51 / 123
第3章 幼子たちと子守役たちはモフモフ巡りをする
3-10
しおりを挟む巨木の森の根っこ道を、幼子たちお散歩隊は新たに薄紅色の尻尾を加えて歩いていた。
みかん色の尻尾お目付け役の提案で、中央の巨木から隣の巨木に続く根っこ道を、最優先で覚えることにした新お散歩隊だが、よく使われているので見分けやすくツルピカな道だったので、幼子たちは楽しく散歩していた。
迷いなく危なげなく進むゆきやかすみに対して、しずくは目をキョロキョロさせて、ふらふら歩いていた。後ろに続く薄紅色の尻尾とみかん色の尻尾が、ハラハラしているとは気づいていなかった。
「あしょこに、だれか、いましゅね~こにちわ、おはなし、・・・」
そして道の脇に見慣れた姿の毛玉を見つけて駆け出して、根っこ道から転げ落ちそうになった。
すかさず薄紅色の尻尾が、それまではしずくをそっと包んでいた保護の力を少し強めて、根っこ道の上に引き戻した。
『暴走させることなく、丁寧な力の流れだったなのね~よくやった、この調子で頑張れなのね~』
こっそりと薄紅色の尻尾をほめると、みかん色の尻尾はしずくに近寄った。
何があった分からなくてぼーっとするしずくに、ゆきもかすみも心配して寄り添った。毛玉たちに怖がられるので、薄紅色の尻尾は離れたままおろおろしているしかない。
「くう~ん『しずくいたい?おきて~』」
ゆきがたしたしと前足で無事を確かめた。
「ぴぃ~『しずくけがない?めあけたままねてる?』」
かすみも尾羽を揺らして顔を撫で、起こそうとした。
みかん色の尻尾も、しずくを背中からのしかかるように柔らかい腹毛で包んで撫でた。
『どこも痛めてなくてよかったなのね~枝道より歩き易いけど、根っこ道も足元には気を付けてなのね~
急に守りの力が動いたから、きっと驚いたのね~でもあたしたちも驚いたなのね~薄紅色の尻尾が間に合ってよかったなのね~』
尻尾で撫でられ、優しく諭されて、しずくはやっと動いて大丈夫なのだと知らせた。
「どこもいたくないでしゅ、ちんぱいかけてごめんでしゅ。うすべにいろのしっぽも、ありまとね~
こっちのちいしゃいものも、おどろかして、ごめんなしゃい」
そして転ぶ前に見つけた見慣れた形の毛玉にも声をかけた。その毛玉は逃げ出さずに、じっと幼子たちお散歩隊を見ていた。
『けがなくてよかった、なにかようかミィ…』『…どうした、はやくいくミィ…』『…おやぶんとほかにもいるミィ…』
ほかの毛玉まで、集まってきた。
『…あたしたちは、新顔の幼子たちと、案内がてらのお散歩中なのね~』
みかん色の尻尾を皮切りに、幼子たちも毛玉たち相手に話し出した。
「くう~ん『どこいくの~』」「ぴぃ~『なにしにいくの~』」「いっちょにいってもいいでしゅか?」
興味津々だった。
『くさのみ、さがすミィ…』『…そろそろたべごろミィ…』『…このあたりミィ…』『…みつけた、あったミィ…』
毛玉たちは、根っこ道の下、草むらで何か見つけた。
『たべごろだミィ…』『…おやぶんにもわけるミィ…』『…おやぶんおひとつどーぞミィ…』『…ありがとうなのね~一緒に頂きましょうなのね~』
毛玉たちは見つけた草の実を、お散歩隊全員に分けてくれた。皆大喜びで受け取ったが、なかでも薄紅色の尻尾は喜びのあまり声も出ないありさまだ。
みかん色の尻尾も、薄紅色の尻尾に、
『これから仲良しになろうなのね、よかったなのね~
』と、声をかけていた。
そんな中でも幼子たちは気にしない、
「わふっ『たべてもいい?』」「ぴぃ~『おいしそうなくさのみ~』」
早く食べたいと全身で訴えていた。なのにしずくは、
「こいべにいろの、ちれいなくしゃのみでしゅ~いいにおいでしゅね~たしか、よびなが~」
何やら考えていて、いきなり
「そーでしゅ、いちご、でちた。うさぎは、いちごたべるでしゅか~」
一人で答えて喜んでいた。
そのしずくに対して、ゆきとかすみは
「ぴぃ?『いちご、くさのみのこと?』」
「くうん?『うさぎ、わかばいろのおさのこと?』」
だったが、
『この草の実の呼び名が・イチゴ・なのはいいのね~呼び名があると、便利なのね~
ただ、・うさぎ・とは若葉色の長のことと聞いたのね~なのにしずくは、この色々な毛玉たちの呼び名というのかしらなのね~』
大事なことだったらしく、重ねて問いただされた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
卒業パーティーのその後は
あんど もあ
ファンタジー
乙女ゲームの世界で、ヒロインのサンディに転生してくる人たちをいじめて幸せなエンディングへと導いてきた悪役令嬢のアルテミス。 だが、今回転生してきたサンディには匙を投げた。わがままで身勝手で享楽的、そんな人に私にいじめられる資格は無い。
そんなアルテミスだが、卒業パーティで断罪シーンがやってきて…。
この世界、イケメンが迫害されてるってマジ!?〜アホの子による無自覚救済物語〜
具なっしー
恋愛
※この表紙は前世基準。本編では美醜逆転してます。AIです
転生先は──美醜逆転、男女比20:1の世界!?
肌は真っ白、顔のパーツは小さければ小さいほど美しい!?
その結果、地球基準の超絶イケメンたちは “醜男(キメオ)” と呼ばれ、迫害されていた。
そんな世界に爆誕したのは、脳みそふわふわアホの子・ミーミ。
前世で「喋らなければ可愛い」と言われ続けた彼女に同情した神様は、
「この子は救済が必要だ…!」と世界一の美少女に転生させてしまった。
「ひきわり納豆顔じゃん!これが美しいの??」
己の欲望のために押せ押せ行動するアホの子が、
結果的にイケメン達を救い、世界を変えていく──!
「すきーー♡結婚してください!私が幸せにしますぅ〜♡♡♡」
でも、気づけば彼らが全方向から迫ってくる逆ハーレム状態に……!
アホの子が無自覚に世界を救う、
価値観バグりまくりご都合主義100%ファンタジーラブコメ!
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
異世界ママ、今日も元気に無双中!
チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。
ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!?
目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流!
「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」
おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘!
魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
『異世界に転移した限界OL、なぜか周囲が勝手に盛り上がってます』
宵森みなと
ファンタジー
ブラック気味な職場で“お局扱い”に耐えながら働いていた29歳のOL、芹澤まどか。ある日、仕事帰りに道を歩いていると突然霧に包まれ、気がつけば鬱蒼とした森の中——。そこはまさかの異世界!?日本に戻るつもりは一切なし。心機一転、静かに生きていくはずだったのに、なぜか事件とトラブルが次々舞い込む!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる