あなたに婚約破棄する事は出来ません

レイチェルの章

お父様との話し合い

「失礼ですが、ニコラス殿下を説得したり、考えを変えようとする事は難しいように思うのですが…」

アーサー王は黙って考え込んでしまっていた。

「無駄かも知れませんが…一度婚約解消のお伺いを女神様にしていただけませんか？
もし、それで無理ならあきらめますが、このままでは娘が不憫です」

私は殿下の娘に対する態度や暴言を報告した。

これには、陛下も呆れられたようで
「分かった、申請の許可を出そう
教会の方へはジェフリーお前が行ってくれるか？」

「ええ、レイチェルと２人で行ってきます」

陛下からの申請許可をもらう事が出来て、私もホッとした。

早く帰ってレイチェルに知らせてやろう。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇

邸に帰ると、レイチェルが待っていた。

「お父様お話があります」

「レイチェル、私もお前に話がある」

応接室で２人は向き合い座った。

「それで、お父様お話しって？」

「陛下が、お前と殿下の婚約解消の申請を許可してくださった」

「本当ですか？　よかった」
私はため息を吐き出しました。

「これで、第一関門突破です」
私はお父様に言います。

「それと、今日偶然目撃したのですが…」

わたしはニコラス殿下がソフィアと言う令嬢と親しげにしていた事を報告する。

「なんだって？　では殿下は自分の不貞を隠してお前を悪者にして婚約破棄しようとしていたのか？」

「多分、そうなのでしょうね
今まで婚約者として仲良くはなくても、お互いに礼儀や思いやりはそれなりにあっと思うのです。
それが、数ヶ月前からいきなり文句や罵倒されることが度々あって、それのどれもが、身に覚えのないものばかりでした。
自分の非を隠したかったのかも知れないと思うのです」


「ずいぶん、都合のいいことを…
レイチェル、私は怒りがこみ上げてくるよ」

そう言ってお父様はちょっと考える

「レイチェル、申請を少し待ってくれるかい？」

「え？　どういう事ですか？」

「少しニコラス殿下とそのソフィアと言う令嬢の事を調べる。
その上で不貞が事実ならば、解消ではなくて、こちらからの破棄として申請する」

お父様は決意を顔に宣言しました。