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聖女ミーシェ 4
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ミーシェとウィルは言祝ぎ草に導かれるままに、歩き、疲れたら休憩し、日が暮れる前に寝床を確保して眠る。空が白み始める前に目覚めてまた歩き出す。
不思議なことに、日が暮れ始めれば、丁度良い場所に洞窟や大きな木の下へと辿り着く。
お腹が空けば、二人の前に鳥やウサギが飛び出してきて、それをウィルが仕留めて食べる。渇いた喉を潤す小川も、甘い果実をつけた木も、まるで誰かに差し出されたかのように二人の前に現れる。
道などない森の中を一日中歩き続けているのに、靴擦れ一つ出来なければ足が疲れる事もない。
そうして歩き続け三日目の朝のこと。空が白み始めた頃に二人は小さな小屋を見つけた。
いよいよ人のいる場所に近づいてきた事に、ミーシェはホッとすると同時に不安な気持ちがジワリジワリと胸の内に広がっていくのを感じた。
「ミーシェ、大丈夫だよ。小屋の中にガーネシアの文字で書かれた本があった。
僕たちは迷う事なくガーネシアに辿り着いたんだ。
たぶん此処はガーネシア王国の西側の森だと思う。もう少し歩いて湖が見えてくれば間違いない」
ウィルにそう言われれば、ミーシェは安心して息を吐き出した。それと同時にもう少しでウィルと別れる事になるのだと寂しさも覚える。
本当にミーシェ一人で逃げ切ることは出来るのだろうか。
ウィルとはもう二度と会えないのだろうか。
自分で決めた事なのに、いざ別れの時間が近づけば途端に心細くなる。
そうして気付かぬ内にミーシェの足は止まっていた。
「ミーシェ?」
「ガーネシアで私の居場所は見つかるかしら?」
離れ難い気持ちがむくむくと湧き上がってきて、ついそんな言葉が口から出てしまう。
「大丈夫だよ。君は何処に行っても君らしく生きられるだろう。
あの大神殿の中で、君は腐ることなく聖女のお務めを果たしてきた。
それをマハークベ神様はずっと君を見てきた筈だ。これからも君を見ていて下さるだろう。
湖に着いたら、一度休憩をしようか」
ミーシェは差し出されたウィルの手を取り、二人並んで歩き出す。
ウィルに励まされ、心が温かくなるを感じながらミーシェは、ウィルと離れても彼の幸せを願い続けようと心に誓う。
そうして手を繋いだまま、歩いた先にはー。
「わぁっ!綺麗、、、」
ウィルの言葉通りに現れた湖の周りには、辺り一面に言祝ぎ草の花が咲いていた。黄色い花弁の言祝ぎ草の花が。
その光景をミーシェはただただジッと眺めていた。
聖女が一年祈りを捧げ育てた言祝ぎ草の中で、黄色い花弁の言祝ぎ草の花が咲くのはたった一鉢だけ、、、。
それなのに、目の前には黄色い言祝ぎ草の花が咲き乱れている。
「フフッ。フフフ、、、、」
「ミーシェ?」
クスクスと突然笑い出したミーシェにウィルが戸惑いの表情を向ける。
「ツィオーニでは、黄色い花が咲いた言祝ぎ草を育てた聖女が言祝ぎの聖女に選ばれます。聖女たちの中で選ばれるのはたった一人だけ。
それなのにこの場所には黄色の花の言祝ぎ草しか咲いていません。
私は言祝ぎの聖女に選ばれたばかりに、聖女の資格を剥奪されて、馬車ごと崖がら落とされたのに」
「ミーシェ、それは、、、」
ウィルはミーシェの言葉を恨み言ととったようだ。だがミーシェの本心は違う。
「ウィル、違いますよ?
なぁ~んだ、です。
大神殿では、聖女たちも神官たちもあんなに黄色い花の言祝ぎ草に拘っていたのに。
此処にはこんなに当たり前のように咲いている。
ツィオーニは、私たちは、なんて世間知らずだったのだろう、って思ったらとても可笑しくて」
マハークベ神様は、たった一人の聖女だけに祝福の言葉を伝える訳がないのだ。
国の、世界の至る所で、言葉として届かなくても、マハークベ神様は、他の神々はこうしてこの世界を祝福して下さっている。
もしかしたら祝福を表す術は、黄色い言祝ぎ草だけでは無いのかも知れない。
ツィオーニでは言祝ぎ草でも、他国では他の草花かも知れない。
植物ではなく、動物が祝福の象徴になっているのかも知れない。
今までの私たちは、なんて狭い世界の中だけで生きていたのだろう。
「そういえばもう新しい年に変わっていたね。
今頃、ツィオーニでは新年の儀が行われているかも知れないね。
それとももう終わった頃だろうか。
ミーシェ。折角だからこの場所で、この湖に、祈りを捧げてくれないか?」
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ここまでお読み下さりありがとうございます。
「いいね」や「エール」での応援もありがとうございます。
不思議なことに、日が暮れ始めれば、丁度良い場所に洞窟や大きな木の下へと辿り着く。
お腹が空けば、二人の前に鳥やウサギが飛び出してきて、それをウィルが仕留めて食べる。渇いた喉を潤す小川も、甘い果実をつけた木も、まるで誰かに差し出されたかのように二人の前に現れる。
道などない森の中を一日中歩き続けているのに、靴擦れ一つ出来なければ足が疲れる事もない。
そうして歩き続け三日目の朝のこと。空が白み始めた頃に二人は小さな小屋を見つけた。
いよいよ人のいる場所に近づいてきた事に、ミーシェはホッとすると同時に不安な気持ちがジワリジワリと胸の内に広がっていくのを感じた。
「ミーシェ、大丈夫だよ。小屋の中にガーネシアの文字で書かれた本があった。
僕たちは迷う事なくガーネシアに辿り着いたんだ。
たぶん此処はガーネシア王国の西側の森だと思う。もう少し歩いて湖が見えてくれば間違いない」
ウィルにそう言われれば、ミーシェは安心して息を吐き出した。それと同時にもう少しでウィルと別れる事になるのだと寂しさも覚える。
本当にミーシェ一人で逃げ切ることは出来るのだろうか。
ウィルとはもう二度と会えないのだろうか。
自分で決めた事なのに、いざ別れの時間が近づけば途端に心細くなる。
そうして気付かぬ内にミーシェの足は止まっていた。
「ミーシェ?」
「ガーネシアで私の居場所は見つかるかしら?」
離れ難い気持ちがむくむくと湧き上がってきて、ついそんな言葉が口から出てしまう。
「大丈夫だよ。君は何処に行っても君らしく生きられるだろう。
あの大神殿の中で、君は腐ることなく聖女のお務めを果たしてきた。
それをマハークベ神様はずっと君を見てきた筈だ。これからも君を見ていて下さるだろう。
湖に着いたら、一度休憩をしようか」
ミーシェは差し出されたウィルの手を取り、二人並んで歩き出す。
ウィルに励まされ、心が温かくなるを感じながらミーシェは、ウィルと離れても彼の幸せを願い続けようと心に誓う。
そうして手を繋いだまま、歩いた先にはー。
「わぁっ!綺麗、、、」
ウィルの言葉通りに現れた湖の周りには、辺り一面に言祝ぎ草の花が咲いていた。黄色い花弁の言祝ぎ草の花が。
その光景をミーシェはただただジッと眺めていた。
聖女が一年祈りを捧げ育てた言祝ぎ草の中で、黄色い花弁の言祝ぎ草の花が咲くのはたった一鉢だけ、、、。
それなのに、目の前には黄色い言祝ぎ草の花が咲き乱れている。
「フフッ。フフフ、、、、」
「ミーシェ?」
クスクスと突然笑い出したミーシェにウィルが戸惑いの表情を向ける。
「ツィオーニでは、黄色い花が咲いた言祝ぎ草を育てた聖女が言祝ぎの聖女に選ばれます。聖女たちの中で選ばれるのはたった一人だけ。
それなのにこの場所には黄色の花の言祝ぎ草しか咲いていません。
私は言祝ぎの聖女に選ばれたばかりに、聖女の資格を剥奪されて、馬車ごと崖がら落とされたのに」
「ミーシェ、それは、、、」
ウィルはミーシェの言葉を恨み言ととったようだ。だがミーシェの本心は違う。
「ウィル、違いますよ?
なぁ~んだ、です。
大神殿では、聖女たちも神官たちもあんなに黄色い花の言祝ぎ草に拘っていたのに。
此処にはこんなに当たり前のように咲いている。
ツィオーニは、私たちは、なんて世間知らずだったのだろう、って思ったらとても可笑しくて」
マハークベ神様は、たった一人の聖女だけに祝福の言葉を伝える訳がないのだ。
国の、世界の至る所で、言葉として届かなくても、マハークベ神様は、他の神々はこうしてこの世界を祝福して下さっている。
もしかしたら祝福を表す術は、黄色い言祝ぎ草だけでは無いのかも知れない。
ツィオーニでは言祝ぎ草でも、他国では他の草花かも知れない。
植物ではなく、動物が祝福の象徴になっているのかも知れない。
今までの私たちは、なんて狭い世界の中だけで生きていたのだろう。
「そういえばもう新しい年に変わっていたね。
今頃、ツィオーニでは新年の儀が行われているかも知れないね。
それとももう終わった頃だろうか。
ミーシェ。折角だからこの場所で、この湖に、祈りを捧げてくれないか?」
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