしい、なの。
それから知らせを聞いた時には、すぐに内壁際に避けるといい、なの。
安全のためなの。
大事なお知らせなの。』
またもや、一息に説明された。
その間も、長い耳が広がってはばたついて、幼子たちの目の前を薄紅色の波が寄せてくるようだ。
それに気を取られて、このままでは話が流されてしまいそうだと、しずくは慌てて口をはさんだ。
「わかりまちた、きをちゅけましゅ。
しょれで、あれはこの樹にょ、枝でしゅか?」
しずくがもう一度尋ねると、案内人は薄紅色の波をぴたりと止めて耳を伏せ、ため息を吐いた。
『はぁ~私は、本当に知らない、なの。
少なくとも本来の巨木の枝葉とは、まるで似てない、なの。
でも何か他の木の枝葉なのかとなると、それも分からない、なの。』
それから幼子たちは話をしながらも、周りも見渡しながらゆっくりと歩きだした。
『大体普通、枝葉は光らないの。
しかもあれは、今の所巨木のうろの中だけで、見つかってるものなの。
全く訳が分からない、なの。』
案内人の長い耳は、歩みに合わせてゆらゆら揺れながら、時々ピシッと伸びては、あちらこちらにある光る枝状のものを指していく。
『道端から空中に突き出た、柵状の物が一番多い、なの。
あと、内壁のところどころに空洞があるのだけど、その入り口の上にも大抵別の形の物がある、なの。
空洞の中の天井にできる形の物もある、なの。
その場合はその空洞の中、周り一面を明るくしてるらしい、なの。
お陰でこの巨木のうろの中に、暗い場所はほとんどないの。
あれについては、とにかくそういったものだと思ってほしいの。』
案内人の話を聞いているうちに、幼子たちは目的の場所に着いたようだった。
案内人が歩みを止めて振り返り、すぐわきにある空洞の、入り口上部をびしっと耳指した。
もう少しで耳が届きそうな位置に、入り口の上から垂れ下がっている光る枝葉があるような、小さい穴だ。
『空洞の入り口の物は、こんな形なの。
あなたたちには、まずこの奥の空洞を見せたかった、なの。
どうぞなの。』
幼子たちは、今度は穴の奥を耳指されて、案内人に先を譲られた。
勧められるままに、幼子たちはゆきを先頭にして穴の奥の空洞に入っていった。
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