幼子達と子守役のモフモフたちと

神無月

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第3章 幼子たちと子守役たちはモフモフ巡りをする

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 巨木の森の根っこ道を、幼子たちお散歩隊は新たに薄紅色の尻尾を加えて歩いていた。

みかん色の尻尾お目付け役の提案で、中央の巨木から隣の巨木に続く根っこ道を、最優先で覚えることにした新お散歩隊だが、よく使われているので見分けやすくツルピカな道だったので、幼子たちは楽しく散歩していた。

迷いなく危なげなく進むゆきやかすみに対して、しずくは目をキョロキョロさせて、ふらふら歩いていた。後ろに続く薄紅色の尻尾とみかん色の尻尾が、ハラハラしているとは気づいていなかった。

 「あしょこに、だれか、いましゅね~こにちわ、おはなし、・・・」

そして道の脇に見慣れた姿の毛玉を見つけて駆け出して、根っこ道から転げ落ちそうになった。
すかさず薄紅色の尻尾が、それまではしずくをそっと包んでいた保護の力を少し強めて、根っこ道の上に引き戻した。

 『暴走させることなく、丁寧な力の流れだったなのね~よくやった、この調子で頑張れなのね~』
こっそりと薄紅色の尻尾をほめると、みかん色の尻尾はしずくに近寄った。

何があった分からなくてぼーっとするしずくに、ゆきもかすみも心配して寄り添った。毛玉たち小さき者たちに怖がられるので、薄紅色の尻尾は離れたままおろおろしているしかない。

 「くう~ん『しずくいたい?おきて~』」
ゆきがたしたしと前足で無事を確かめた。

 「ぴぃ~『しずくけがない?めあけたままねてる?』」
かすみも尾羽を揺らして顔を撫で、起こそうとした。

みかん色の尻尾も、しずくを背中からのしかかるように柔らかい腹毛で包んで撫でた。

 『どこも痛めてなくてよかったなのね~枝道より歩き易いけど、根っこ道も足元には気を付けてなのね~

 急に守りの力が動いたから、きっと驚いたのね~でもあたしたちも驚いたなのね~薄紅色の尻尾が間に合ってよかったなのね~』

尻尾で撫でられ、優しく諭されて、しずくはやっと動いて大丈夫なのだと知らせた。

 「どこもいたくないでしゅ、ちんぱいかけてごめんでしゅ。うすべにいろのしっぽも、ありまとね~
こっちのちいしゃいもの小さき者も、おどろかして、ごめんなしゃい」

そして転ぶ前に見つけた見慣れた形の毛玉小さき者にも声をかけた。その毛玉は逃げ出さずに、じっと幼子たちお散歩隊を見ていた。

 『けがなくてよかった、なにかようかミィ…』『…どうした、はやくいくミィ…』『…おやぶんとほかにもいるミィ…』
ほかの毛玉まで、集まってきた。

 『…あたしたちは、新顔の幼子たちと、案内がてらのお散歩中なのね~』
みかん色の尻尾おやぶんを皮切りに、幼子たちも毛玉たち小さき者たち相手に話し出した。

 「くう~ん『どこいくの~』」「ぴぃ~『なにしにいくの~』」「いっちょにいってもいいでしゅか?」
興味津々だった。

 『くさのみ、さがすミィ…』『…そろそろたべごろミィ…』『…このあたりミィ…』『…みつけた、あったミィ…』
毛玉たちは、根っこ道の下、草むらで何か見つけた。

 『たべごろだミィ…』『…おやぶんにもわけるミィ…』『…おやぶんおひとつどーぞミィ…』『…ありがとうなのね~一緒に頂きましょうなのね~』

毛玉たちは見つけた草の実を、お散歩隊全員に分けてくれた。皆大喜びで受け取ったが、なかでも薄紅色の尻尾は喜びのあまり声も出ないありさまだ。
みかん色の尻尾も、薄紅色の尻尾に、
『これから仲良しになろうなのね、よかったなのね~
』と、声をかけていた。

そんな中でも幼子たちは気にしない、
 「わふっ『たべてもいい?』」「ぴぃ~『おいしそうなくさのみ~』」
早く食べたいと全身で訴えていた。なのにしずくは、

 「こいべにいろの、ちれいなくしゃのみでしゅ~いいにおいでしゅね~たしか、よびなが~」
何やら考えていて、いきなり

 「そーでしゅ、いちご、でちた。うさぎは、いちごたべるでしゅか~」
一人で答えて喜んでいた。

そのしずくに対して、ゆきとかすみは
 「ぴぃ?『いちご、くさのみのこと?』」
 「くうん?『うさぎ、わかばいろのおさのこと?』」
だったが、

 『この草の実の呼び名が・イチゴ・なのはいいのね~呼び名があると、便利なのね~

 ただ、・うさぎ・とは若葉色の長のことと聞いたのね~なのにしずくは、この色々な毛玉たち小さき者たちの呼び名というのかしらなのね~』

大事なことだったらしく、重ねて問いただされた。




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