幼子達と子守役のモフモフたちと

神無月

文字の大きさ
118 / 123
第4章 もふもふな幼子たちと子守役は森にお出掛けする

4-37

しおりを挟む


 草原から森に入ると、草も木の葉もしっとりとしていて、風までが濡れている様だった。それでも、二尾の長森と草原の長の足取りは変わらず、慎重に軽快に森を抜けていった。
その背中に陣取った白い御山の幼子たちゆき・かすみ・しずく二尾の長の森の幼子たちきょかととうかは、二尾の長の危なげない足取りに全幅の信頼を寄せて、吞気に濡れた森を観察していた。
 「ぴぃ~『くさはらよりも、はっぱが、ぬれてる、ぜんぜん、かわいてない!』」
 「きのねもとに、おみじゅ、たまってましゅ、つちも、どろどろでしゅね~きがいっぱい、はえてても、かわかない、でしゅか~」
 「ちちっ『とうかたち、しってる、かわくのは、おうちのき丸岩の樹のある、おかだけ!』」
 「わふっ『きのねもくさも、ぬれてて、すべりやすい、でもおさは、きにしないで、あるいてる!ちからも、つかってない!』」
 「くう~ん『きょかたちのおさは、じょうずに、もりをあるく!けだまたち、ほめてた!』」
 「ぴぃ~『おさは、ちからをいっぱい、つかったばかり、きっとまだ、ちからはもどっていない!』」
 「ちちっ『とうかたちのおさは、いつもは、ちからつかわない!けだまたち、いってた!』」
 「ちいさいけだまと、いっちょのとき、にびのおさは、ちからつかわなかった、でしゅね~やさしーおさ、でしゅね~」
 「くう~ん『そう、きょかたちのおさは、とてもすごくて、やさしい!』」
きょかもとうかも、嬉しそうに自分たちの長を自慢していた。それから興味津々な目で、白い御山の幼子たちに尋ねた。
 「ちちっ『ともだちの、もりのおさは、どんなおさ?』」
唐突な問いかけだったが、白い御山の幼子たちゆき・かすみ・しずくは迷いなく答えた。
 「しじゅくたちのもりのおさは、ふわふわでもこもこなはねでしゅ、とーてもあったか、ぽかぽかでしゅ~」
 「ぴぃ~『かすみたちのおさは、とてもしずかに、ふわっととびあがって、すいーってとぶ!とってもじょうず!』」
 「「わふっ『ゆきたちのおさは、きんめ!なんでもみえて、なんでもしってる!』」
 「『『それで、とってもやさしい!』』」
白い御山の幼子たちも、負けずに自分たちの長を自慢した。そうやってお互いに自分たちの森の長を自慢し合っているうちに、周りの森は・たけ・の森になっていた。
 『ふう、何とか無事に到着したなぁ。きょかもとうかも、一番大きな・たけ・の切り株の上に下ろすで~そんでうろに溜まった光る水(幼子の成長に必要な特別な水)を、飲めるだけ飲んどいてな。
 さて、白い御山の幼子らはどないする?一緒に光る水を飲んでみるか、それともその辺りを歩いてみるか?』
自分の森の幼子たちきょかととうかを光る水へと押しやって、二尾の長はこっそりと白い御山の幼子たちに問いかけた。
 「どーしましょうか~のこったおみじゅを、のんでみましゅか?」
光る水を夢中で飲んでいるきょかととうかを見ると、ぺろぺろぴちゃぴちゃと、飲む量よりこぼす方が多くて飲み終わるには時間がかかりそうだった。そんな幼子たちを、二尾の長と白い御山の幼子たちは、見守りつつ話し合った。
 『そう言えば、さっき漏れ聞いたんやが、金目ってなんや、どんな眼や?幼子らの森の長の話、やったよな?』
 「わふっ『おさのめ、ゆきたちには、ひかってみえる、だからきんめ!』」
 「ぴぃ~『それだけでなく、いつでも、どこでも、なんでもみえる、それが、きんめ!』」
 「しょれは、おおげさでしゅよ!でも、くらくても、へいきでしゅ。あと、ちからの、ながれも、みえるでしゅ。くんれん、しなくても、みえるのが、きんめでしゅ。」
 「ぴぃ~『かすみたち、がんばって、くんれんして、みえるようになった!でもおさは、はなしをきくだけで、みえるようになった。』」
 「わふっ『ゆきたちのおさは、すぐにつかいこなしてた、すごかった!』」
白い御山の幼子たちは、金目の長の自慢話をしながら、巨木の立ち並ぶ森を思い出していた。
 「『『あぁ、おうちに、かえりたいな~』』」
幼子たちがポツンと零すと共に、その体が薄っすらと光り始めた。
 『そうか、帰る時間なんやな…。
きょかもとうかも、友達にお家から御迎えが来たで~
きちんと挨拶するなら、こっちにおいでや~』
慌ててきょかととうかがやってきて、光り出した幼子たちを見た。
 「ちちっ『ともだち、もうかえる?たのしかった、もっと、あそびたかった!』」
 「くう~ん『ともだち、ゆき、かすみ、しずく、たのしかった。よびな、うれしかった、ありがと。また、あそぼう!』」
 「『『そーだね、またあそぼーね~』』」
 『白い御山の長たちに、宜しく言うといてな~・かばん・と種を持って帰るんやーと、しっかりと覚えとくんやで~』
 「『『わかりまちた、ありがとでしゅ~』』」
一瞬だけ眩しく光って、きょかととうかが目を開けた時には、そこには誰も居なかった。
 『『ぐすっ…ともだち、かえっちゃった!』』
 『そうやな、でもきっとまた会えるやろ、そしたらまた一杯、お話ししような。』
二尾の長は、しばらくの間、泣き出したきょかととうかを慰め続けることになった。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

没落貴族とバカにしますが、実は私、王族の者でして。

亜綺羅もも
恋愛
ティファ・レーベルリンは没落貴族と学園の友人たちから毎日イジメられていた。 しかし皆は知らないのだ ティファが、ロードサファルの王女だとは。 そんなティファはキラ・ファンタムに惹かれていき、そして自分の正体をキラに明かすのであったが……

治癒魔法で恋人の傷を治したら、「化け物」と呼ばれ故郷から追放されてしまいました

山科ひさき
恋愛
ある日治癒魔法が使えるようになったジョアンは、化け物呼ばわりされて石を投げられ、町から追い出されてしまう。彼女はただ、いまにも息絶えそうな恋人を助けたかっただけなのに。 生きる希望を失った彼女は、恋人との思い出の場所で人生の終わりを迎えようと決める。

追放された悪役令嬢はシングルマザー

ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。 断罪回避に奮闘するも失敗。 国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。 この子は私の子よ!守ってみせるわ。 1人、子を育てる決心をする。 そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。 さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥ ーーーー 完結確約 9話完結です。 短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

酔っぱらったせいで、勇者パーティーを洗脳してしまった

透けてるブランディシュカ
ファンタジー
悪友のせいで酔ったら。(※重複投稿しています)仲仁へび

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

緑の指を持つ娘

Moonshine
恋愛
べスは、田舎で粉ひきをして暮らしている地味な女の子、唯一の趣味は魔法使いの活躍する冒険の本を読むことくらいで、魔力もなければ学もない。ただ、ものすごく、植物を育てるのが得意な特技があった。 ある日幼馴染がべスの畑から勝手に薬草をもっていった事で、べスの静かな生活は大きくかわる・・ 俺様魔術師と、純朴な田舎の娘の異世界恋愛物語。 第1章は完結いたしました!第2章の温泉湯けむり編スタートです。 ちょっと投稿は不定期になりますが、頑張りますね。 疲れた人、癒されたい人、みんなべスの温室に遊びにきてください。温室で癒されたら、今度はベスの温泉に遊びにきてくださいね!作者と一緒に、みんなでいい温泉に入って癒されませんか?

【完結】恋につける薬は、なし

ちよのまつこ
恋愛
異世界の田舎の村に転移して五年、十八歳のエマは王都へ行くことに。 着いた王都は春の大祭前、庶民も参加できる城の催しでの出来事がきっかけで出会った青年貴族にエマはいきなり嫌悪を向けられ…

モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します

みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが…… 余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。 皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。 作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨ あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。 やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。 この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。

処理中です...