Fift 〜クリスタルクロニクル〜

frd

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クリスタルに誘われる者達

バスカリアの雄は類い稀なるバカ

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  囲まれたFRDにゴブリンファイター達は一歩ずつ近づく…本来ならば囲まれた場合、盾を上手く利用して戦況を変えるのだが…何故か…ファイターである筈のFRDは盾を装備していない……

 FRDはクリスタルの世界(異世界)に初めて転移される時に選ぶ初級ジョブ4種の1つファイターを選んだのだが、その後に選べるファイター装備の中で誰もが選ぶ盾を選ばなかった類い稀なるバカなのである。
 彼の中で言い訳はある様なのだが、この窮地に盾が無いのは非常にまずかった。

 「ギイィ…ギイ……」

 喜んでいるような声に聞こえるゴブリンファイターの奇声とは別に右側から、おそらくFRDがこの部屋に転移された場所であろうその位置に光が灯った。
 (誰かが転移された?!)
 光が消えFRDが思った通り、誰かが転移されてきた。上には少し丈夫なだけの布の服に銅製の腰巻き、銅製のレッグ装備だけのFRD(これも類い稀なるバカ)に対して、転移されてきた者は初期装備よりもワンランク上の青銅の装備を上から下まで一式で装備していた。(当然盾も装備して)

 「ここは一体……」

 転移の光に怯んだゴブリンファイター達だったが、光が消え現れた者が敵だとわかると、ダメージを負ったFRDよりも先に倒すべきだと本能的に向きを替え青銅のファイターに斬りかかっていく!
 ゴブリンファイターがそう考え動く瞬間、当然FRDも動いた!

「盾を構えろ!!」

 そう叫びゴブリンファイターと同じ様に青銅のファイターに向かって飛び込み、目の前にいるゴブリンファイター達を渾身の力で斬りかかり向かって行く。青銅のファイターはびっくりしながらも言われた通り盾を構え運良くゴブリンファイターの攻撃を防げた。
 FRDは青銅のファイターの前までたどり着くと反転し鉄剣を構え直した。

 「大丈夫か?」

 そう言われた青銅のファイターはFRDの背中を見ながら答えた。

 「は…はい。…大丈夫です!」

 「どうやらココはトラップ部屋でゴブリンファイターの群れを倒さないと何ともならないみたいだから、とりあえず一緒に何とかしよう!」

 言われた言葉を、辺りを見廻し納得した青銅のファイターは「はい!」少し高い声で返事をすると、類い稀なる何とかとは違い、ちゃんと装備している左手の盾を強く握りしめ構えた。
 類い稀なるFRDはゴブリンファイターを威嚇する様に鉄剣を縦から横に構えを替え直した。

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