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クリスタルに誘われる者達
バスカリアの雄は空を飛ぶ
しおりを挟むFRDがクリスタルの間に到着する少し前に5IQ聖騎士団団長アキラと団員数名と反対側からやってきたアステラの数名は、ほぼ同じタイミングで到着していた。
前衛職 恐らくナイトらしき3名はアキラの前に立ちウェア・ウルフの攻撃を受けながらジリジリと前へ進み、後衛職数名の内、弓使いはウェア・ウルフを、残りの魔法使いは対面のアステラへ魔法で牽制しつつ味方前衛に補助魔法を唱えていた。
そしてアキラは剣にオーラを溜めウェア・ウルフにオーラの斬撃を飛ばすスキル「スラッシュ」を使い、確実に仕留めていた。
FRDはアキラの横に並んだが斬撃を飛ばせる訳でも無いし、盾で壁役になる訳でも無い、ただたまに前衛を飛び越して襲ってくるウェア・ウルフを迎え撃つ役割だったのでこの突風の中でも落ち着いて対処ができていた。
そのお陰だが向こう側を確認した時、まだ誰も出て来ていないもう一つの入口から人影が見えた。転移される時にバスカリアを選ぶと(大陸から異世界へ転移される時、光と共にウィンドウが現れ七つのクリスタルが存在する場所が表示され選ぶ事ができる。)北側がアステラ、南側がゾーンに別れて転移される為、向こう側からやってくるのならば、ほぼアステラの人間で間違いないのだ。
「アキラさん!向こう!増えました!」
FRDは簡単に説明するとアキラも確認し答える。
「本当だ!……うーん…どうしましょう…」
味方の増援の気配はしない中でこの状態は当然非常に不味くアキラも困りながらスラッシュを放ち、考えながら指示を出した。
「メテメテ!僕とクリスタルの間に入ってー!ウェア・ウルフが来たら思いっきり上になぎ払いで上げてください。それからFさん?飛べますか?」
メテメテと言われたファイターはすぐに言われた通りに動きだしたが、FRDは内容に戸惑った。飛ぶ?何処へ?と思考し始めるとすぐにアキラは説明しだした。
「メテメテがウェア・ウルフを上になぎ払ったら彼の肩、ウェア・ウルフを順番に足場にしてクリスタルに飛び込んで下さい。その後…あ…ウェア・ウルフ来ましたね!とりあえず飛んで下さいwFさんなら大丈夫でしょ!」
説明の途中にメテメテに向かってウェア・ウルフが襲いかかる。FRDより少し体躯の良い彼は目一杯ウェア・ウルフをなぎ払い上空に打ち上げた!何が何だか分からないまま、思考は止めずにFRDはメテメテの肩に飛んだ!
「肩失礼します!」
「喜んで!!」
居酒屋風に答えを返すメテメテの肩を足場にウェア・ウルフに向かい飛び上がるFRDの後ろでは思いっきりオーラ垂れ流しのアキラがFRDに向けて剣を構えていた。
(クリスタルまではいくらウェア・ウルフを足場にしても届かない…アキラさんのオーラに剣……まさか?!)
思考しながらFRDはウェア・ウルフの頭を足場にして更に上空に上がった時、アキラは叫んだ!
「Fさーん!上手く受けてクリスタル取っちゃって下さーーい!」
背を向け飛び上がっていたFRDはアキラの意味をすぐに理解し、身体をアキラに向けて撚る!
「はぁぁぁ!スラッシュ!!」
アキラは垂れ流しのオーラを剣に全て込めFRDに向けて斬撃を放った!
ものすごい勢いと威力のスラッシュをFRDは鉄剣を斬撃の軌跡に合わせ並行にして面で受け止める!!
「あ…アキラさん!や…やり過ぎじゃないッスか??」
目の前で見ているメテメテは目が点になりながら言うがアキラはとても笑顔だった。
斬撃が直撃し、見事綺麗にFRDは飛んだ…と言うより吹っ飛んだ………
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