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ハドソン領 花街道(仮)編 ワトル村
その玩具の名は
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カチカチカチッ
「いらっしゃい、いらっしゃい~」
カチカチカチッ
「ワトル村土産はいかがですかぁ~」
カチカチカチッ
・・・。
カチカチとうるさぁ~い!!
「わぁ~!何これ?」
五、六歳ぐらいの男の子が、屋台に近づいて来ると目を輝かせて聞いてきた。
私にはどうも良さが分からないこれが、実は今朝からもう十個も売れている。全く解せない。
コリンさんたちは、私に依頼された食器を作る傍ら、私が提案した土産品の試作を作り続けていた。その中で既に完成しているのがけん玉だった。
けん玉にハマったレオさんたちがもの凄い勢いで、けん玉を作り始めちゃってねぇ。試作品というよりも、自分たちの為に最高の一品を!みたいなノリで。
それでそれぞれのマイけん玉が出来て満足した、と思ったら大量のけん玉や製作途中のパーツが山のようにたまっていたのだとか。
レオさんたちは、それはそれは拘ってけん玉作りに励んだみたいよ?
玉の大きさから大皿、中皿などのサイズまで、下手をしたらミリ単位で作っていたらしい。
けん玉一つで、何故そこまで?
まあ、確かに私の描いた設計図みたいなものにサイズは書かれていなかった。だってそんなの知らないし、そこは何度か試作していい感じに作ってくれれば、というものではあったけれど。
いや、しかし!
レオさんたちも試作のつもりが、いつの間にか競い合うようにマイけん玉作りに夢中になってしまうって・・・。
どれだけ童心に返っちゃってるの!?
スコティッシュ子爵たちが村を去って、やっと宿屋で話し合いが出来るようになった時に大量のけん玉を見せられたのだけど、もう直ぐにでも土産品として売ってはどうか?という話になったわけだ。
その時に見せられたけん玉を見てポツリと言っちゃったんだよね。
「なんかアメリカンクラッカーも作れそうだよね」って。
そうしたら何故だかレオさんたちが、私の呟きにもの凄く興味を持っちゃって話を聞きたがったのだ。
紐の端と端に四、五センチぐらいの硬い玉がついていて、ぶつけて音を鳴らして遊ぶおもちゃがアメリカンクラッカー。
もの凄く単純なおもちゃだよねぇ。
正直、何が面白いのか全く分からない。
だけど、前世の児童養護施設の子どもたち、ーーといっても大体は男の子だったけどーー が、一時期夢中になって遊んでいたおもちゃなんだよ。
この一時期、というのが曲者で、毎年のように低学年の男の子たちの間で流行るのだ。
しかも高学年の男の子たちが得意気にお手本を見せて『かっけぇぇ~』の賞賛の声を貰って、何故か高学年の子達も競い合うようにやるようになるまでがセット、という。
勿論、これは施設の間での話。
だって、アメリカンクラッカーって何!?って、感じじゃない?
施設にあるおもちゃって、寄付されたものが多かった。一応は予算もあって、年に数回、新しい玩具が購入されたりもしたけれど、基本は本が多かったし、玩具も知育系の物が多かったんだよね。
ゲーム機とかそういうのは、子ども人数分なんて用意出来ないし、遊ぶにもゲームソフトが必要になるでしょ?
予算的にも厳しかったのは理解出来る。
それで、寄付されたおもちゃというのは、家庭内で不要になった物が回ってくることが多かったんだよね。
そういう物ってどういうわけか?どの家庭でも不要になる物らしくて、必然的に施設には同じおもちゃが増えていくことになる。
そういえば、けん玉も大量にあったなぁ。コマとか縄跳びとかも。
そう!それでアメリカンクラッカーも幾つかあったんだよ。
兎に角、レオさんたちに聞かれたから答えたわけなんだけれど、それでその場で試作品を作るレオさんたちがいて、更に何故かその試作品でレオさんたちが無心で遊び始めて・・・。
それでまた、アメリカンクラッカーが大量に作られ、そしてけん玉と一緒に販売されることになった、と。
それで、ロッキーさんのお店に土産品を置いておくだけでは売れないだろうと屋台で売ってみることになったのだ。
屋台の隣で、リッキー君の呼び込みとともに、ワトル村の子どもたちがけん玉とアメリカンクラッカーの実演してみたところ・・・。
いやぁ~。子どもって凄いね。アメリカンクラッカーは単純な遊びだから、誰でもすぐに出来るものではあったけれど、子どもたちが目をキラキラさせてやっていると、凄く面白そうに見えるんだよ。
レオさんたちも無心でやってたけど、見ていても面白くなかったんだよね。だけど子どもたちがやっているのを見ていると『あれ?もしかして実は面白い?』って気になってくるから不思議。
それで、子連れの乗客の皆さんが買ってくれて、『孫の土産に』と言って買ってくれたお年寄りもいた。
因みにアメリカンクラッカーは、カチカチボールという名前で売り出すことになった。ベタだけど分かりやすい名前だよね。
ーーーーーーーーーーーーーーー
ここまでお読みいただきありがとうございます。
「いいね」やエールでの応援もいつもありがとうございます。
遅くなりましたが、本年一回目の投稿になりました。
今年もよろしくお願いします。
「いらっしゃい、いらっしゃい~」
カチカチカチッ
「ワトル村土産はいかがですかぁ~」
カチカチカチッ
・・・。
カチカチとうるさぁ~い!!
「わぁ~!何これ?」
五、六歳ぐらいの男の子が、屋台に近づいて来ると目を輝かせて聞いてきた。
私にはどうも良さが分からないこれが、実は今朝からもう十個も売れている。全く解せない。
コリンさんたちは、私に依頼された食器を作る傍ら、私が提案した土産品の試作を作り続けていた。その中で既に完成しているのがけん玉だった。
けん玉にハマったレオさんたちがもの凄い勢いで、けん玉を作り始めちゃってねぇ。試作品というよりも、自分たちの為に最高の一品を!みたいなノリで。
それでそれぞれのマイけん玉が出来て満足した、と思ったら大量のけん玉や製作途中のパーツが山のようにたまっていたのだとか。
レオさんたちは、それはそれは拘ってけん玉作りに励んだみたいよ?
玉の大きさから大皿、中皿などのサイズまで、下手をしたらミリ単位で作っていたらしい。
けん玉一つで、何故そこまで?
まあ、確かに私の描いた設計図みたいなものにサイズは書かれていなかった。だってそんなの知らないし、そこは何度か試作していい感じに作ってくれれば、というものではあったけれど。
いや、しかし!
レオさんたちも試作のつもりが、いつの間にか競い合うようにマイけん玉作りに夢中になってしまうって・・・。
どれだけ童心に返っちゃってるの!?
スコティッシュ子爵たちが村を去って、やっと宿屋で話し合いが出来るようになった時に大量のけん玉を見せられたのだけど、もう直ぐにでも土産品として売ってはどうか?という話になったわけだ。
その時に見せられたけん玉を見てポツリと言っちゃったんだよね。
「なんかアメリカンクラッカーも作れそうだよね」って。
そうしたら何故だかレオさんたちが、私の呟きにもの凄く興味を持っちゃって話を聞きたがったのだ。
紐の端と端に四、五センチぐらいの硬い玉がついていて、ぶつけて音を鳴らして遊ぶおもちゃがアメリカンクラッカー。
もの凄く単純なおもちゃだよねぇ。
正直、何が面白いのか全く分からない。
だけど、前世の児童養護施設の子どもたち、ーーといっても大体は男の子だったけどーー が、一時期夢中になって遊んでいたおもちゃなんだよ。
この一時期、というのが曲者で、毎年のように低学年の男の子たちの間で流行るのだ。
しかも高学年の男の子たちが得意気にお手本を見せて『かっけぇぇ~』の賞賛の声を貰って、何故か高学年の子達も競い合うようにやるようになるまでがセット、という。
勿論、これは施設の間での話。
だって、アメリカンクラッカーって何!?って、感じじゃない?
施設にあるおもちゃって、寄付されたものが多かった。一応は予算もあって、年に数回、新しい玩具が購入されたりもしたけれど、基本は本が多かったし、玩具も知育系の物が多かったんだよね。
ゲーム機とかそういうのは、子ども人数分なんて用意出来ないし、遊ぶにもゲームソフトが必要になるでしょ?
予算的にも厳しかったのは理解出来る。
それで、寄付されたおもちゃというのは、家庭内で不要になった物が回ってくることが多かったんだよね。
そういう物ってどういうわけか?どの家庭でも不要になる物らしくて、必然的に施設には同じおもちゃが増えていくことになる。
そういえば、けん玉も大量にあったなぁ。コマとか縄跳びとかも。
そう!それでアメリカンクラッカーも幾つかあったんだよ。
兎に角、レオさんたちに聞かれたから答えたわけなんだけれど、それでその場で試作品を作るレオさんたちがいて、更に何故かその試作品でレオさんたちが無心で遊び始めて・・・。
それでまた、アメリカンクラッカーが大量に作られ、そしてけん玉と一緒に販売されることになった、と。
それで、ロッキーさんのお店に土産品を置いておくだけでは売れないだろうと屋台で売ってみることになったのだ。
屋台の隣で、リッキー君の呼び込みとともに、ワトル村の子どもたちがけん玉とアメリカンクラッカーの実演してみたところ・・・。
いやぁ~。子どもって凄いね。アメリカンクラッカーは単純な遊びだから、誰でもすぐに出来るものではあったけれど、子どもたちが目をキラキラさせてやっていると、凄く面白そうに見えるんだよ。
レオさんたちも無心でやってたけど、見ていても面白くなかったんだよね。だけど子どもたちがやっているのを見ていると『あれ?もしかして実は面白い?』って気になってくるから不思議。
それで、子連れの乗客の皆さんが買ってくれて、『孫の土産に』と言って買ってくれたお年寄りもいた。
因みにアメリカンクラッカーは、カチカチボールという名前で売り出すことになった。ベタだけど分かりやすい名前だよね。
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ここまでお読みいただきありがとうございます。
「いいね」やエールでの応援もいつもありがとうございます。
遅くなりましたが、本年一回目の投稿になりました。
今年もよろしくお願いします。
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