幼子達と子守役のモフモフたちと

神無月

文字の大きさ
76 / 123
第3章 幼子たちと子守役たちはモフモフ巡りをする

3-35

しおりを挟む

 雨の中お散歩中の幼子たちゆき・かすみ・しずくは、・たけ・の森まで足を延ばしていた。そして、最初に見た・たけ・の切り株によじ登ったところで、二尾の長この森と草原の長の一行がやって来た。幼子たちはこの時、長たちは偶然同じ時と場所に来たのだと思っていた。
 「わふっ『わざわざここまで、けだまのおさんぽ?』」
 「しじゅくたちも、ここに、きまちたよ、ここは、あるきやしゅいから、かも~」
その時二尾の長きつねの背中から、声がした。
 『…おさなごが、やっとなきやんだにぃ。かわりに、おさをよんでるにぃ』
長の背中で、雨除けの・たけの皮・を支えていた毛玉小さき者が、雨除けを少し持ち上げて云った。おさは、しっぽで包んで守っていた、小型の・たけの切り株・を背中から降ろすと、覗き込んだ。
 『…どないしたんや、此処があの大切り株があった場所やでなぁ。落ち着いたんかなぁ。
あんまり泣くと、体に悪いで~お散歩で満足したかいな~それとも、ワイに、なんぞ頼みかいな~』
か細い心の声が、小型の・たけの切り株・から漏れ出てきた。
 『…ともだち、ちかくにいる、そこに、いく…』
長は切り株から、しっぽで小さな毛玉を持ち上げて、顔を寄せそのまま歩き出した。毛玉の小さな姿は、最初に巨大な切り株の中で見つかった時より、力なく思えた。
 『…こっちやな?ここに下りたいんやな?』
そして、幼子たちゆき・かすみ・しずくがよじ登っている大きな切り株に、そっと小さな毛玉を置いた。その小さな毛玉は、幼子たちのいる真ん中に向かって、もぞもぞ動き出した。
 『…ともだち、どこいく、ともだち、いかないで…』
あまりに弱々しい声に、思わずゆきとかすみはその小さな毛玉に寄り添って力を流してみた。
 『…ともだち、あたたかい、うれしい…』
しずくは、思い切って、以前と同じく切り株の中に溜まっていた輝いて見える水を、その幼子に飲ませてみた。前回は、水玉にするだけで誰も飲まなかった水を、今回はきちんと小さな毛玉に飲ませていった。
 『…ともだち、おみず、おいしい、あたたかい、もっと、おみず…』
水を飲むたびに声が力強く感じられて、幼子たちゆき・かすみ・しずくは交替で次々と水玉を作っては、小さな毛玉に飲ませていった。切り株に溜まっていた輝く水も、染み出さなくなるまで水玉を作っては、すべて飲ませてしまった。その様子を、二尾の長この森と草原の長とお供の毛玉たち小さき者たちは、息を呑んで見守っていた。
 『…ともだち、おみず、おいしかった、あたたかくなった、とてもうれしい、ありがと…』
そして、小さな毛玉の声が元気になると、大きく息を吐いた。
 『…何やよう分からんけど、とにかくそこの水を飲んで、元気になったんやな、もう大丈夫なんやな?』
 『…ねてるじかんがながいのは、おさないからとおもってたにぃ…』『…よわってるとおもわなかった、ごめんだにぃ…』
安心して謝罪を口にした毛玉たちに、小さな幼子ははっきりといった。
 『…あやまらないで、わたしは、ずっとねてたけど、げんきだった。いつも、ともだちが、ちかくにいて、げんきをくれてた。さっき、ともだちがとおくなって、きゅうにくるしく、かなしくなった。でも、もうだいじょうぶ、げんきに、なった。』
 『…ほな、その友達は、まだそこに居って、力を分けて呉れとるんやな?ずっと一緒に居るんやな?』
その時幼子たちゆき・かすみ・しずくは、知らないはずなのにどこか懐かしい声を聞いた。
 『残念ながらそうではないのだ。そこな幼子もその友達も、皆迷子なのだ。今まで探していて、ようやく見つけたのだ。』
 『その幼子の、本来共に居るはずの友達は、もうすぐここに現れるはずなのよ。それでこの森の長たちには、この子たちが現れたこの森で、この子たちを育ててほしいのよ。この場に湧いた水は、この辺りの力を強く含んでいるから、時々飲ませてあげればいいのよ。』
二尾の長この森と草原の長とお供の毛玉たち小さき者たちは、かしこまって答えた。
 『…御山の守護者様方の代わりになるよう、皆で力を合わせ、見守り育てます。』
 『期待している、頼んだのだ。さて、今までこの子に力を分けてくれて助かったのだ。ありがとう、迷子の幼子たち。』
 『この子はもう大丈夫、安心して、もうお家に戻りなさい、白い御山の幼子たち。』
幼子たちゆき・かすみ・しずくは、光に包まれた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

没落貴族とバカにしますが、実は私、王族の者でして。

亜綺羅もも
恋愛
ティファ・レーベルリンは没落貴族と学園の友人たちから毎日イジメられていた。 しかし皆は知らないのだ ティファが、ロードサファルの王女だとは。 そんなティファはキラ・ファンタムに惹かれていき、そして自分の正体をキラに明かすのであったが……

治癒魔法で恋人の傷を治したら、「化け物」と呼ばれ故郷から追放されてしまいました

山科ひさき
恋愛
ある日治癒魔法が使えるようになったジョアンは、化け物呼ばわりされて石を投げられ、町から追い出されてしまう。彼女はただ、いまにも息絶えそうな恋人を助けたかっただけなのに。 生きる希望を失った彼女は、恋人との思い出の場所で人生の終わりを迎えようと決める。

追放された悪役令嬢はシングルマザー

ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。 断罪回避に奮闘するも失敗。 国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。 この子は私の子よ!守ってみせるわ。 1人、子を育てる決心をする。 そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。 さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥ ーーーー 完結確約 9話完結です。 短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

酔っぱらったせいで、勇者パーティーを洗脳してしまった

透けてるブランディシュカ
ファンタジー
悪友のせいで酔ったら。(※重複投稿しています)仲仁へび

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

緑の指を持つ娘

Moonshine
恋愛
べスは、田舎で粉ひきをして暮らしている地味な女の子、唯一の趣味は魔法使いの活躍する冒険の本を読むことくらいで、魔力もなければ学もない。ただ、ものすごく、植物を育てるのが得意な特技があった。 ある日幼馴染がべスの畑から勝手に薬草をもっていった事で、べスの静かな生活は大きくかわる・・ 俺様魔術師と、純朴な田舎の娘の異世界恋愛物語。 第1章は完結いたしました!第2章の温泉湯けむり編スタートです。 ちょっと投稿は不定期になりますが、頑張りますね。 疲れた人、癒されたい人、みんなべスの温室に遊びにきてください。温室で癒されたら、今度はベスの温泉に遊びにきてくださいね!作者と一緒に、みんなでいい温泉に入って癒されませんか?

【完結】恋につける薬は、なし

ちよのまつこ
恋愛
異世界の田舎の村に転移して五年、十八歳のエマは王都へ行くことに。 着いた王都は春の大祭前、庶民も参加できる城の催しでの出来事がきっかけで出会った青年貴族にエマはいきなり嫌悪を向けられ…

モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します

みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが…… 余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。 皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。 作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨ あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。 やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。 この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。

処理中です...