幼子達と子守役のモフモフたちと

神無月

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第2章 幼子たちは、もふもふな子守役と出会う

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 金目の長のふわふわな羽毛に埋もれて、師匠のいない淋しさを癒した幼子たちは、もう一度もふっと深く羽毛に身を沈めてから顔を上げて言った。

 「きんめのおしゃ、ありまとごじゃました、げんきになりまちた。もーだいじょーぶでしゅ。」

 「くう~ん『ありがと~がんばる~』」

 「ぴぴっ『つぎはいいとこみせる』」

恥ずかしそうにそれでも笑って、幼子たちはしがみついていた長の腹羽から離れた。


 そのあとは金目の長の、質問受付時間で、幼子たちは思いついたものから尋ねた。

 「ぴぴ~っ?『ここにいっぱいすんでる?』」

 「わふん?『のぼったらおへやいっぱい?』」

 「ひろばですこち、すがたをみかけまちたけど、まだまだおへや、いっぱいありましゅよね?そーききまちた。

 でもあんまり、あえなくて、おはなしちてないでしゅ。いちゅもはここに、いないでしゅか?」

『ほほっ、この巨木にもまわりの森にも、たくさんの者が住んでいますがの~今は他の森の沢山の長たちが滞在中ですからの~遠慮しているのでしょうかの~

今しばらくは、見かけたら尻尾でも羽でも振って、挨拶するだけにしてくれますかの~』

ここに住む者たちと仲良くなるのは、先になりそうだった。


それならまずは、この森の様子を知りたいとなった。

 「わふっ!『おそといっしょにさんぽしたい!』」

 「ぴっぴ~っ『もりのきのはなしききたい!』」

 「おそとで、きをみて、おはなしききたいでしゅ。おしゃしゃんといっちょなら、おそとへいっても、いいでしゅか?」

 『ほほっ、構いませんぞ、大歓迎ですかの~今すぐは無理ですがの~近いうちに、儂と一緒にお外へ行きましょうかの~』

 『その時には、我も同行して、幼子たちを運ぶのである。我らの森にも連れて行くのである。』

 『ふむ、では金目の長が手すきになるまでには、一度くらい私が直接、巨木内を案内しよう。今からでも行くか?』 

いつの間にか蒼い鬣と翠の長い耳が、幼子たちと雲の羽毛とのお喋りに、しれっと混ざっていた。


 『ほほっ、蒼い鬣の長と若葉の長は、休憩ですかの~、それとも早くも会得しましたかの~』

それに気が付いていた金目の長は、こちらもしれっと返した。

 『ふむ、おそらく会得したと思うが、確認が必要か。ふーむ…壁際の隅に、金目の長の羽毛を見つけたでは足りぬか?』

 『我はもう少しかと思うのである。いきなり目の前の様子が違って見えて、驚いて力の流れを止めてしまったのである。

ひと休みしてから、再挑戦するのであるが、今は幼子たちとお話である。』


いつの間にか増えていた話し相手に、幼子たちは大喜びした。何よりその提案は、どちらも幼子たちには魅力的な話なのだから。

 「わふっ!『いっしょにおさんぽ~』」

 「ぴっ、ぴぴ~『おでかけしておはなしきく!』」

 「わわっ、おでかけとおしゃんぽの、おやくそくが、いっぱいでしゅ~うれしーでしゅ~」

手足から尻尾や尾羽まで振って歓ぶ幼子たちに、提案していた長たちもまんざらでもない。其方の尻尾や翼もゆったり揺れている。

 『ほほっ、ではまず若葉の長と一緒に、巨木内のお散歩ですかの~

 ついでに柵枝の見回りも行えば、見分けが出来てるか、幼子たちに確認してもらえますがの~』

一番手を譲る代わりとばかりに、のほほんとそんなことをのたまう金目をちらりと見て、翠色の長い耳をサッと振った若葉色の長は、

 『ふむ、ではそのように。あなた方が良ければ、今すぐ行こう。』

こともなげに答えた。

驚いたのは幼子たちで、今度は慌てておたおたしている。

 「いましゅぐ、でしゅか?」

話が急に変わりすぎたらしい。そこで水を飲んで一休み入れてから、順を追って、説明がなされた。

先ずは若葉の長と一緒に、巨木内をお散歩する。この時、黒い柵枝が見つけたら、若葉の長に教える。

金目の長と蒼い鬣の長の準備が出来たら、一緒に、巨木の森のお散歩に出かける。

ここに慣れてきたら、他の森にもお散歩に行く。そしていつか蒼い鬣の長の森にもお出かけして、お泊りする。


この長期計画に、幼子たちは再び喜び騒いで、疲れて眠ってしまった。

この計画が実行されるのは、まだ先のようだ。




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